無責任賛歌
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藤原敬之(ふじわら・けいし)

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2002年05月14日(火) 2001年アニメグランプリ/『ななか6/17』7巻(八神健)ほか

 夢の中に唐沢俊一さんがまた登場。
 最近サービスがいいなあ(^o^)。
 で何があったかというと、手塚治虫マンガ論を一席ぶってくれたのである。
 と言ってもそれは以前から唐沢さんがあちこちに書かれていた、「手塚治虫の天才性は質もそうだけれどその量にあった」という立川談志の説の引用。
 それに対して、私が、「でも手塚治虫って、乱作したせいで質も随分落ちたと思いますけど」なんて生意気な口を聞くのである。
 本当の唐沢さん相手だったら、貴重な時間を無駄にさせて申し訳ないところである。ああ、夢でよかった。
 ……でもこんな夢見たってことは、やっぱり青臭いディスカッションってものを私が未だに欲してるってことなんだろうな。
 いい加減、「従心所欲、不踰矩(心の欲するところに従えども矩を踰えず)」と行きたいところなんだけれども、まだ七十歳にはほど遠いしムリかな。


 5分で終わるはずの会議が長引いて、またしげを駐車場で30分近く待たせる。
 腰が痛いしげは、「待つだけでも痛いとよ!」と私を睨めつける。
 私だって会議は早いとこ進めたいんだけど、日頃、腹にいろいろ溜めといて、それを会議となると吐き出したがるヤツっているんだよ。
 話題はズレまくるわ、ポイントは絞れてないわ、しかも一度喋りだすと止まらないわで聞いてて辛くて仕方ないんだが、本人はイイこと喋ってる気になってんだよね。
 だから議題と違うこと喋って時間を無駄にするのは止めてちょ。


 ドラマ『盤嶽の一生』第5回「落としもの」。
 河原で五百両の入った胴巻きを拾った阿地川盤嶽(役所広司)、通りがかりの駕籠かき金太(船越英一郎)と銀平(阿南健治)に落とし主を探すのを手伝ってくれるように頼む。
 五百両に目の眩んだ金太は、偽の落とし主・久左衛門(上岡龍太郎)をでっちあげて盤嶽に紹介するが、中の一分銀の数を当てられずに見破られる。
 怒る盤嶽に金太が説明したのは、長屋の大家・幸兵衛(青木卓司)の借財二十両を返さないと、娘のおぶん(中江有里)がやくざに売られてしまうという哀れな事情。
 ならば落し主から一割の礼金を貰ってそれでおぶんを助ければよいと、盤嶽は胴巻きの持ち主を改めて二人に探させる。
 ところが、落とし主だと言って名乗り出た侍は二人、磯部新十郎(山本竜ニ)と北村十内(南條豊)。争う二人を取り押さえたのは、平瀬の弥太郎(火野正平)に率いられた捕り方たち。磯辺と北村は盗賊で、丸田屋という質屋に押し入って五百両を盗んだが、仲間割れをして胴巻きを落としていたのだ。
 ところが胴巻きは金太が盗んで消えていた。早く見つけないと、丸太屋の主人・伝兵衛、通称丸伝(田中邦衛)の雇った殺し屋に金太が殺されてしまう。
 そのころ金太はおぶんが売られた茶屋に駆け込んで、胴巻きの金を使って身請けしていた。しかし、丸伝の意を受けたやくざの甚吉(坂本朗)と五人の殺し屋が金太とおぶんを襲う。そこへ掛けつけた盤嶽と弥太郎、銀平が殺し屋を倒し、胴巻きも取り戻した。
 おぶんの身請けで減った五十両は弥太郎が丸伝にうまく話をつけるから盤嶽は早く逃げるようにと促す。それを真に受けて旅立つ盤嶽。
 しかし、残りの四百五十両は、ちゃっかり弥太郎が着服していた。「あの旦那なら丸伝の殺し屋に教われても平気だろうよ」と嘯く弥太郎。胴巻きは盤嶽が持ち逃げしたことになっていたのだ。
 騙されて。
 騙されて。
 盤嶽よどこへ行く。

 あ〜なんか、あらすじ全部書いちゃった。
 でもよくできた脚本だからね。
 毎回必ず盤嶽が騙されるパターンだともう解っちゃってるから、つまんなくなるかと思ったら案外そうでもなかった。
 キャラクターが生きてるから、ダレ場がないのである。特に金太と銀平が改心したと見せかけて、弥太郎の策略を見逃すラストがうまい。善人のアテにならなさというか、庶民とか一般人とか大衆とか、世間に埋没していることをあたかも錦の御旗であるかのように標榜して恥とも思わぬ厚顔さを、作者は冷徹に見ているのだ。
 盤嶽は常に敗北する。
 愚かゆえに敗北する。そしてしばしば自分が敗北したことにすら気付かぬほどに愚かなままである。
 そして我々は、彼がいつまでも愚かであり続けることを願うのだ。
 善意の知者には、たとえ騙され続けても、あくまで愚者として対抗する以外に手段はないからだ。


 しげ、疲れ果てているらしく倒れたまま寝続ける。
 晩飯も作らずににすむから楽は楽だけれど、こう静かだと、いつものうるさいしげの罵詈雑言を聞かずにいるのも、なんだかフッと火が消えたようで、もの淋しかったりする。


 昨日の続き、「アニメージュグランプリ」について。
 アニメージュ編集部自体が、このグランプリに何の価値も見出していないことははっきりと分る。そしてその自体に深い危惧を抱いていることも。
 何となれば、熱がこもっているのは、投票結果の発表ではなく、第二特集の「BEST ANIMATION OF 2001』のほうであるからだ。……完璧に第一特集を無視したタイトルであることにお気づき頂きたい。
 まず、五味洋子、水民玉蘭、石坂和の諸氏によって2001年の秀作として紹介された作品が、殆どアニメグランプリの結果と重なっていない。『オトナ帝国』や『アリーテ姫』、『アルジュナ』や『コメットさん』、『エイリアン9』や『マジンカイザー』、その完成度に一長一短はあれど、特筆すべき作品はほとんど網羅している。
 そして、かつてはやっていなかった執筆者たちのベストアニメ選出。本誌ではベストテンの集計は行っていないので、それをここでやって見よう。

 ◎劇場アニメ
 1、千と千尋の神隠し (8票/70点)
 2、バンパイアハンターD(日本語版/英語版) (6票/47点)
 3、クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲 (5票/43点)
 4、アリーテ姫 (4票/35点)
 5、METROPOLIS (4票/33点)
 6、COWBOY BEBOP 天国の扉 (3票/24点)
 7、も〜っと! おジャ魔女どれみ カエル石のひみつ (2票/18点)
 8、がんばれ! ジャイアン!! (2票/14点)
 9、ファイナルファンタジー (1票/10点)
 10、劇場版 幻想魔伝最遊記 (1票/9点)
 10、デジモンアドベンチャー02 ディアボロモンの逆襲 (1票/9点)
 12、名探偵コナン 天国へのカウントダウン (1票/8点)
 13、怪傑ナガネギマンとやきそばパンマン (1票/7点)
 13、サクラ大戦活動写真 (1票/7点)
 13、鉄腕アトム 地球最後の日 (1票/7点)
 16、シャム猫 ―ファーストミッション― (1票/6点)
 16、とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険 (1票/6点)


 ◎テレビアニメ
 1、Cosmic Baton Girl コメットさん☆(8票/67点)
 2、ジャングルはいつもハレのちグゥ (6票/47点)
 3、フルーツバスケット (5票/32点)
 4、学園戦記ムリョウ (4票/29点)
 5、地球少女アルジュナ (3票/25点)
 6、スクライド (3票/23点)
 7、NOIR (3票/22点)
 8、旋風の用心棒 (2票/20点)
 9、VANDRED the second stage (2票/19点)
 10、だいすき! ぶぶチャチャ(2票/18点)
 11、おじゃる丸 (2票/17点)
 12、ちっちゃな雪使いシュガー (2票/15点)
 12、花右京メイド隊 (2票/15点)
 14、サイボーグ009(2票/14点)
 14、デジモンテイマーズ (2票/14点)
 14、も〜っと! おジャ魔女どれみ (2票/14点) 
 17、Z.O.E. Doroles,i (2票/12点)
 18、機巧奇傅ヒヲウ戦記 (1票/10点)
 18、はじめの一歩 (1票/10点)
 18、ハンター×ハンター (1票/10点)
 21、ハル&ボンス (1票/9点)
 21、ヒカルの碁 (1票/9点)
 23、仰天人間バトシーラー (1票/8点)
 23、ザ・ソウルテイカー (1票/8点)
 23、ジーンシャフト (1票/8点)
 23、新白雪姫伝説プリーティア (1票/8点)
 23、超(スーパー)GALS! 寿蘭 (1票/8点)
 23、ナジカ電撃作戦 (1票/8点)
 23、バビル2世 (1票/8点)
 30、バンパイアンキッズ (1票/7点)
 30、まほろまてぃっく (1票/7点)
 32、あぃまぃみぃ! ストロベリー・エッグ (1票/6点)
 32、キョロちゃん (1票/6点)
 32、SAMURAI GIRL リアルバウトハイスクール (1票/6点)
 32、破壊魔定光 (1票/6点)
 36、星のカービィ (2票/5点)
 37、犬夜叉 (1票/5点)
 37、シャーマンキング (1票/5点)
 37、探偵少年カゲマン (1票/5点)
 37、ハムスター倶楽部 (1票/5点)
 37、パワーパフガールズ (1票/5点)
 37、フィギュア17 つばさ&ヒカル (1票/5点)
 37、ONE PIECE (1票/5点)
 44、しあわせソウのオコジョさん (1票/4点)
 45、おとぎストーリー 天使のしっぽ (1票/3点)
 45、キャプテン翼 (1票/3点)
 47、兼本さん宅 (1票/1点)
 47、地球防衛家族 (1票/1点)

 ◎OVAほか
 1、ねこぢる草 (5票/43点)
 2、サントリーCCレモン シンプソンズおでかけ編 (1票/10点)
 2、スウェットパンチ/ダン・ペトリー教授の憂鬱 (1票/10点)
 2、探偵シュベイブル (1票/10点)
 2、チェブラーシカ (1票/10点)
 2、伝心 まもって守護月天 (1票/10点)
 2、破邪巨星G弾劾凰 (1票/10点)
 2、ぷにぷに☆ぽえみぃ (1票/10点)
 2、フリクリ (1票/10点) 
 2、フルヴィーネクのサーカス (1票/10点)
 2、マジンカイザー (1票/10点)
 2、ミニハムずの愛の唄 PV(ミニハムず) (1票/10点)
 2、MEZZO FORTE (1票/10点)
 2、R.O.D. (1票/10点)
 2、ワン・モア・タイム PV(ダフト・パンク) (1票/10点)
 16、アニメーション制作進行 くろみちゃん (1票/9点)
 16、伝説のワニ ジェイク (1票/9点)
 18、とっとこハム太郎 ハム太郎のお誕生日 (1票/8点)
 19、せなけいこ おばけビデオ (1票/7点)
 20、エイリアン9 (1票/6点) 

 ◎総合ベストテン
 1、千と千尋の神隠し (8票/70点)
 2、Cosmic Baton Girl コメットさん☆(8票/67点)
 3、ジャングルはいつもハレのちグゥ (6票/47点)
 4、バンパイアハンターD(日本語版/英語版) (6票/47点)
 5、クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲 (5票/43点)
 6、ねこぢる草 (5票/43点)
 7、アリーテ姫 (4票/35点)
 8、METROPOLIS (4票/33点)
 9、フルーツバスケット (5票/32点)
 10、学園戦記ムリョウ (4票/29点)

 点数はキネ旬方式で1位には10点、2位には9点と、点数を加算して計算した。総合ベストテンにおいてのみ、同点の場合、順位は上位点の多い方を先に並べた。鳥瞰してみて、ほぼ妥当なベストテン結果が出たのではないか。『キネ旬』は執筆者の方が読者よりアテにならないが、『アニメージュ』は逆だと言ってよさそうだ。
 実際、読者ベストテンと比べると、重なっているのが『千と千尋』と『フルバ』しかない。読者ベストテンがどれだけの傑作・佳作を無視しているか、分ろうというものである。
 総評でも「観ないまたは観られない作品の増加」と指摘しているが、『コメットさん』(14位)や『ハレグゥ』(30位)のようなテレビアニメですら票が低いのだから、やはり「見ようとしていない」人間が圧倒的に多いのだ。
 私が『コメットさん』や『ハレグゥ』を評価するのは、誰かに奨められて見始めたからではなく、あくまで自分の眼で見て「面白い」と判断した結果である。それが、アニメージュの執筆者たちの意見ともほぼ一致している。
 これがどういうことを意味するのか、若いアニメファン、オタクたちには理解できるだろうか。若いファンは、アニメを見る眼自体がまるでなっちゃないってことなんだよ。
 好き嫌いがあること自体に文句をつける気はない。けれど「好き嫌いだけ」で作品を評価されちゃ、そのジャンルは衰退する一方になるってことも知っておいた方がいい。


 マンガ、八神健『ななか6/17』7巻(秋田書店/少年チャンピオン・コミックス・410円)。
 あ、父の再婚ネタだ。
 あの、父親が母親と死に別れて、娘が年頃に育って、そのころ父親が新しい恋に落ちて、娘が「パパはもうお母さんのこと忘れたの!?」って傷つくってアレな。
 まだそんなありふれたの書くか……と私が文句付けると思ってるでしょう。
 残念でした。私、このパターン、大好きなのよ(^o^)。
 小津安二郎の『晩春』っつーか、広津和郎『父と娘』以来の、ホームドラマの基本ですからね。
 ラストはたいていそれなりのハッピーエンドに落ちつくとは言え、娘が一度はグレる、というのは極めてリアルな心理描写ではないかって思うわけです。ワケシリ顔に、いかにも物分りがよく「父さんの人生なんだから」って最初から許してしまうような展開、かえって嘘臭いじゃないですか。人間ならヒガミとか恨みとか嫉妬とか、あって当然……とは思いません?
 今回のななかが秀逸だ、と思ったのは、分裂した6歳のななかと、17歳の七華、二人ともが一旦は父を拒絶する、という展開である。17歳の七華は子供ではないのだから冷静な対処をしそうなものなのに、やはり心の中で6歳の七華に涙を見せるのだ。
 定番ものはもうたくさんのバリエーションが作られているために、かえってアレンジの仕方が問われる。人格分裂と絡めてこのパターンをやったのは意外と少ないんじゃないか。今回はななかなかの秀作である。

2001年05月14日(月) 今日の実験……失敗/今週の少年ジャンプ『ヒカルの碁』



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