規定された順序、 規定された長さ。
淡々と動作する指捌きなのだろうか。
嘗て記憶した音源を、 次々と呼び起こし。
内なる領域で奏でるのだろうか。
時折刻まれる緩急を、 機敏に感知して。
想いを揺らす事が在るのだろうか。
音の震えに因る事無く、 其の場に、 在り続ける刻は。
想像に難い。
「自分が異邦人のように感じる時があるの。」 「辛くて逃げちゃうの。」 「でも今は耐えられるようになったかもしれない。」 「小坊主といる時を想いだしてる。」
輪に加わる事の出来ぬ刻。
何方と言えば、 稀に存在する筈の刻が。
飽く迄、 普段の刻で在るのだとしたら。
如何に、 世界が変わって了うのだろう。
「ピアノレッスン。」
坂の街の人から届く、 其の件名の。
心意を、 捜し当てられぬ侭。
其れでも。
届いた孤を、 必死に、 腕にくるむ。
---------- References Mar.10 2008, 「好きだけが理由でしょうか」
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