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2008年11月08日(土) |
今となっては、「昔の映画」なんでしょうか。「スウィング・ガールズ」テレビでやってましたね。また書きます。 |
◆映画「スウィング・ガールズ」のことを書くのは2度目ですが、何か、好きなんですよ。
少なくとも東京では今日(8日(土))フジテレビで夜9時から「スウィング・ガールズ」を放送していました。
昨年2月、私はこの映画について、日記・ブログに書いたので、これで2度目です。2度目と分かっていても書きたくなりました。
「スウィング・ガールズ」がテレビで放送されるのは、何度目でしょう。随分繰り返し放送されたと思いますが、今夜放送された目論見は明らかで、
この映画の監督、矢口史靖(しのぶ)さんの新作「ハッピー・フライト」が、
15日(土)から劇場公開されるからでしょう。その前に矢口監督の前作はこんなのでしたよ、ということでしょう。
新作については、見ていないので、何も書けませんが、「スウィング・ガールズ」は、楽器など触ったことも見たこともない、
田舎の女子高生がビッグ・バンドを結成して、ついにはコンサートで大熱演して盛り上がる、という作品です。
私は、音楽、しかも、自分がかつて関わった管楽器が関係する所為でしょう。この映画が妙に好きでして、
DVD(プレミアム・エディション)を持っているほどです。
◆ヘタクソなんですけどね。演じる女の子達がホントに楽器の練習をしているところなど、健気です。
DVD(プレミアム・エディション)を買うと、この映画に限りませんが、メイキングや、出演者インタビューとか、
色々載っています。私はこういうものが出回り始めたころ、どんなものかな、とあまり感心しませんでした。
つまり、映画はあくまで虚構の世界に浸るものであって、その製作過程はこうなんですよ、と、タネ明かしをしてしまっては、
興ざめになるのではないか、と思ったのです。ところが、必ずしもそうではない。
「スウィング・ガールズ」という映画を観ると、ストーリーを考えると、つじつまが合わないところとか、
解明されない部分がある訳です。例えば、一見ジャズに詳しそうな小沢先生(竹中直人)は無類のジャズ好きだけれど、
自分では楽譜が読めない。では、バンドのメンバーは楽器の演奏は誰に教わったのか?とか、
最後のコンサートでのプログラムはどうして決まったのか。何時の間に、あんなにレパートリーが増えたのか、等々。
「スウィング・ガールズ」に限らず、多くの映画には必ずそういうところがありますが、それは構わない。
気にならないような「いい加減さ」は許容されます。
メイキングDVDを見ると分かりますが、あの連中は2003年5月にオーディションがあって、
必ずしも楽器が出来ることを条件とせずに選ばれたのです。
メインの五人(上野樹里、貫地谷しほり、本仮屋ユイカ、豊島ゆかり、平岡祐太 )は、それぞれの楽器
(順に、テナー・サックス、トランペット、トロンボーン、ドラムス、キーボード)の経験皆無だったのを、何とゼロから教わり
(当然、プロの専門の先生達を雇ったのですが)基礎練習から始めて、なんとあの、ラストのコンサートのシーンは2003年8月に撮っている。
楽器を始めて3ヶ月であんなの無理です。無茶です。トランペット及び金管を指導した山口れお氏(本名。東京音大卒。N響の津堅さんの弟子)
は、最初、映画制作側から
「(演奏できるようになるまで)どれぐらいかかりますか?」
と訊かれて、
「まあ、1年あれば何とかなるでしょう」
と答えています。どう考えてもそうでしょう。1年でも本当は、まだ早いぐらいです。
しかし、映画製作者(というか、世間一般)の楽器演奏に対する認識なんて、あの程度なんですね。
映画のプロデューサーは、
「1年なんて待っていられない。3ヶ月でなんとかなりませんか?」
と、山口れお先生に頼む訳です。無理です。と言うべきところ、「何とかしましょう」と言って、
「何とかしてしまった」のがあの映画です。
これは、超例外で、仮に3ヶ月で吹けるようになったとしても、そういう風に無理矢理短期間で身につけたことは、すぐに身体が忘れてしまう。
上野樹里や貫地谷しほりは、多分今はもう、サックスやトランペットを吹けないと思います。勿体ないことです。
ただ、撮影に向けて、何が何でも吹けるようにならなくてはいけない。これは彼女らは女優であり、「演技の一部としての楽器演奏」。
つまり「仕事」なんですから、出来ないとは言えない。
とにかく朝から晩まで練習しながら、映画はクランクインします。
クランクインの後もヒマを見つけては、練習します。
で、前述の通り、コンサートのシーンは2003年8月に山形で5日間を費やして撮影した。演奏、はっきり言ってヘタクソですが、
演奏シーンを撮り終えたあと、皆今までの辛さからか、ボロボロ泣いています。健気です。
因みにこの映画は、二度に分けて撮られています。
夏にコンサートシーンその他を取り終えたあと、暫く間を置いて、2004年2月に冬のシーンを撮っています。
演奏会に申し込むシーンとか、演奏会用のビデオを撮るシーンとか、演奏会場へ向かう電車のシーンは後で撮っているのですね。
そして、編集を経て、事前のキャンペーンで東北で実際に演奏を何度も演ったりしたあと、2004年9月劇場公開となった訳です。
また、メイキングDVDを見ていて感心するのは、出演者のみならず、製作に関係したスタッフの苦労と勤勉さです。
映画を撮るということは、あれほど、細部まで手間がかかるものなのか、
あれほど多くの人々が、ウラで苦労しているのか、ということです。
細かいエピソードを書いているとキリがないので省きますが、
私がいつも書いていることですが「人を楽しませる、喜ばせる」、ためには大変な努力、労力を必要とします。偉大なことだと思います。
それにしても、「スウィング・ガールズ」わずか4年前の映画なのに、日本の社会ってのはせわしないですね。もう「古い」映画なのですね。
でも私は今でも時々、DVDを見ますが、良い映画だと思います。
◆映画公開後、スウィング・ガールズ、ファースト&ラストコンサートのライブ録音から。
映画封切り前後、出演した子たちは、キャンペーンのため、東京都内や東北やら、色んなところで実際に生で演奏しています。
ただ、ちゃんとしたコンサートとして演奏した最初で最後は、2004年12月27日〜28日の2日だけ。ホテル日航東京で行われた、
「SWING GIRLS First & Last Concert」だけなのですね。それを最後で、この連中は集まって演奏したことは、無い。
楽器を始めて1年半ですよ。まだ初心者です。これから面白くなる、という時だし、ビッグバンドでもクラシックのオーケストラでも、
言えることですが、合奏体というのは、年月を経ると、上手くなるし、次第に「円熟」していくものなんです。
スウィング・ガールズで演奏した連中は、あくまでも「映画の一部、演技としての演奏団体」だから仕方がないのでしょうが、
すぐに熱くなってすぐに止めてしまうところ。これが、いかにも日本人らしく、せっかちで、もったい無い、とおもいました。
その「SWING GIRLS First & Last Concert」のCDがありまして、そこでは、映画では演奏されていない曲もあるので、
いつもお聴かせしているクラシックのプロの演奏とは比べものにならないぐらいヘタクソなんですが、
私と同じく映画を観て、彼女らの演奏を聴いて懐かしく思われた方も多いとおもうので、敢えて載せます。
これらは、SWING GIRLS LIVE!! [Live] で聴けます。
全体にボリューム大きいですから、絞り気味でお聴きになった方が良いと思いますが、適宜調整なさって下さい。
最初。映画では、最初に「A列車で行こう(A列車で行こう)」を練習(?)しますが、コンサートのシーンでは演奏されていない。
ただ、キャンペーンでは繰り返し演奏しています。トランペット・ソロの子、ボロボロ間違えますが、まあ、聴いて下さい。
「A列車で行こう(TAKE THE A TRAIN)です。
TAKE THE A TRAIN
デューク・エリントンですね。ジャズのスタンダード・ナンバー中のスタンダード・ナンバー。
次も超スタンダード・ナンバー。グレンミラーのバンドの代表曲、「イン・ザ・ムード(IN THE MOOD)」。
IN THE MOOD
最後、段々音が上がっていくところ、トランペット・セクションが、ぐちゃぐちゃになりかけますが、
先ほど、A Trainでソロを吹いた、金崎睦美という娘(この娘のおかげでトランペット・セクションが辛うじて救われています)が、
何とかハイ・トーン(高音)を出してくれて、ホッとしました。
次は、映画では、全然出てきません。キャンペーンで演奏する間にレパートリーが少し増えていまして、その中から、
「オーバー・ザ・レインボウ(Over the Rainbow)」。元々、ジャズではなく、映画「オズの魔法使い」で使われた余りにも有名な曲を
ビッグバンド用にアレンジしたもの。
Over the Rainbow
元来2拍子系の曲を敢えて3拍子にしたことによって、スウィングしやすくなっています。こういうこともあるのですね。
さて、映画「スウィング・ガールズ」の最後に演奏されて盛り上がる、ベニー・グッドマンの代表曲“Sing,Sing,Sing”です。
映画ではトロンボーン・ソロは本仮屋ユイカが吹いていますが、彼女はこのコンサートにはNHKの朝ドラの撮影(多分)のせいで、
参加できず、別の娘が吹いています。トランペット・ソロは貫地谷しほりですが、最後のハイ・B(シのフラット)が辛い。
上野樹里のサックスも指が回らなくて大変ですが、まあ、若い娘が一生懸命吹いていて、良いです。
ダウンロード SINGSINGSING.mp3 (3987.7K)
ふう。まあ、細かいこと言ったら問題外なんですけど、何か若いっていいな、ということで(嫌味じゃないです)爽やかです。
最後におまけ。映画「スウィング・ガールズ」のエンド・ロールに使われていた、ナット・キング・コールの“LOVE"です。
ダウンロード LOVE.mp3 (2403.3K)
今回は完全に私が一人で気に入っている、という形ですが、景気の悪い話が続いてますから、
たまには、パーッと行きましょう、ということです。
それでは。失礼を致します。
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