実か、 虚か、 其の何れなのかと問えば。
紛れも無く、 虚に過ぎないけれど。
何れ程、 言葉を交わそうと。
交わす軽口の言葉の、 一片にすら。
真は、 宿されて居ないけれど。
其れ故に。
尚更の、 配慮が必要で。
僅かでも。
虚に、 疑の一片を付加した、 其の瞬間に。
崩れた信は。
真を、 呼び覚まして終う。
全ての元凶は、 其処に在るのだと。
互いに、 理解して居ながら。
何故に。
諍いの因の、 一端を。
担わせて了った、 相手に。
舌を出しながら、 軽口を振り。
其の軽口に。
鋭く軽快な応答を、 魅せるのだ。
「小坊主さん。」 「大丈夫でしたか?」
「家に二人切りだったからね。」 「流石に怒ってるよ。」
「すみません。」 「こんなことになっちゃって。」
「別れちゃったら。」 「責任取ってね。」
「えへへ。」
だから。
最後の壁を、 越えられないのに。
俺も。
お嬢も。
---------- References Sep.12 2005, 「不治の擾乱でしょうか」
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