嗜好は、 個々人に独立して添えられる物で。
自身に与えられた環境に準じて、 創られるのだけれど。
嗜好の、 其の素因は。
飽く迄。
二つの、 自身を構成する嗜好に、 依存するのだ。
其れ故に。
未だ、 自身に与えられる年月の、 乏しい存在に。
宿る嗜好は。
鏡像の如く。
其の源流を、 映すに違いない。
「同級生だったから。」 「良く棒でつついたんだよね・・・。」
「蒲鉾屋の社長?」
「お淑やかにしてれば。」 「今ごろ玉の輿だったのに・・・。」
嘗て。
俺に漏らした、 姫の、 幼少時代の姿を。
ふと。
娘に、 重ねて了う。
祖母から贈られた、 飯事遊びの品の中から。
迷わずに、 包丁を取り出し。
娘は。
其の切っ先を、 俺に向けた。
満面の笑みと共に。
|