言の葉には。
確かに、 限り無い能力が宿る事は、 在るのだけれど。
言の葉は。
飽く迄、 言の葉に過ぎず。
其の範疇を超える事も、 無いのだ。
其れ故に。
一文字、 一文字、 必死になぞり得た筈の、 其の想いは。
時に、 蜃気楼の様に、 遠離り。
時に、 寄生虫の様に、 其の身を蝕んで行く。
其れでも。
顔の視えぬ儘で、 何も聞かされぬ儘で。
無責任な言の葉を、 吐く事が。
解だろうか。
「何故こんなにも許せないか。」 「やっと分かった。」 「私は帰りたかった。」 「嘘でも良かったんだよ。」
あの子が、 想いの一部を封じた理由は。
「無理だよねじゃなくて。」 「一緒に帰ろうねって言って欲しかった。」
覚悟の足りぬ俺が零した、 言の葉だと。
其れは。
言われなくても、 気付いて居るのだけれど。
其れでも。
首を、 縦には振れないんだ。
あの時も。
今でも。
---------- References Apr.28 2016, 「足らぬ覚悟を問われて居るのでしょうか」 Jan.03 2016, 「愛は死に至らしめる事でしょうか」 Oct.25 2014, 「細糸を頼む覚悟が保てますか」 Jul.16 2014, 「覚悟の意味を受け入れられますか」
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