再度届いた言葉は、 何故の催促なのだろうか。
「もう一度ちゃんと話し合いたい。」
貴女の意図する話し合いは、 何を目的にしているのだろうか。
お互いの歯車が、 微妙に噛み合わない理由は。
きっと目的の違いだ。
俺はあの時、 貴女の意思の確認など、 求めては無かった。
現実に起こった事実と、 其の対応策を如何にすべきか。
独りで決めてはならぬ物だと想うから、 貴女に伝えたのだ。
貴女は女性だけれど、 同時に一家の大黒柱なのだから。
「小坊主と一緒にって想いがあるから。」 「半年は待てる。」
此の言葉は、 本当に有り難い物だけれど。 此の言葉は、 必ず必要な物だけれど。
俺は貴女の、 想いや決意を聞いて居るんじゃ無い。
「小坊主となら《未来》を想像出来るの。」 「《おじいちゃん、おばあちゃんになった未来》が。」
此の言葉は、 本当に有り難い物だけれど。 此の言葉は、 必ず必要な物だけれど。
俺は貴女の、 想像や夢を聞きたいんじゃ無い。
想いだけなら、 幾らでも想える。
半年の為に何が必要か、 其の先の為に何が足りないのか、 見えて来ないだろう?
そんな先の事を考える前に、 目先の一歩を、 如何したら踏み出す事が出来るか、 其の為の考えが在る?
確証。 確約。
「貴女と一緒に歩みたい。」
貴女が不安に陥る度に、 俺に求める、 此の類の言葉。
其れを聞けば、 貴女は話し合いが済んだと、 安心するんだろう。
きっと、 後ろ向きの想いが出発点だから。
只の想いの確認が、 精一杯の行動なのだろう。
「小坊主を失いたくない。」
こんな想いに囚われ、 こんな想いに駆られた行動では。
対等な立場で、 話し合える訳が無い。 |