来週開かれる保育園のクラス会の下見を兼ねて、娘のたまとダンナとともに小石川植物園へ。ビニールシート代わりに春色のチェックのマルチカバーを広げ、魔法瓶の紅茶をおともに途中で買ってきたベーグルサンドを頬張ると、気分はセントラルパークのピクニック。たまは芝生を走り回って上機嫌だったが、カロリーを消費しすぎたのは計算外。持参した食事では足りず、草をむしって食べはじめたのでベビーカーに乗せた矢先、事件が起こった。
月齢が数か月ほど下と思われる男の子が芝生をハイハイして近づいてきたのを見て、「かわいい」と歓声が上がったのだが、その瞬間、たまがライバルを見る目つきで男の子を見た。「かわいいという言葉は自分のためにある」と思っているふしがあり、その言葉が自分ではなく彼に向けられたことが不満な様子。そして、男の子が親しげにベビーカーに近づき、ハンドルにつけた虫のアクセサリーに手を伸ばすと、その手を払いのけた。男の子は一瞬ひるんだもののもう一度手をのばしてきたが、たまは「イヤヤ、バイバイ」と手を振り回して暴れ、必死に男の子を振り払う。男の子は愛くるしい笑顔のまま、残念そうにママに連れられて去って行き、せっかく仲良くなろうとして近づいてくれたのに、と申し訳なくなった。
独占欲、縄張り意識も成長の表れなのだろうけれど、たまはとくに強いように思う。先日は自分と同じベビーカーに乗っている子を見つけて駆け寄り、引きずり降ろそうとした。ひとり占めするより分かち合うほうが楽しいことを教えてあげたいけれど、その前には「これ、わたしの!」という時期が必要なのかもしれない。まず、「自分にとって大事なもの」という感覚を知ってこそ、「他人にとって大事なもの」を理解できるのかもしれない。とは思うものの、あの態度はいただけないなあ、とわが子ながらもどかしくなった。
ダンナも同じ思いだったのか、たまの目を見て「ダメだよ。友達とは仲良くしなきゃ」と諭した。きつい言い方ではなかったのだけど、たまは「はじめてパパに叱られた」とショックだったよう。その後、たまは徹底的に「パパを無視」した。話しかけるとそっぽを向き、手を差し出すと引っ込め、笑いかけると睨みつける。帰り道に買ったノーニャというロシア料理屋のピロシキ(ひき肉、かぼちゃ、栗の三種類を買い、この順番に分けあった)をパパの手で食べさせるまでの一時間、精一杯の抵抗が続いた。食べ物の誘惑には屈したものの、見上げた反抗心。「一時間前も根に持つなんて、大した記憶力と忍耐力だ」とわたしは感心したけれど、ダンナは「性格に問題があるんじゃないか」と心配。愛娘の手痛いしっぺ返しがこたえたらしい。これから魔の二歳児。親も叱り上手にならなくては。
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