■「生まれ変わったら何になりたい?」と、小学生の頃、友達と聞きあった覚えがある。当時の職業は「小学生」だったので、「男になりたい・女になりたい」「金持ちになりたい」「芸能人の子どもになりたい」といった他愛もないことを言いあい、そんな「もうひとつの自分」を想像して笑ったりしていた。大人になってから、この質問をされることもすることもなかったけれど、先日『エッジ』を読んでいて見つけた宮崎あおいちゃんのインタビューにこの質問を見つけて、懐かしくなった。早速ダンナにぶつけてみたところ、「生まれ変わったら何になりたい? それは男か女という意味か、動物という意味か、職業のことなのか、何なんですか。質問の範囲が広すぎて答えられません」と、夢のない返事。「なんでもいいから、今の人生以外の選択肢があるとしたらってことで答えてよ」と言うと、「生まれ変わったら美人と結婚したい」とのたまった。「生まれ変わっても美人と」ではなく、「生まれ変わったら美人と」というのがミソ。「つまり、わたしとは二度と結婚しないと?」と追及すると、「いろいろ検討させていただいた結果、そういうことに落ち着く可能性もあるかと……」。まずはあがいてみたいという本音のようだ。ちなみに『エッジ』で見たあおいちゃんの答えは、「生まれ変わっても自分になりたい」。今の人生が幸せで、今の自分が好きということが素直に気持ちよく伝わってきて、いい言葉だと思う。この話を聞いたダンナは「君も『生まれ変わっても自分になりたい』って言いそうだね」。ああそうさと言うと、「あおいちゃんが言うのはわかるけど、君は本当に今の君でいいのかね?」と問題提起。つくづくニクタラシイ。■ここまで書いて、夜見たドキュメンタリーで同じような言葉が出てきた。「生まれ変わっても私になりたい。今の私が好きだから。今の私以上のものを望まない」。DNAの突然変異により人の何倍ものスピードで老化が進むという難病に冒され、11歳にして肉体年齢は百歳を超えている少女の台詞だった。「生まれ変わったら何になりたい?」は、いろんな意味で考えさせられる。
2002年03月16日(土) 『風の絨毯』高山ロケ1日目