其れが、 機能的な減弱に因る、 不可避の反応でも。
或いは、 苦痛から回避する為の、 敢えての遮断でも。
途切れた記憶は。
一つの、 応えに他ならない。
けれども。
其れが、 意志の与り知らぬ範囲で、 為された事ならば。
抗う縁も、 其処に在って良いから。
一つだけ。
其の鍵を、 預かって居るのだ。
無論。
使わずに済む事を、 希いながら。
あの子は。
「知らない人ばかりなんだけれど。」 「前から知ってるみたいな会話してくるんだよ。」
慎重に、 周囲の様子を把握し。
「今日は先生達と面談が組まれたんだけれど。」
「先生達に記憶が飛んだ事も伝えてね。」
「そっか。」 「だから心療内科も精神科も来るのか。」
俺の贈る其の鍵に、 瞬時に応じて。
何が起きたかを覚る。
知ってるよ。
そう答えられる程に、 傍に居れば。
幾度も想いを失う、 其の必要も。
無くなるのだろうか。
「ってことは。」 「私が入院して繋がれている理由も」 「私以上に知っているのかな?」
あの子の、 其の問いに応える事は。
多分。
預かった鍵の範疇を、 逸脱して了うね。
---------- References Feb.07 2017, 「忘れる刻限が来たのでしょうか」
Nov.05 2015, 「望みを叶えたのでしょうか」 Dec.02 2015, 「半信半疑のお帰りでしょうか」
Feb.17 2015, 「夜中の海は止めませんか」 Feb.22 2015, 「私は誰でしょうか」 Fed.27 2015, 「今の私は何方でしょうか」
Jul.11 2014, 「想い入れの深いお帰りでしょうか」 Jul.04 2014, 「命を賭した挑発なのでしょうか」
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