少しずつ、 少しずつ。
余力を、 掻き集めて置く事で。
降り掛かる禍を跳ね返す為の、 其の力が。
蓄積されて在る筈なのに。
渦中に飲み込まれた、 其の刻に。
何の役にも立たぬ余力なのだと、 気付かされる。
其れでも。
尽きる生の、 尽きぬ内は。
ひたすらに、 身体に鞭を打ち続け。
其の、 無力な余力の為に。
自身の一部を切り取って、 蓄えよと。
そう言うのだろうか。
其れとも。
尽きる生を知るか否か。
唯、 其の一点だけの違いで在って。
本質的には。
何の違いも無いのだろうか。
「仕事決まったよ。」 「退院も。」
「そっか。」
「治療が何も出来ないのに。」 「入院を続けては居られないから。」
まるで苦行だと言わんばかりに。
あの子は、 荒波の中へと引き返した。
---------- References Jul.26 2014, 「夢や目標は無力でしょうか」 Aug.03 2014, 「何処に向かう断髪でしょうか」
|