無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2004年05月14日(金) 内憂外患、振り回されてますよ(T∇T)。

 今日も週明けの準備のために残業。24時間のうち、半分以上職場に詰めてる日の方が普通になってきてるけど、こんなんじゃマトモな家庭生活が営めるわきゃないのである。
 その残業の原因となっているトンガリさんであるが、今日もまた以前愚痴ってた苦情をクドクドとしゃべり続けている。いつも通りやたらセンテンスが長い上に目的語がケツラクしまくってるもので何が言いたいのか翻訳するのに時間がかかるのだが、そんな努力をしているうちに、だんだんどうしていちいちこの人の言葉を理解してやらなけりゃならないのだろうか、という気になって来る。どうせピント外れで手前勝手な苦情ばかりなんだから。だいたい仕事こちらに押しつけといて、その仕事ぶりに文句つけるってなあどういう了見なんだ。
 新しく転属、入社してきた人に対してもイヤミを言うわつっけんどんな態度を取るわ、ここんとこわがままのし放題なのである。トンガリさんに対する不満や苦情はどんどん増えるばかり、もはやこの人のことをよく言う人は皆無になりつつあるのだが、それでも堂々としていられるあたり、この人、意外とブットイ神経してるんじゃなかろか。

 シネ・リーブル博多駅では今、5周年企画として、「猟奇幻想文学秘宝館」をレイトショー上映している。今日は丸山明宏主演版の『黒蜥蜴』の最終日だったので、それを見に行くつもりだった。
 ところが、帰り道、バスに乗りこんだところで、しげからメールが来ていることに気付いて開いてみると、「電話が使えないよ?」とある。何のことやら、と折り返し電話をしてみると、「昼頃、ベルが鳴ったかと思ったら、電話が通じなくなった」と言うのである。
 「電話だけじゃなくて、ネットもつながらんと」
 「どっか、コード足に引っ掛けるとかしたんじゃないのか?」
 「それはないよ。だってパソコンから離れたところにいたもん」
 「故障なら、なんでNTTに連絡しなかったんだよ」
 「だって、ネットがつながらないことなんてよくあるし、もう1回立ち上げたらつながることもあるから」
 「でも電話がつながらないのは故障だろう。前にもこんなことあっただろうが、なんで電話1本かけるくらいのことしないんだよ。今からでもすぐかけろ」
 「もう仕事に出てるからできないよ」
 仕方なく、帰りながら携帯からNTTに連絡を取ってみると、確かにどこかで接続が途絶しているらしい。しかし、実際にどこがどうなっているかは現場に行ってみないと分らないし、今日はもう夜も遅くて対処ができないと言う。
 映画に行くことは諦めて、帰宅した。電話本体に故障があるなら私だってどうにも対処のしようがないのだが、ともかく現物を確認してみるしかないのである。
 帰宅して、電話の受話器を取ってみる。確かに、ウンともスンとも言わない。モデムを確認してみたが、異常はない。これは本格的に故障なのだろうか。修理するとなるといったいいくらかかるんだろうか。不安に駆られながら、ふと、パソコンの周辺を見てみたら。
 思わず目が丸くなった。
 電源のコンセントが外れていたのだ。
 一瞬、私の目の迷いかと思ったのだ。あれだけ、「どこかコードが抜けてんじゃないのか」としげに念を押して、「それはない」と断言されたのである。まさか、“コンセントが抜けてた”だけ……?
 恐る恐る、コンセントをつないでみた。
 電話は通じた。ネットも開いた。
 結論。しげは糞馬鹿である。いや、わかってたことではあるけれども、ほんの一瞬でもしげの言葉を信じた私はもっと馬鹿だった。こんなことならしげの言葉など無視して、映画に行ってりゃよかった。昔見た映画だから、「見逃した」と思うほどに悔しくはないのが救いではあったが。
 帰宅したしげに「コンセントが抜けてただけだったぞ!」と怒ったら、「あれ! 真っ先にコンセントは見たのに!」と言い訳をする。
 「だから、いつもの通り、『見た』けど『見えてなかった』んだろ!?」
 「じゃあ、いつの間にかコードが抜けたんだ」
 「勝手にコードが抜けるか! おまえしかいなかったんだから、おまえがコードを引っ掛けたことに気がつかなかったのに決まってるだろうが! それで自信たっぷりに『自分じゃない』なんて言い訳するな!」
 失敗したなら失敗したで仕方がないから、せめて「ゴメン」のヒトコトくらい言ってもいいのに、それが言えずに言い訳してごまかそうとするところがしげの腐ってる証拠なのである。ああ、内でも外でもどうしてこう私の回りには脳の膿んでるやつばっかりなのか。
 来月の給料は渡さないからそう思え。


 しげのバイト先で、新しく「野菜ジュース」がセットにつくことになったそうなのだが、これが店員さんには頗る評判が悪い。
 どうやら、味がどうの、と言うよりも、そのジュースに「野菜の戦士」なんて名前がついてることが問題らしい。ちょっとネーミングセンスに問題があるとか考えなかったのか、大○製薬。
 ジュースは2種類あるのだけれど、しげはその色からそれぞれ「赤い戦士」「黄色い戦士」と呼んでいる。なんだか昔武田鉄矢が宣伝していた某うどんの名前みたいだが、しげのボケはその程度では治まらなかった。
「二つ混ぜて、ミドリの戦士にして飲むんだ♪」
……マジでコケそうになりましたよ、私ゃ(-_-;)。
「……おまえ、今、なんつった?」
「え? 赤と黄色で緑……」
「赤と黄色を混ぜても緑にゃならんわっ!」
「えっ、ホント!?」
コイツには小学生並の知識もないのか(-_-;)。
「じゃあ、赤と黄色を混ぜたら何色になると!?」
「朱色か橙だっ!」
「はあー。」
感心するなよ、こんなことで。


 『CASSHERN』の興行収入が20億円に達する勢いだとか。5月13日までの上映期間延長が決まっただけでなく、アメリカを含む世界各国で公開される可能性も出ているということである。アメちゃんは複雑なドラマは苦手だろうから、こういう真っ直ぐなメッセージ映画はそれなりにウケるんちゃうかな。
 都内ではイマイチ動員数が伸び悩んでいる『キル・ビルVol.2』と上映館を差し換えているところもあるとか。『キル・ビル』の方も気に入っている私としては、それはそれで複雑な心境ではあるのだが、「ウタダ夫」というだけではこれだけの動員は不可能だろう。やっぱりみんな、あの映画に「感動」しているのである。
 コンテンツにも書いた通り、「つまらなくはないが説教臭い」「もう少し刈り込んだら」というのが私の『CASSHERN』に対する感想である。けど、それにメゲない人もいるということであれば、あの映画の時間の長さも押しつけがましさも、あまり気にしない人が結構多いということになる。というか、「説教してもらうのを喜ぶ」感覚が若い観客の中には厳然としてあるんじゃないだろうか。
 つまりはそれは人間の「強制的な強権に対して付き従う」性向を利用していることになり、『CASSHERN』が打ち出しているファシズムや戦争に対する反発とは裏腹のものになってしまっていると思うんだけど、そのあたりを気にした指摘があまり見当たらないのはどういうわけなんだろう。

2003年05月14日(水) すっ飛ばし日記/モテる男の心中
2002年05月14日(火) 2001年アニメグランプリ/『ななか6/17』7巻(八神健)ほか
2001年05月14日(月) 今日の実験……失敗/今週の少年ジャンプ『ヒカルの碁』


2004年05月13日(木) そう言えば梅雨なんだわ。

 午前中はずっと雨。
 おかげで蒸し暑くて、イマイチ仕事に熱中できず。トンガリさんの代行だから、もともと乗り気はしてないんだが。それでも何とか午前中に形をつけたら、殆ど誰の手も借りずにやったからだろうか、上司たちが揃って「ご苦労さまでした」「ありがとうございました」とお礼の言葉をかけてくれる。
 ……ってもよう、もともとトンガリさんの仕事なんだから、上司としては、トンガリさんにいかに仕事をさせたらいいか考える方がスジなんじゃねえの? もちろんスジなんか通らない相手だから、徒労に終わることは眼に見えちゃいるけど、それでもやんなきゃなんないのが「仕事」ってもんだろうによう。
 今日は更に私の作成した書類がトンガリさんに「不備がある」って言われて突っ返されちゃいました。確かに不備はあったんだけど、だからその書類も本来トンガリさんが作んなきゃなんない書類を私が代行して作ったんだって事実、ちゃんと認識してる?


 しげは今日は、昼仕事。夜はゆっくりできるので、一緒に買い物。
 帰りにマクドナルドでてりたまバーガーを買って、これが今日の晩御飯。どこかに遊びに行ってもいいなあと思ったけれど、しげも私も金欠病なのでそれは断念したのだった。いや、まだ『ロスト・イン・トランスレーション』見に行かなきゃならないからね、今ムダ遣いはできないのよ。

 しげがずっとパソコンを使っているので、ネットの散策もできず。仕方がないので、録画したままラベルも書かずに放っといてたDVD‐Rを整理する。
 まだじっくり見てない映画やアニメも多いんだけど、こうしょっちゅう残業が多いんじゃ、見る時間自体、なかなか捻出できないのである。ああ、涙(T.T)。……残業した次の日は、その分早く帰ってもいいとかいう恩情措置は取ってくれないものかな。
 先日録画しておいた宮部みゆき×大林宣彦の『理由』をしげが見たがっていたので、DVDの山の中から探し出す。しげと一緒に見ようと思っていたので、これも未見のままだった。テレビ本体の方は乗りかかった船で私がDVDの中身を確認するのに使っていたので、しげはプレステ2の方を使って見ようとした。けれど、機種がどうやら合わないらしくて、いっかな再生できない。しげ、「見れ〜ん(TロT)」と泣いているが、そんなこと言われたって私だってどうしようもない。けどおかしいなあ、こないだ何かを録画した時はちゃんと再生できたんだが。DVDによっても再生できるものとできないものがあるのかもしれない。
 しげは別に大林宣彦ファンというわけではないのだが、昨今の日本映画の監督が、あまりにヒドイやつが多いので、必然的に大林宣彦の映画に注目しなきゃならなくなっているのである。とは言え、大林宣彦だって、「巨匠」なんて呼ぶ人もいるけれども、そこまで誉めちぎるのもどうかな、という気がしてしまう。なんたって、『瞳の中の訪問者』とか『ねらわれた学園』とかいう“怪作”があるものなあ。けれど私もしげも、山中恒原作の『転校生』や『さびしんぼう』、赤川次郎原作の『ふたり』や『三毛猫ホームズの推理』なんて大傑作があるものだから、どうしても大林宣彦映画には惹きつけられてしまうのである。ああ、あと小林信彦はケチョンケチョンに貶してたけど、誰がなんと言おうが『金田一耕助の冒険』は傑作です(^o^)。『キル・ビル』誉めるんなら、アレも誉めなきゃウソってもんじゃない?
 『理由』はまだ私も見てないのだが、大林さんが妙な「イロケ」さえ出さなきゃ、結構いいものにゃなってるだろうと思う。宮部さんも今まで金子修介とか森田芳光とか、ロクな監督に映画化してもらってないから、今度の『理由』が傑作とまでは言わないまでも、「見られるもの」になってくれてればいいと思うのである。


 アニマックスで『美鳥の日々』、第1話を見る。主人公の右手が女の子になっちゃうという、すっげぇヤラしい設定をムリヤリ少年マンガのフォーマットにぶちこんだトンデモないマンガなんだけれど、作画が田中比呂人さんなものだから、アクションとかエラいイイんでやんの。見たいアニメがあまり福岡まで流れてきてないし、とりあえず、これくらいは来週も続けて見ることにするかな。

 続けてWOWOWで『つかこうへいダブルス2003 幕末純情伝』。映画版では牧瀬里穂が沖田総司をやってたやつだな。「沖田総司は女だった!」という発想は、『風光る!』にも影響を与えてるんかな。
 つかさんの舞台は相変わらずエネルギッシュで、見ていて決してつまんなくはないのだけれども、現代の衣裳のままで幕末のドラマをやるというのは、どうなんだか。新機軸、と言ってあげてもいいんだけれども、「現代人に幕末人は演じられないから」って後ろ向きな発想でそうしてるんじゃないかと、どうしても皮肉っぽい目で見てしまいそうになるのである。
 広末涼子は熱演してはいるんだけれども、この人の天然っぽい雰囲気は、どんなに一生懸命に演技してもどこか手抜きっぽく見えてしまうので(本人はそんな気はないのだろうが)、絶叫とアクションが命のつかこうへいの芝居には合わないんじゃないかという気がしてならない。特に汗まみれの筧利夫と並ぶと、どうしたって「負けてしまっている」のだ。ああ、こんな時、内田有紀がいればなあ。『飛龍伝』のときの内田有紀は本当によかったんだ。躍動するパッション! 日本語になっちゃいないが、そんな感じだ。あれくらいの体当たり演技じゃないと、筧利夫には太刀打ちできないと思うんだけど、引退しちゃったからなあ。返す返すもああいう逸材を独占しやがったジュン君にはイシをこつけ(=投げ付け)たくなるのである。
 広末ファンには悪いが、彼女が引退しても私はあまり惜しいとは思いません。私にとっての広末涼子は、『20世紀ノスタルジア』で始まって、それで終わっているのである。

2003年05月13日(火) すっ飛ばし日記/リズムな男の死
2002年05月13日(月) アッパレパソコン大合戦/『アニメージュ』6月号ほか
2001年05月13日(日) 愛の嵐/DVD『BLOOD THE LAST VAMPIRE』コンプリートボックス


2004年05月12日(水) アニメなどニュースあれこれ。『キル・ビル vol.2』も見たよ。

 クソ忙しい日々が続いて、ニュースチェックを怠ってるうちに、やたらと「ウッソ〜ッ!てな出来事が世間ではいろいろと起こってたのである。どこぞの党首の辞任? いや、政治には三面記事的な野次馬興味しか持ってないから。

 まずは『機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者』映画化とか。もちろん監督はトミノ御大なんだけど、いやまあ黒歴史として封印してたはずの『Z』をまた今ごろ持ってくるというのは、いったいどうしちゃったんだかねえ。だいたいどこの誰がそんなニーズを出したのか。トミノさんの脳内人格か。
 まさか、これって、続けて『ZZ』も連続して映画化とか、サンライズはそんなこと企んでるんじゃないだろね? 『ガンダム』だけで21世紀も持たせようって腹なのか? あるいは安彦さんに『Zガンダム The Origin』を描かせるための伏線とか……いやまあどうせ「描き残したことがあった」とか、つまんない理由なんだろうけど。ファーストガンダム世代はどうしたって「いや、もうテレビシリーズ(あるいはギリギリ劇場版)で『ガンダム』は完結してるから」と思っちゃうからなあ。

 「何を今さら」という「続編」なら、やっぱり前作でキレイに完結してるのに、なぜか『2』が作られちゃう『トップをねらえ!』。
 スタッフは、原作・制作:GAINAX、原案&監督:鶴巻和哉、脚本:榎戸洋司、キャラクターデザイン:貞本義行、バスタ−マシンデザイン:いづなよしつね、メカニックデザイン:石垣純哉・コヤマシゲト、フューチャービジュアル:okama、音楽:田中公平、企画監修:庵野秀明。
 第1話スタッフは、絵コンテ:樋口真嗣、演出:大塚雅彦、作画監督:貞本義行&柴田由香、それ以降の絵コンテも、第2話:幾原邦彦、第3話:平松禎史、第4話:庵野秀明が担当するガイナックス創立20周年記念作品。まあ、スタッフだけは確かに総力戦に近いねえ。でも前作の実質的な脚本家である山賀博之さんの名前がないのはどうしてかな?
 キャストは、主人公・ノノに福井裕佳梨、お姉さま・ラルクに坂本真綾、ライバル・チコに沢城みゆき。すごく売れセンな人を使って「萌え」を狙ってるわけでもなく、かと言って超ベテランなわけでもなく、ちょっと「ビミョー」な感じなのがいかにもガイナックスらしいか。
 これも、誰が望んで立ちあがった企画だかわかんないあたり、期待していいんだか悪いんだか、それこそ「ビミョー」。でも前作はともかく大好きだったから、DVDが出たら買うとは思うけど。


 もう一つ、特撮系では、実相寺昭雄監督の新作が製作決定。江戸川乱歩シリーズ第三弾だけれど、なんと題材は『鏡地獄』。原作に名探偵明智小五郎は登場しないが、映画では脚色が加えられて探偵モノとして映像化。けれど演じるのは前作までの嶋田久作に代わって、浅野忠信。……これもどんな出来になるかちょっと見当つかんね。
 映画は『鏡地獄』を含んだ4人の監督作によるオムニバス形式で、総タイトルは『乱歩地獄』となる模様。その内容は以下の通り。
(1)「火星の運河」(竹内スグル監督、主演・浅野忠信) 男(浅野)は暗黒の森を歩きつづけている。やがて現れた沼で、ふと自分の体を見ると、恋人とそっくりな雪のように白い女の肉体となっていた。
(2)「鏡地獄」(実相寺昭雄監督、主演・成宮寛貴) 昭和24年ごろの鎌倉が舞台。女たちが次々と変死をする事件が発生。捜査を進める明智(浅野)は、事件の陰に美青年・透(成宮)の存在があることに気づく。透がかかわった女は必ず、彼の虜(とりこ)になっていた。
(3)「芋虫」(佐藤寿保監督、主演・松田龍平) 屋根裏に潜む平井太郎(松田)は戦争で両手両足を失い胴体だけになった須永中尉(大森南朋)とその妻(岡元夕紀子)の生活をのぞいている。愛と残虐性が混在した、その生活の行方は?
(4)「蟲」(カネコアツシ監督、主演・浅野忠信) 征木(浅野)は異様なほど内気な男。親の遺産で、土蔵の薄暗い部屋でひっそりと過ごしていた。あるとき、少年時代にあこがれた女と再会し、ストーカー行為を続ける。やがて、女を完全に自分のものにしようと思い立つが……。
 乱歩のこれまでにあまり映像化されたことのない短編に着目したのは慧眼だと思うが、ストーリーラインを見る限りではちょっと脚色が過ぎるようにも思う。『鏡地獄』って、もっと「引きこもり」なヤツの話なんで、だからこそ乱歩らしいんだけど、ムリヤリエロに持っていこうとしてないかな?


 ほかにも、『鋼の錬金術師』が米カートゥーン・ネットワークでの放映が決定とか、『Xメン3』にハル・ベリーが出るのを渋ってるとか(つか、二つ返事で出演を許諾したの、ジーン・グレイ役のファムケ・ヤンセンだけだって。作れるのかよ、ホントに)、『マトリックス』のラリー・ウォシャウスキー監督が性転換してリンダ・ウォシャウスキーになったとか、どうコメントすりゃいいんだかってニュースも目白押しである。世の中、落ちついた日々というものはないものなのかねえ。


 で、やっぱりこういうニュースに紛れて、やりきれない訃報も続いている。
 『プリンセスチュチュ』の主題歌などで知られるシンガーソングライター、女性デュオ「メロキュア」のメンバーの岡崎律子さんが、5日に敗血症性ショックのため死去していたことが今日になって判明。享年44。早すぎるよ、いくらなんでも。あんなに澄んだ声で、切ない感情を聞く者一人一人の心に直接語りかけて、かと言って決して悲しみに堕することなく優しく歌っていた人を、私はそうは知らない。哀しいというよりも悔しい。もしも神がいるのなら、彼女のその声に嫉妬して、地上から取り上げたのだとしか思えない。神はやっぱり非情で残酷だ。
 『チュチュ』の主題歌の『Morning Grace』と『私の愛は小さいけれど』は本当に好きで、男声で歌うのはまわりの顰蹙を買うとわかっていても、カラオケで何度か歌った。でもこれからはもう歌えない。歌う気になれない。……グータロウくん、君が今借りてる『チュチュ』のDVDの声の人、もう、二度と聞けないんだよ。最後まで心して見るように。
 岡崎さんの、その魂の安からんことを。


 昨日の夜、日記を書いたあと寝付かれずにテレビを点けたら、ちょうど新作『鉄人28号』の第五回をやっていた。……『鉄人』のリメイクっていうより、ありゃ、今川泰宏監督の『ジャイアント・ロボ』のリメイクだねえ。絵柄自体は旧作のレトロな雰囲気出してるけど、鉄人がオックスに踏まれて眼が日野日出志みたいになったり、不乱拳博士と、モンスターが実は親子で……なんて辛気臭い展開は横山光輝じゃないよ、手塚治虫だよ。そんな話にするなら何も昔の絵柄に拘る必要はないよ。原作通りにやるつもりなら、もったいぶった演出は避けてもっとストレートにやって欲しいもんだ。

 今日は、仕事が終わって(早く帰るつもりが、やっぱりトンガリさんが仕事をほっぽらかしてさっさと帰ってくれたせいで、残業しなきゃならなくなった)、しげと待ち合わせ、キャナルシティAMCでやっと『キル・ビルvol.2』を見る。
 たいていの客がVol.1でタランティーノの「やり口」には慣れてしまっているのだろう、謎の中国人導師が出て来てもあまり驚いたり引いたりしている雰囲気はない。けど、レディースデイで女性が多い中、映画が終わって回りを見渡すと、満足げな顔をしている客は1作目同様、殆ど見かけない。「まあこんなもんか」とか「C級以下」なんて声も聞こえて来る。こういうデタラメ映画(断じてバカ映画ではない)の面白さってのは、普通に映画を見たいと思ってる人にはやっぱり異質過ぎるんだろうなあ。もちろん私もしげもこういうのこそ「大好き」なんである。世界観がまるで不統一なのだって、『ストリートファイター』とかのゲームに慣れてりゃ今さら目くじら立てんでもいいと思うんだけどね。

 帰宅してしげに焼肉を食わせてやる。
 最初は牛丼にしてやろうと思っていたのだが、そうしげに言うと、「牛丼は卵かけたりして軟弱だから嫌い。焼肉は焼肉だけがいいの!」だと。
 言う通りに普通の焼肉にしてやりはしたけど、「卵とじ」って軟弱なんですか? よくわかりません。(―∇―;)

2003年05月12日(月) すっ飛ばし日記/帰らない男
2002年05月12日(日) 懐かしき人々の狂乱
2001年05月12日(土) 今日までそして明日から/『私はスポック』(レナード・ニモイ)



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藤原敬之(ふじわら・けいし)