其の、 二つの行動に。
何の差異も、 存在しないから。
其の行為は。
唯、 二つの基準を、 都合良く使い分けて居るに、 過ぎないのだけれど。
発した言葉は。
使い分けを非難する為の想いでは、 決して無いのだ。
飽く迄。
行為の本質に、 視線を向ければ良いのに。
何故に、 行動に至ったのか。
其の想いを、 見据えてくれれば良いのに。
俺の行動も、 愛情が誘発した衝動なのだと。
其処に在る想いは、 姫の、 今の行動と同義なのだと。
唯。
理解に至れば、 其れで十分なのに。
如何して。
行動に、 目を奪われ。
二重の基準に、 憤慨し。
諍いの因として、 言葉を、 捉えて終うのだろう。
「納豆まみれのキスは嫌なのに。」 「何で餡こまみれでキスするの?」
「小坊主にしてないんだから。」 「良いでしょ!」
「相手の問題か?」 「如何して自分の嫌がる事を人にするんだよ。」
「小坊主のは嫌がらせ。」 「私のは愛情だもん!」
「でも、此の子。」 「嫌がってるじゃん・・・」
「うるさいわね!」 「喜んでるのよ!」
口の周囲に、 餡を付けたまま。
姫は、 娘に、 口付けをした。
多分。
俺は、 妬いたんだ。
---------- References Mar.13 2006, 「知らない事も多いのでしょうか」
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