想いに。
形など、 不要だけれど。
想いを刻んだ、 其の、 証として。
形は、 成立し得るのだ。
其れ故に。
両の掌の隙間から零れ落ちる、 砂の様な想いに。
霞の向こうで消え入りそうな、 一寸先の想いに。
確固たる形を欲して終う。
けれども。
其の形は。
時に、 想いを阻む矛盾として、 自身の奥底へと杭を打ち込んで来るのだ。
鋭い尖端を、 研ぎ澄ましながら。
「私。」 「なぜ結婚しているんだろう。」
初めて。
坂の街の人は、 一瞬、 其の形に囚われ掛けた。
何も知らぬ俺には、 何も応える術が無いと。
知って居るのにね。
---------- References Jul.11 2007, 「想いの味は如何でしょうか」
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