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2008年12月20日(土) |
「<江ノ電>早世の少年に運転士「辞令」 没後10年夢かなう」←いい話だ。こういうニュースもどんどん取りあげて頂きたい。 |
◆<江ノ電>早世の少年に運転士「辞令」 没後10年夢かなう(12月20日15時1分配信 毎日新聞)
朋(とも)君、天国で思いっきり走ってください−−。江ノ島電鉄(神奈川県藤沢市)は22日、
「運転士になりたい」という夢を持ちながら10年前、難病で亡くなった少年(当時16歳)に運転士の辞令を発令する。
少年は亡くなる4日前、運転席に試乗してハンドルを握る夢をかなえたが、毎日新聞神奈川県内版で当時のいきさつを知った深谷研二社長が
「ぜひ夢の続きを」と、本物と同じ辞令書を少年の父親に手渡すことにした。
少年は東京都大田区の会社員、新田和久さん(56)の一人息子で、先天性心疾患「拡張型心筋症」だった朋宏さん。
4歳の時に母親を同じ病気で失い、約11年間、同県茅ケ崎市の施設で育った。見舞いに来る和久さんとよく江ノ電に乗り、
「大きくなったら江ノ電の運転士になるんだ」と語っていた。
試乗は容体が悪化した98年11月11日、江ノ電の全面協力で実現した。
制服、制帽姿で運転席に乗り込み、運転士の後ろで全線の旅。
その後、検車区で「タンコロ」の愛称で知られる108型車両のハンドルを握り、運転士と一緒に動かした。
当初は反対していた関東運輸局(横浜市)も「聞かなかったことにする」と黙認したという。
10年後の今年10月、和久さんの知人で東京都品川区の塾経営、石井彰英さん(53)が感謝の気持ちを込めて
江ノ電の精巧な模型を同社に寄贈。これを報じた12月3日付の記事を読んだ深谷社長が
「他の仕事を休んででも、早く朋宏さんに夢の続きを」と職員に指示した。
22日は、江ノ島駅(藤沢市)で辞令を交付した後、利用客のボタン操作で動くように改良した模型電車の出発式もある。
和久さんは「ここまでしてくれた江ノ電を(将来の夢に)選んだ朋宏を褒めてあげたい」と感激している。
◆コメント:世の中がこういう人間の「善意」で満ちていたなら、どれほど素晴らしいことか。
毎日、やれ、日本経済が悪化している、派遣切りの嵐だ、子殺しだ、親殺しだ、と気の滅入るニュースばかり続いている中で、
久々に、「人間の善意」に満ちた事実を報じた記事を読んだ。実に素晴らしい。
無論、新田朋宏君が病気にならず、生きていて、本当に子どもの頃からの夢だった「江ノ電の運転手」になれたらもっと素晴らしかった訳だが、
それは、云っても仕方がない。
この話は2005年の日本テレビ系列24時間テレビで、ドラマ「小さな運転士 最後の夢」として放送されたのを見て泣いたのを覚えている。
ネット上で見られないか検索して漸く見つけた。韓国の動画共有サイトPANDORAから。
ハングルの字幕がでるが、当然音声は日本語。1時間40分のドラマ全部を見ることができる(追記:残念ながら途中で音声が途切れるようです)。
これは実際にあった話で、余命幾ばくもない、新田朋宏の「夢」を実現すべく、江ノ電社員が法令などを色々調べて奔走し、
本線は無理だが、車庫に入るまでのわずかな距離は、死の四日前の新田朋宏君が本当に運転したのだ。
本線は運転席に同乗させて貰って、江ノ電全線をプロが運転したのだが、
全ての駅で、江ノ電の駅員が直立不動で待っていて、朋宏君に敬礼した。
あのシーンは泣いたな。見たことのない人、見たけど忘れた人は是非ご覧になるといい。
一人の、間もなく生命の炎が尽きる少年の為に全社が総力を挙げた江ノ島電鉄株式会社に、感銘を受けたが、
今日のニュースを読んでますます、江ノ電を賞賛したい。社長、偉い。立派。
10年も前に亡くなった少年に、本物の辞令を発行するなんて。はっきり書かれている。
辞令 新田朋宏 乗務区 運転士を命ずる
お父さんは気の毒な方で、奧さんが同じ病気で朋宏君よりも前に亡くなっているのだ。
その後、息子まで亡くしたのである。私なら生きる気力など無くして死んでしまうかも知れない。
この辞令、お父さん、嬉しいだろうな。
くどいようだが、江ノ電はいい会社だなあ、カネ儲けばかり考えて人のクビを切る大企業より余程立派だ。
それこそ、藤原正彦氏が「国家の品格」で書いた「惻隠の情」に満ちている。
今日初めて知ったが、お役人さんもなかなか、粋なことをしていたのだね。
当初は反対していた関東運輸局(横浜市)も「聞かなかったことにする」と黙認したという。
いいところあるじゃねえか。普通、ヤクニンってこういうとき「前例がない」で許可しないでしょ?
「聞かなかったことにする。」偉い。
このような、人間が本来持つ、人への優しさ、善意を我々ひとりひとりが、ほんの少しずつでも発動したら、
もっとほんわかした世の中になるだろうに。
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