< 其処迄限界に近かったのですか >
其れ迄、 可能性は皆無で在った筈の、 言葉を。
一瞬にして、 実の伴うかも知れぬ存在に、 挿げ替えたのは。
其の瞬間で。
其の身が、 既に極限に達する迄、 疲弊して居た事と。
同時に、 自身の認識の甘さとを、 思い知る。
お互いに受身だから。
不足する強引さを提供すれば、 いとも簡単に、 壁を崩す事が可能だと。
早くから、 認識して居た筈なのに。
逸脱気味の言葉も。
全て、 冗談や軽口の応酬で。
「相変わらず綺麗だね。」
「あら、襲ってみちゃう?」
「本当に襲っちまうぞ。」
「何でこっちに旅しに来たの?」
「小坊主に逢いに来たんだよ〜。」
「残念、独り身じゃ無いからなぁ。」
飽く迄、 友人の域に留まる事を、 条件として。
確固たる位置に、 存在して居たけれど。
「ねぇ。」
「ん?」
「こんな所で手を繋いだらまずい?」
そう言いながら、 手を伸ばして来た、 花見の彼女は。
既にもう、 友人の姿では無かった。
何時の間に、 其れ程大きな魔力を、 宿したのだろう。
惚れ惚れする程、 逆効果じゃないか。
二人きりの昇降機で。
「頑張れよ。」
そう言いながら、 軽く交わした口付けが。
---------- References Mar.28 2004, 「聞き上手でしたか」 |
2004年09月19日(日)
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