其処に、 刻み込まれて居るのは。
飽く迄、 形式に他ならなくて。
新規に、 或いは継続的に、 注ぎ込まない限りは。
其処に、 想いは宿らないのだ。
其れ故に。
其処に、 如何なる意思が隠ろうと。
其処に、 如何なる意思も無かろうと。
注視すべきは。
飽く迄、 其の指では無いのかも知れない。
けれども。
証足る輪を、 定められた指から外すと言う、 其の行為は。
明確に、 契約の破棄を意味するのだ。
何カ月振りだろうか。
娘の臍の緒と共に、 無造作に、 箱に収められて居た、 証の輪が。
姫の、 薬指に戻った。
右の、 薬指だけれど。
---------- References Aug.23 2006, 「其の輪は柵の象徴なのでしょうか」
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