良い日和の中、 散歩がてらの近況報告も悪くない。
そんな腹積もりは、 瞬時に何処かへ飛び去って、 跡形も無くなった。
「じゃぁ、そっちに行ったら。」 「ちゃんと抱いてよね。」
僅か二月前に、 冗談混じりで届いた筈の文が。
既に役立たぬ情報しか持たぬ事を、 悟ると共に。
「彼の許可が出たから。」
さっき届いた此の、 彼女の一言は。
消極的な目的を、 積極的な目的へと変貌させるに、 十分だった。
離別の理由と、 其の決定打。
息子との関係と、 其の相性。
生ずる苦悩と、 其の解決法。
年齢も、 家族構成も、 姫に酷似した彼女だから。
聞かねばならぬ、 機会を逃せぬ、 理由が在る。
けれども。
其の想いは、 問う立場と同時に、 答える立場も要求するのか。
缶麦酒片手に、 眼前の桜をぼんやりと観ながら。
花見の彼女の問いに、 一つ一つ、 解答を探して答え。
少し危険な匂いを身に纏う雄に、 惹かれ始めた友人の。
「今度会うときもしか泣いてたら。」 「なぐさめろよ。」
不安の欠片に。
「今度会ったときにも。」 「幸せな笑顔見せてね。」
精一杯の応援を、 贈りながら。
少し後悔した。
満開近くの桜の姿は、 あくまで携帯の中の夢物語で。
気が付けば。
桜の姿も、 俺の欲した解答も、 何の記憶も残って居ないんだよ。 |