本来ならば。
飽く迄、 互いの意思が其処には在って。
其の二つの意思が、 折り合い、 並立する筈なのだけれど。
時に。
意思の他方を無視し、 一方のみを物差しにする輩が、 在るから。
其処に触れぬ様。
そっと、 身を隠す。
其れは。
唯、 時間稼ぎに過ぎないと、 知って居ながら。
「あっちゃったよ。」 「振り切ってきたけれど。」
平静を装う、 あの子の電信に。
慌てて、 電話したけれど。
「大丈夫か?」
「うん。」 「まだドキドキしてる。」
「後ろ見ながら?」
「うん。」 「様子見ながら帰って来たよ。」 「だから大丈夫。」
其の、 あの子の言の葉が、 大した根拠に基づかぬ事を。
俺も、 あの子も、 理解して居るのだ。
何処迄、 つけて来ただろうか。
もう。
息を潜める毎日など、 送って欲しくは無いのに。
---------- References Aug.30 2011, 「届かぬ距離も護れませんか」
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