白い木蓮の花の下で  

    〜逝くときは白い木蓮の花の下で〜

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引越し先 白い木蓮の花の下で


2014年05月23日(金) 迷子のお婆さん。

今日、迷子のお婆さんに道を尋ねられた。

そのお婆さん、どこにお住まいなのかは分からないけれど、娘が赤ちゃん時代からの顔見知り。娘は赤ちゃん時代から体力が有り余っていて、散歩と言うには遠すぎる距離を歩きまくっていた。お婆さんとはその頃、顔見知りになった。たぶん痴呆症からの徘徊なのだと思う。少女のような可愛らしい格好をして、日傘を差して、歩き辛そうなパンプスを履いて毎日恐ろしい距離を移動しておられる。私と娘の徒歩行動圏はかなり広いのだけど、そのお婆さんの徒歩行動圏も相当広い。

そのお婆さんとは特に親しいと言う訳ではないのだけれど、なんとなく目が合ったらひと言ふた言、言葉を交わす。「桜が綺麗に咲きましたね」とか「なんだか今日は肌寒いですね」とか。今日は「あのね。ここ、どこですか? なんだか道が分からないのだけど」と聞かれた。

……困った……凄く困ってしまった。

そのお婆さんは痴呆症だと思うのだけど、ご自身はしっかりしていると思っている節がある。お年寄り扱いされて「まぁ。なんて失礼なのかしら!」と怒っている場面を見たことがある。交番に相談した方が良いのは分かっていたけれど、交番は遠くて誘導するのが大変そう。

「この辺りは似たような家が沢山並んでいますから、慣れている人間でも迷うんですよねぇ」なんて言いながら、お婆さんを1番よく見かける住宅地へ案内した。すると「私の家、この近くなんですよ。また遊びに来てくださいね」と言って、お婆さんは行ってしまった。お婆さんを見かける頻度から推察するに、たぶん本当にお家の近くだろうから、もしまた分からなくなっても、近所の誰かが助けてくれるだろう。

お婆さんは家族の話をしていたから、たぶん一人暮らしではないのだと思う。ご家族はさぞ心配だろうなぁ……。お婆さん自身は「ちょっと変」ではあるけれど、歩きまわる意外に困った行動は無い。でもきっとご家族はお婆さんを探し回ったりする事もあるだろう。私自身、徘徊する父親を尾行した経験があるだけになんだか複雑な気持ちになってしまった。

年をとるのは大変だ。そして年をとった人と暮らしていくのも大変だ。

今日は色々と考えさせられてしまった。私もいつかはそうなるのだろうし、母達だっていつかはそうなっていくのだろうし。元気なままで健やかに老いる事が出来れば良いのになぁ……なんて事を思いつつ、今日の日記はこれにてオシマイ。


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【同月同日の過去日記】
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