外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
DiaryINDEXpastwill


2007年10月28日(日) 「青空文庫、6500作品入りDVD-ROMを図書館に寄贈」←青空文庫は無料(タダ)が当たり前、と思うべきではない。

◆記事:青空文庫、6500作品入りDVD-ROMを図書館に寄贈(10月27日1時7分配信 ITmediaニュース)

(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071027-00000007-zdn_n-sci)

青空文庫は、名作小説など6500作品を収録したDVD-ROM「青空文庫 全」を、全国約8000の図書館に10月末から寄贈する。

青空文庫で10月1日までに公開した、著作権保護期間が切れた作品を収録した。

収録したのは、夏目漱石、芥川竜之介、太宰治など作家・翻訳家407人分の作品。

公共図書館や大学付属図書館などには10月末に、高校図書館には11月20日ごろに届ける。

付属の冊子ではDVD-ROMの使い方のほか、青空文庫の成り立ちを解説。

著作権保護期間延長に反対する青空文庫の考えも盛り込む。


◆コメント:人は最初は他人の善意に感謝するが、直ぐに狎(な)れ、「当たり前」と思うようになる。

インターネットに接続できる環境にいて、青空文庫を知らない人は、まずいないだろうから説明を省く。

沿革とか、文字を入力している人々(青空文庫では「工作員」という)について詳しく知りたい方は、青空文庫早わかり

をご覧になることをお薦めする。

「青空文庫早わかり」の本文冒頭は次の一文で始まっている。

青空文庫は、利用に対価を求めない、インターネット電子図書館です。

この世知辛い世の中で「青空文庫」ほど寛大なプロジェクトを日本においては、他に知らない。

利用に対価を求めない。というのは、資本主義の原則に反した、無償の行為だ。
どうぞすきなだけ、引用して下さい。どの作品のどのページにも自由にリンクを貼って下さい。

ファイルのコピーも構いません(著作権法に抵触しない限り)。印刷してテキストに使って下さい。

ということなのだ。繰り返すが、他にこんなプロジェクトがあるだろうか。


一つ一つの文学作品は、ボランティアの工作員が、一文字ずつパソコンに入力しているのである。

これがどれだけ大変か。


試しに漱石の「坊っちゃん」の第一章を、

テキストエディタでもワープロソフトでも良いから、実際に入力してみると良い。



第一章とは「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。」に始まり、四国の中学に赴任する為、

汽車に乗るところ。本件の本題から逸れるが好きな場面なので引用する。
・・・停車場へ着いて、プラットフォームの上へ出た時、車に乗り込んだおれの顔をじっと見て、

「もうお別れになるかも知れません。随分ご機嫌よう」と小さな声で云った。目に涙が一杯たまっている。

おれは泣かなかった。しかし、もう少しで泣くところであった。汽車がよっぽど動き出してから、

もう、大丈夫だろうと思って、窓から首を出して、振り向いたら、やっぱり立っていた。何だか大変小さく見えた。


で終わる(この部分だけを抜粋すると一回も名前が出ない事に気が付いた。「随分ごきげんよう。」と云ったのは言うまでもなく、清である)。

この最後だけでもわずか188文字だが、漢字の用法、送り仮名、句読点などを正確に入力するには、

随分気を遣う。冒頭も、「親譲りの無鉄砲で小供の時から・・・」で「小供」となっている。普通に変換したら当然「子供」になる。



私は工作員ではないが、このようにすこし想像すれば、青空文庫の作品収録数、6500の凄さが分かろう。

(尤も、作品の中には、詩一編だけ、というのもあり、それは2行で1作品にカウントされる。が、それはやはり例外である。)


◆人間というのはあきれるほど図々しい生き物だ。

「青空文庫は、利用に対価を求めない、インターネット電子図書館です。」と宣言するだけあって

青空文庫自体が何も問題視していないのだから、大きなお世話なのだが敢えて記す。

世の中には、青空文庫から文庫本(紙の文庫本)を作り1冊100円で売っている会社がある。

ニンテンドーDS用に作ったDS文学全集も元本は青空文庫だ。

お風呂で読める本も、大きな活字の文庫も青空文庫を使った商品である。

商品を作ること自体いいですよ。青空文庫は自由に使って下さいと云っているのだから。

但し、これらの商品のどれも手にしたことがないから、分からないけれども、この作品のテキストは青空文庫から収録した。

感謝する、という記述はあって然るべきだ。世の中ケチでセコい奴が多いから、

「青空文庫が、『対価を求めない』と明言しているのだから、礼を云う必要はない」

という意見が多いのだろうか。そういうところで育ちが分かるってもんだ。

私がこれらの製品を作って売る会社の経営者だったら、
本製品のテキストはインターネット図書館「青空文庫」を全面的に利用させていただきました。

青空文庫を創りあげた関係諸氏に、厚く御礼申し上げます。

という意味の(もう少し文章を練るけれども)文言を表示させ、任天堂なんか散々儲けているのだから、

DS文学全集の売り上げから、なにがしか青空文庫に御礼をするように、命ずるであろう。



なお、今回青空文庫が図書館に配布するものとは異なるが、インターネット図書館 青空文庫というDVD付の本がある。

5,000を超える数の文学作品がDVDに収められている。

【読者の皆様にお願い】

駄文をお読みになり、お気に召した場合、エンピツの投票ボタンをクリックしていただけると、幸甚です。

画面の右下にボタンがあります。

よろしく御願いいたします。


2006年10月28日(土) 「カール・ベーム&ウィーン・フィル(1977年日本公演)」(DVD)30年ぶりですね。ベーム先生。お久しぶりです。
2005年10月28日(金) 「日本音コン:ホルン本選会、大野雄太さんが1位」←プロが毎コン受けるのは立派ですよ。
2004年10月28日(木) 「新潟県中越地震、Fujisan.co.jp、イーバンクと goo も支援」←カードで簡単に寄付ができます。
2003年10月28日(火) 自民党の二枚舌「小泉改革宣言」と「解説・自民党重点施策
2002年10月28日(月) 「感覚は欺かない。判断が欺くのだ。」(ゲーテ)

JIRO |HomePage

My追加