2013年03月04日(月)  としょかんのだってこと、わすれてたの(後編)

2月27日の日記 としょかんのだってこと、わすれてたのの後編。

舞台を図書館に移して、物語の続き。
「ここでまってる」と戸口まで下がって尻込むたまの手を引いて返却カウンターへ。

カウンターの中には女性が二名。
ベテラン風の年配の方と、まだ二十代に見える若い方。
ベテラン風の方が空くのを待っていたけれど、若い方と目が合ってしまい、
「あのう、お詫びしなくてはならないことが……」と切り出すと、またも脱走を試みる、たま。
「ここにいなさい」
「やだ、しかられるから」
「黙って返すのは、もっと良くないことだよ」
「でも、しかられる」
「正直にお話ししたら大丈夫。ママも一緒に謝るから」
と引き止め、話を続ける。

「図書館でお借りしていることを忘れて落書きしてしまいまして……」と事情を話すと、その若い方が、わたしの背中に隠れるようにしているたまに目線を合わせて、「えらかったね」と一言。

わたしの手をぎゅっと握っていた、たまの力が一瞬ゆるんだように感じた。
それとも、たまの手を握っていた、わたしの力がゆるんだのか。

えらかったね。

この一言を聞かせられただけでも、一緒に来て良かったと思った。

その後は、事務的に、ことは運ばれた。「上の者に相談します」と若い方からベテラン風の方に事情が伝えられ、彼女に引き継がれると、「図書館では、落書きなど傷をつけられた資料は貸し出せなくなり、破棄することになります。つきましては、破損資料の弁償をお願いします」と伝えられた。

ベテラン風の方がネットで調べ、「アマゾンで買えます」と告げられ、「新品でお願いします(※つまり、中古では買わないこと)。新しい歌詞カードをお持ちいただき、破損した歌詞カードと差し替えます」と言われ、そのときに持参してくださいと弁償の旨が書かれた小さな紙を受け取った。

絶版などの場合は、別のもので弁償するのだろうか。

ベテラン風の方の対応は、あくまで淡々としていた。仕事として、こなすべきことをこなされていたけれど、最初にこの方に声をかけていたら、「えらかったね」は聞けなかった。

あの若い方が一言だけ、たまにかけた言葉が「えらかったね」だった、そのセンスに感心。わたしとたまのやりとりを聞いて、ここに来るまでの経緯に思いを馳せ、たまの屈託を感じ取ってくれたのだろう。と同時に、わたしの「人を見る目」もまだまだだな、と思った。

家に帰ってすぐ、amazonで新品のCDを買った。
「図書館で借りたものを汚すと、新しいものを返さなくてはならない」という教訓を親子で学んだ。

「で、このCD代は、どうする? たまがお年玉から出す?」と聞いたところ、「たまちゃん、ちょきんしてるから」と、ちゃっかりした答え。

じゃあお手伝いしてもらおっか、というわけで、これから1か月のお風呂掃除を手伝ってもらうことに。落書きの代償に掃除というのも良いかもしれない。


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