軽重の差は在れど。
其の数は、 物差しに他ならないから。
多くの言葉が、 届く事を。
望むのだけれど。
深層は。
良質の言葉以外に、 然したる意味など無い事を。
良く、 自覚して居るのかも知れない。
其の寂寥感は。
唯一と言う、 数の少なさに由来する感覚では、 無くて。
飽く迄。
唯一故に、 結果的に極めて際立って了った、 其の想いが。
余計に。
傍には無い温感を、 際立たせたに過ぎないのだ。
「小坊主。」 「誕生日おめでとう。」
「ありがとう。」 「でも少し寂しい。」
「じゃぁ。」 「私から何通も贈る?」
日付の進んだ其の直後に、 届いた文は。
唯一。
坂の街の人からの、 一通だった。
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