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2006年12月20日(水) |
「経営陣の責任問題強まる=「組織ぐるみ」の不正が焦点−日興」←金融庁の監督責任は? |
◆記事1:経営陣の責任問題強まる=「組織ぐるみ」の不正が焦点−日興
日興コーディアルグループは20日、不適切な会計処理を行って利益をかさ上げした問題に関し、証券取引等監視委員会の事実認定を受け入れる方向で検討を始めた。
今後は「組織ぐるみ」の不正だったのではないかという監視委の指摘についても、同社が認めるかが焦点になる。経営陣の責任問題に発展する可能性も強まってきた。
(12月20日21時1分配信 時事通信)
◆記事2:利益水増し問題、日興が異議申し立てを断念(12月20日10時37分配信 読売新聞)
証券大手の日興コーディアルグループは19日、同グループが不正な会計処理をしていた問題で、
孫会社を連結対象から外した処理に関する証券取引等監視委員会の事実認定を受け入れる方針を明らかにした。
金融庁に対する異議申し立ても見送る。監視委の見解に妥当性があることを認め、監督当局との全面対決を避けるべきだと判断した。
日興は事実上、経営判断の誤りを認めた形となり、首脳陣の経営責任が改めて問われそうだ。
また、決算に「適正意見」を付した旧中央青山監査法人(現みすず監査法人)の責任問題に発展する可能性もある。
日興は18日、2005年3月期の有価証券報告書の訂正を発表した。
監視委が赤字の孫会社を連結対象から外した会計処理を利益の水増しに当たると指摘したことを踏まえた処置だった。
だが、日興は、訂正の理由について、「債券発行に関する手続きミスで、連結外し自体は問題がなかった」と主張、
「そもそも子会社を連結対象とすべきだった」とする監視委との食い違いが鮮明になっていた。
◆コメント:2005年2月、国会で金融相は有価証券報告書を点検して(させて)いる、と言った。
今日の新聞に、安倍首相が(これ以上支持率が下がってはかなわないので)銀行からの政治献金を受け取らないように指示した、とのこと。
しかし、何か忘れちゃいませんか?
ここ数年、日本は嘘つきばかりになってしまった(或いは、そうであったことが発覚した)。
証券取引、つまり株に関していえば、こうだ。
2004年10月、西武鉄道が有価証券報告書(証券取引法では決算書を有価証券報告書という)の虚偽記載がばれた。
2004年12月17日、西武鉄道は上場廃止になった。西武鉄道の株券は紙クズになったのである。
恐ろしいのは、40年も嘘の有価証券報告書を旧大蔵省と現在の財務省に提出していた。
つまり本来東京証券取引所に上場されてはいけない株が40年も、出回っていたのに、
金融当局、今ならば金融庁の一部署である「証券取引等監視委員会」はこれを発見できなかったことである。
更に、自民党は、違法な株を上場させていた会社、違法行為を行っていた会社から、億円単位の政治献金を受け取っていたのである。
このカネは返さないのだろうか?(返したというニュースがあったかもしれないが、記憶が定かでない)。
◆コメント:民主党の岩國議員が伊藤金融担当相を詰問する議事録は傑作だ。
西武鉄道の決算書が粉飾だった。
東証一部に上場する日本を代表する優良企業であるべき会社の株が実は上場基準を満たしていなかったのである。
この問題を重く見た、元メリルリンチという世界最大の証券会社の上級副社長、民主党の岩國議員が、
当時の金融行政の担当者、松下政経塾出身の坊や、伊藤達也金融相に、
「他の株は、違法じゃないと、金融当局は宣言できるのか?」と問い詰め、
金融相が一生懸命誤魔化そうとしている様子が衆議院の議事録に記録されている。
◆衆議院議事録 予算委員会 平成17年02月07日 質問者岩國哲人議員(民主)
○岩國委員 次に、西武鉄道の株式の問題について質問させていただきます。
西武鉄道の株式取引について、違反状態で長年取引が継続されておったということは大変残念なことであります。
こうした点について、金融庁としては、いつから違反状態が発生し、その結果として不測な損害をこうむった投資家は、
投資金額はどれぐらいなのか、徹底的にこれは調査すべきじゃありませんか。
きょうも、この瞬間も、違反状態にある株式が東京証券取引所で取引されているんじゃありませんか。
そういう疑惑の中で、取引所の中で取引されているものには違反状態にあるものはないんだという潔白宣言がいつできるのか。どうぞお答えください。
○伊藤国務大臣 委員が御指摘をされた事例も含めまして、昨年の秋以来、不適切な事例が続いております。
私どもといたしましては、証券市場の信頼性を確保するためには、適切なディスクロージャーが極めて重要であると考えておりまして、
こうした観点から、国民のディスクロージャー制度に対する信頼を確保していくために、
その対応策を昨年の十一月、そして十二月に公表をさせていただいたところでございます。
その中の対応策の一つ一つを強力に進めていくことが重要だというふうに考えておりまして、
今、その違反状況を是正していくことが重要だというお話がございました。この対応策の中でも、
開示企業すべてに対して、有価証券報告書の正確性、これを自主的に点検をしていただきたい、
その要請をさせていただいて、すべての開示企業から報告をいただいたところでございます。その報告の内容を私どもとして精査をして、
そして適切なディスクロージャーをさらに進めていくための対応策というものをさらに進めていきたいと考えているところでございます。
○岩國委員 私がお伺いしているのは、潔白宣言がいつまでにできるというめどは全くないのかどうかということ。もう一度お答えください。
○伊藤国務大臣 今、答弁をさせていただきましたように、昨年の十一月、そして十二月に公表させていただいたこの対応策、
その一つ一つを強力に推進していくことが重要だというふうに考えております。
先ほど来お話をさせていただいているように、まず開示企業の自主的な点検、これを要請させていただいたところでございますし、
また、各取引所においても、その上場のあり方について、これを見直していただくことを要請させていただいて、
その要請を踏まえて見直しについて実施をされているところでございます。
そうしたさまざまな施策というものを展開しながら、委員から見ても、そして投資家から見ても、
日本の証券市場の信頼性というものは間違いないものである、そういうふうに信頼性というものを確保できるために、
私どもとしても一生懸命努力を続けてまいりたいと考えております。
○岩國委員 私の質問に二度も答えていただけなかったということは、
要するに、潔白宣言はきょう現在も出せないし、しばらくの間、疑惑の、違反株式の取引はきょうもあしたも続けられるということですね。
◆コメント2:嘘の決算書を故意に作っている会社が、「嘘ついてました」と云いますか?
上の質疑応答、少々長いが、難しいことを云っているのではない。
岩國議員は西武鉄道のような違法な株式が他にはないのか金融庁は監督官庁として責任をもって点検しているのか?と金融相に尋ねているのだ。
伊藤金融相の答弁は驚くべきものだった。
上場している会社に対して、「有価証券報告書の記載に誤りがないか、各企業に点検させている」というのだ。
こう言うのを官僚的形式主義というのだ。
西武鉄道は、故意に決算書に虚偽記載をして、東証に上場していたのだ。
他に同じような会社があったとして、「済みません。ウチもずっと虚偽報告してました」と馬鹿正直に云うわけがないだろう。
岩國議員の懸念は的中した。
この質疑応答の約2か月後、やはり東証一部に上場していたカネボウの粉飾決算が明らかになった。
このケースでは、決算が正しく為されているかをチェックする監査法人がグルになって、「粉飾決算のアドヴァイス」をしていたことが明らかになった。
今年も、東証一部ではなく、ベンチャー企業の株が取引される東証マザーズの上場会社、ライブドアの粉飾決算が明らかになったのは、記憶に新しい。
◆コメント3:虚偽記載をした当事者が悪いのは当然だが、監督官庁、ひいては内閣の責任を不問にするのはおかしい。
本当は、こんな事は云うまでもないことだ。記事1のとおり、18日から、日興コーディアルの「不適切な会計処理」が問題となっている。
問題の有価証券報告書は2005年3月期というから、まさに、西武鉄道とカネボウで大騒ぎになり、
伊藤金融相が「各企業に有価証券報告書の記載に誤りが無いか点検をお願いし」ていた時期である。
岩國議員は、質問したとき、内心「まだまだ、(違法なのに上場されている株が)あるだろう」と思っていただろう。
ところが、金融庁乃至証券取引等監視委員会は自ら企業に乗り込んで決算書に怪しいところがないか点検する事をせず
(上場企業全てを検査することは物理的に不可能だが、サンプル調査はできたはず)、
企業に報告させるという、全然意味のない形式だけの「対策」をしただけで、「はい、調べました。」と国会に報告し、
国会は岩國議員以外、誰も深く追及しなかった。
今回、日興コーディアルの虚偽記載がなぜ、いまごろになって明るみに出たのか不明である
(可能性が高いのは内部告発だが、これは推測に過ぎない)が、これは多分上場廃止になるだろうから、日興の株は紙屑同然になるわけだ。
今日はたまたま株価が上がったが、東京市場には、まだ、どれぐらい、このような「爆弾」があるかわかったものではないから、油断は禁物である。
こういう事が続くと、どの企業の株がいつ「紙屑同然」になるか分ったものではなく、下手をすると、売りが殺到して株価が暴落する危険は充分にある。
世界3大市場の一つ、東京の株価が暴落すると、必ずロンドン、ニューヨークに波及する。
たかが株価ではないのであって、1929年10月、ニューヨーク株式市場での株価の大暴落が世界大恐慌の引き金となった(暗黒の木曜日。ブラック・サーズデー)。
1987年には、それ以上の暴落が、やはりニューヨークで起きた(ブラックマンデー)が、ものすごい資金量を誇っていた日本の機関投資家が大蔵省から
「ちょっと(株を)買い支えてくれ」といわれて、東京で下げ止めたので(本当はもっと複雑なのだが、省略する)、世界大恐慌には至らなかったが、
次はどうなるか、誰にも分らない。暴落するかしないかわからないが、「不安定要因」があることは確かである。
そういう事態に陥った第一の責任は、勿論、有価証券報告書に虚偽記載をする企業本人にある。
しかし、元メリルリンチ(世界最大の証券会社)の上級副社長であった、つまり、市場に関してはプロ中のプロである岩國議員があれほど警告したのに、
まともに対処しなかった金融当局、ひいては行政府たる内閣の責任は大きい。
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