例え、 何れ程癒えて居ようとも。
過去は、 過去として在り続けるから。
其処で、 奏でられる調べに。
亡き友の望んだ想いを、 重ねぬ筈は無いのだけれど。
語る事無く。
気にする素振りも無く。
唯じっと耳を傾けた、 其の刹那は。
或いは。
其の友の希った場所へ。
姫が、 初めて身を置いた刻だったのかも知れない。
杜に響く独特の拍。
そして。
其の音に拘り続けながら、 行く末を目にする事無く道半ばで逝った、 友。
「楽しかったね。」
姫は初めて、 純粋に音に酔った。
一言も、 其の友を話題に出す事無く。
---------- References 「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」
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