其れが、 人知の及ばぬ事で。
其れが、 突飛で在る事は。
否定出来ないのだけれど。
他方で。
其れが、 想像の範疇を逸脱するかと問えば。
然程、 特異な事柄では無くて。
意外に、 自然な成り行きなのかも知れないのだ。
其れよりも。
想像も、 説明も付かず。
人知も、 理解も超え。
突飛で、 不審な、 其の存在こそ。
不可思議に他ならない。
珈琲を飲みながら。
「不思議じゃないと?」
ふと、 あの子は言の葉を零すけれど。
「不思議じゃないと?」
「何が?」
「二十年近く経ってさ。」
「こうやって一緒に居る事?」
「そう。」
「そうか?」
俺にとって不可思議なのは、 今の刻では無くて。
残り数ヶ月と告げられ、 何度も、 何度も、 川を渡り掛けた上で。
今、 平然と眼前に在る其の、 身体なんだよ。
---------- References Sep.18 2012, 「見て居なかったのだと斬り付けるのですか」 Dec.24 2017, 「聖夜の贈り物は本物でしょうか」
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