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2005年11月08日(火) |
「日航が無配転落、全従業員の賃金10%カット」←給料減らせば安全性が増すのでしょうか? |
◆記事1:日航が無配転落、全従業員の賃金10%カット
日本航空は7日、財務体質を強化するため、2006年3月期の株主への配当(当初予定は1株あたり4円)を見送ると発表した。
日航はこれを受けて経営合理化を進め、全従業員を対象に、賃金を平均で10%カットする。
不採算の国際線の縮小や、燃費効率の良い中小型の航空機材の導入も進める。
一連の合理化策は同日午後、「事業再生プラン」として正式発表する。
日航が7日発表した05年9月中間連結決算は、原油高騰による費用増に加え、相次ぐ運航トラブルで国内線を中心に旅客離れが進み、税引き後利益が120億円の赤字になった。
中間期の税引き後利益が赤字となるのは、03年9月期以来、2年ぶりとなる。 (読売新聞) - 11月7日12時54分更新
◆記事2:最近の航空機関連トラブル
- ジェイエア機、主翼フラップ作動せず名古屋に引き返す - 読売新聞 - 社会 (11月8日)
- 全日空機、右エンジンだけで25分飛行…緊急着陸(読売新聞) (6日19時59分)
- 伊丹に緊急着陸のJAL機、循環ポンプ異常か(読売新聞) (4日6時46分)
- <JAL機>エンジン異常 大阪空港に緊急着陸(毎日新聞) (3日0時30分)
- 羽田行き日航機が緊急着陸 左エンジン止め(共同通信) (2日21時39分)
- <着陸許可>管制官がJAL機に出し忘れ 大阪空港で(毎日新聞) (2日21時17分)
- JAL系機で不具合相次ぐ 離陸中止、再出発後も異常 - 共同通信 - 社会
- 飛行中にエンジン部品脱落 全日空機が緊急着陸(共同通信) - 10月29日(土)23時26分
- 全日空機が引き返す 車輪格納できず。 同型機でトラブル相次ぐ 10月26日(水)
◆コメント:職員の給料を減らせば安全になるのか?
日本航空というのは、何だか無茶苦茶な事になっている。
日本の産業界の常識だが、日本航空は対外的には一つの会社なのだが、内部に労働組合が10種類もあるのだ。
地上職、客室乗務員、パイロット、整備士、その他諸々。
一体どうしてこうなったのかは、ややこしすぎて、正直に言うと私もすぐには、わからない。
例えば、日本航空客室乗務員組合のサイトの中にある、
日本航空の労働組合 というチャート(っていうのかね?)を見ると、とにかく凧糸がこんがらがったような状態であることだけは分かる。
大きく分けて、本来の労働組合、つまり組合員の権利を守るための労組と、
会社がこれを妨害させるために組織した会社側の「御用組合」があって、当然両者は仲が悪い。
一つの会社の中で、同じ飛行機に乗っていてもCA(どうもこの呼称は、私どもの年代にはしっくり来ない。やはり、「スチュワーデス」と言って貰わんと・・・)と、パイロットは別の組合員だし、
CAの中でも組合が違ったりすると、お互いに口も利かないということもあるようだ。
◆コメント:空を飛ぶ機械に人を乗せて運ぶのだから、中がゴタゴタしていては困る。
CA(キャビン・アテンダント=スチュワーデス)が機嫌が悪いぐらいなら、まだしも(それだって、客商売としては失格なのだが)、
そのようなカリカリした精神状態の人間が、空を飛ぶ飛行機を「整備」したり、「操縦」しているのでは、トラブルが続くのは無理もない。
おまけに、6月15日に書いたように、中国の工場に機体の整備を委託していたというのだから、恐ろしくて誰も乗らなくなっても不思議はない。
◆コメント:昨日付でJALが発表した改善策に中国の工場のことが書かれていない。
JALは11月7日付で「JALグループ 企業改革方針」を策定!というプレスリリースを発表した。
これほど世間で中国の工場に整備させていたことが噂になっていて、日本航空の職員がそれを知らないはずがないのに、
上層部に訴えることが出来る雰囲気ではないのだろうか。この改革方針では、中国の工場での機体整備に関する言及が全くない。
◆コメント:何でも民営化すればよいというものではない、という見本だ。
日本航空はその名前から想像がつくように、元来国営企業だった。
なにしろ「日本航空法」という国の法律があって、それにしたがって運営されていたのである。
日航123便が墜落した2年後、1987年、この法律は廃止になり、日航は完全民営化された。
郵便と、航空会社では、提供するサービスが全く異なるけれども、衆院選のときに小泉首相は、「何でも民が出来ることは、民にやらせた方が良い。」という主張を百万回ほど繰り返していた。
そうでしょうか?
日本航空を見れば、必ずしもそういう単純な話ではないことが分かると思うのだが。
民間会社になったがため、日本航空は、コストを削減するために中国の工場に機体の整備を委託したり、一番重視するべき安全対策に使う金を切りつめた。
これが、昨年辺りからやたらと機体整備不良などによるトラブルが相次いでいることと無関係でないことは、容易に推察出来る。
つまり、民営化すれば、出来る限り収益を上げなければならない。
そのためには、売り上げを伸ばすか、コストを切りつめるか、その両方をするかしかない。
売り上げを伸ばしたくても、911テロ、SARS、安い料金のエアラインの新規参入による競争の激化により、航空運賃を据え置くか下げざるを得ず、売り上げはのびない。
残る手は、コスト削減である。
それを、よりにもよって、航空機の整備に適用してしまったので、トラブルが続出した。
このために、乗客は減りさらに売り上げ(乗客数)が減るという悪循環をもたらし。ついには中間決算で赤字、無配となった。
これは会社の経営判断のミスである。
にも関わらず日航の経営陣は、まず、全職員の給料を減らすという。
これでは、日本航空の職員は皆、「やってられねえよ」という気分になる。殆ど目に見えている。
会社の経営責任を従業員に押しつけているからである。
真面目に働いても報われなければ、大抵の人間はやる気をなくす。無理からぬところだ。
◆コメント:郵政などより余程緊急事態ではないのですか?総理。
郵政民営化が実現して、「燃えつき症候群」になっていると立花隆に書かれた小泉首相だが、しっかりして欲しい。
飛行機会社は、とにかく安全性を最優先課題に置かなければならないが、民営化して売り上げが減り、安全対策費を削ってしまった。
これを見逃した監督官庁たる国交省、ひいては、行政府たる内閣、詰まるところは、内閣を代表する小泉首相の責任はおおきい。
日本航空は、民間会社にしておいては危ないということだ。
街には「改革を止めるな」などという自民党のポスターがところどころに貼ってある。
改革とは、財政支出を減らし、増税する事だろうが、改革よりまず人命であることは言うまでもない。
飛行機が落ちて人が死んでも、「改革」の方が大切だ、という論理に納得する人は誰もいないだろう。いたら、バカだ。
日本航空は、国有化して国の監視下に置き、採算を度外視して安全対策を講じるべきだ。
整備コストの切りつめなど言語道断。問題外。ましてや、中国の工場に整備させてはいけないのだ。
2004年11月08日(月) アメリカがファルージャを攻撃することの正当性の根拠は何か。
2003年11月08日(土) 「小泉改革宣言」は、かなり国民を愚弄している。各論点検。
2002年11月08日(金) しし座流星群19日未明ピーク。天文学の話題は壮大で、なかなか良い