自身の孤独を生贄に得られる、 安心感と。
一家の緊張感と引き換えに得る、 日々の賑やかさと。
其の何方を取るのかと、 問われれば。
明確に、 前者を選ぶのだけれど。
彼方此方で、 非日常に暴露される事で。
幾度も、 幾度も、 緊張を強いられる事で。
少しずつ、 少しずつ、 自身を削られては。
気付かぬ内に。
其の基準が、 彷徨い始めて居るのかも知れない。
「しんどろくだよね!」 「きんきゅうじしんそくほうでた?」
恐らくは、 起き抜けに掛けて来た、 娘の。
電話越しに届く、 目一杯の不安の声に。
「沢山揺れたよ。」 「でも何とも無いから大丈夫。」
「ぱぱはだいじょうぶだって!」
続く揺れで波打つ身体を、 抑え付けながら。
極力落ち着いた声を、 其処に、 重ね合わせた。
本当は虚仮威しで。
余震と緊張感と地震酔いとで、 壊れた感覚を。
其の声と、 伝え聞く其の穏やかな日々に、 支えられてるのにね。
---------- References Mar.11 2011, 「浮かんだ命が真実でしょうか」
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