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2013年08月20日(火) |
8月15日、NHK水野解説委員、時論公論「待ったなしの汚染水対策」文字起こし。 |
◆NHK総合:2013年8月15日午前0時〜0時10分。水野解説委員 時論公論「待ったなしの汚染水対策」文字起こし。
(文字起こし開始)
こんばんは。
福島第一原発で、放射性物質に汚染された地下水が、海に流出している問題は、汚染水が既に、
岸壁前に作った土の壁も乗り越えてしまうなど、決め手がなく、緊急事態が続いています。
このまま海洋汚染が進めば、国際問題にも発展しかねません。政府も漸く重い腰を上げ、
対策を講じてゆく方針をしめしましたが、効果的な対策を打ち出すためには何が必要なのか、
今夜の「時論公論」は、待ったなしの汚染水問題を考えます。
海へ流出している汚染水の量について、経済産業省は概算で1日300トンにのぼるとする見解をしめしています。
大量流出の原因は地下水です。1日1,000トンの地下水が敷地内に流入し、このうち400トンが、建屋に流入して汚染水を増やしています。
東電は毎日これを汲み上げて、敷地内にタンクを増設して溜めることで何とかしのいできました。
しかし、のこり600トンのうち、300トンが建屋と海の間の地下で汚染され、海に流出しているのです。
地下には冷却水の配管などがとおる、コンクリート製のトンネルがあり、
事故直後に汚染水1万トン以上が入りこんで、一部が海に流出しました。
汚染水の濃度はセシウム137が、1リットルあたり23億ベクレルと、極めて高濃度です。
当時、東電は流出箇所を堰き止め、対策は取った、としていましたが、十分ではありませんでした。
地震の揺れでトンネルのあちこちにヒビが入り、汚染水の一部が漏れて、地下水に混じり、
海に流れ出しているとみられており、漏洩は事故直後からずっと続いている可能性も指摘されています。
海の汚染については、東電が測定した結果、原発の港で最大で基準の10倍程度の放射能が検出されていますが、
港の外では基準以内に収まっているため、東電は、汚染は港の内部に留まっている、としています。
しかし、福島県内の漁協は、汚染水もれに十分な対策がとられていないとして、来月から始める予定だった試験的な漁を
相次いで延期することを決めました。
漁協者の間には、怒りと同時に風評被害への危機感が急速に拡がり、福島県も独自に海の汚染具合の調査に乗り出しました。
問題がここまで深刻になった背景にあるのは、東電の危機感の薄さです。
今回も流出をなかなか認めず、対策の検討が後回しになり、結果として今も、その場しのぎの対策が繰り返されています。
東電はまず、岸壁の手前に薬剤を注入して、地盤を固めて土の壁を作りました。汚染水が壁によって止まる、と説明していましたが、
既に壁を乗り越えて、海に流出し続けていることが分かりました。
堰き止められたことで汚染水の行き場がなくなって、水位が上昇し、壁を越えてしまったのです。
そこで今度は、壁の手前に井戸を掘り、汚染水の汲み上げを始めました。
しかし、汲み上げ量を増やしても追いつかず、流出を完全に食い止めるのは難しいとみられています。
このため、トンネル内の汚染水を抜き取ることも検討しています。
しかしトンネルは、汚染水が溜まっている建屋と繋がっているため、完全に抜くためには、
建屋との接続部分を塞がなければならず、抜き取りにはかなり時間がかかるとみられます。
対策が後手に回る中、新たに岸壁北側でも放射性物質が検出され、汚染が今後、拡がる可能性も出ています。
東電は地下からの汚染水の汲み上げを当初、今月末から始める、としていましたが、
規制委員会に言われて、慌てて先週末から始めました。
原子力災害が拡大する恐れもあるわけで、今は非常事態だという危機意識を東電はもたなければなりません。
そしてまずは観測用の井戸をもっと多く掘って、海側の敷地全体の地下水の流れを明らかにして、汚染源を突き止め、
海への流出をくいとめることに全力をあげてほしい、と思います。
ただ、こうした事態の悪化は、東電を指導する立場の国にも責任があります。
政府の動きは鈍く、先週、原子力対策本部が開かれるまでは、ほぼ東電に任せ切りでした。
政府は「事故を起こしたのは東電だから、事故の後始末も東電が自分達で何とかするのが原則だ、
というのが基本的なスタンスで、国の予算も新技術の開発など、最小限に絞ってきました。
しかし、東電だけでは対処できないことがはっきりしてきたため、先週、安倍総理大臣が汚染水問題は喫緊の課題だ、
と述べて、国として対策に乗り出す姿勢を示しました。
政府は対策に国の予算を投入する方針で、これまでより一歩前にでることになったことは、評価できます。
具体的には、1号機から4号機の建屋全体を囲むように、地下に凍った土の壁を作って、
地下水の建屋への侵入を防ぐ抜本対策に予算を投入することを検討しています。
地面に埋め込んだパイプに冷却液を循環させ、周囲の土を凍らせて壁を作ります。
ただ、この工法は、トンネルや地下鉄工事で使われたことはありますが、
大規模な実績がなく、長期間使えるのかは分かりません。
また、地下水の流れは予測が極めて難しく、思わぬ被害もあり得ます。
東京のJR武蔵野線、新小平駅では、1991年、線路のコンクリート製の路盤が1メートルほど盛り上がり、
駅の壁にも亀裂が入って、勢いよく水が噴き出す大きな被害を受けました。
雨などで、地下水位が上昇し、その水圧で半地下式のホームが押し上げられ、破壊されてしまったのです。
福島第一原発でも一昨日、4月に汚染水漏れを起こした地下貯水槽が最大40センチ、浮き上がっていることが分かりました。
地下水が押し上げたとみられています。
原子炉建屋は、岩盤に直接据え付けられていますが、タービン建屋の基礎は岩盤についていません。
凍土の壁が出来たことで、地下水の流れが変わり、タービン建屋の下に溜まれば、水圧があがります。
建屋自体が浮いてしまうことになれば、大変なことになります。
汚染水対策はこれまでも、これと決めた対策が上手くいかないことが多く、代替案が用意されていないため、
後手に回ることが多かったわけですから、その教訓を生かして、政府と東電は、凍土の壁とは別の対策も
今のうちに検討してゆく必要がある、と思います。
ただ、国の予算を使えば、国民負担が増えることを意味しますので、政府は税金投入の必要性をきちんと説明し、
対策の進み具合について、情報を公開して国民の納得を得て進めていかなければなりません。
しかし、予算投入だけではうまくいかない、と思います。政府があと、2歩も3歩も前に出て、
本店や現地に担当者を派遣するなどして、現場の作業状況、観測データをリアルタイムで把握し、
関係者との調整をおこなって、速やかに対応を決められる体制をとる必要があると思います。
政府は地下水の流入を減らすために、敷地に流れ込む前の地下水を山側で汲み上げて、海に放出する計画について、
対策を来月までにまとめることにしています。
既に東電が試験的に汲み上げていますが、基準は下回っているものの、一部の放射性物質の濃度が高めで、
漁業者が海への放出に反対しています。 この対策についても、政府は地元への説明を、殆ど東電まかせにしていました。
しかし、漁業者は東電を全く信用していません。
今後は政府が主体となって、漁業者への説明を尽くすべきで、
閣僚クラスが説明に行くことも検討する必要がある、と思います。
今後、溶けた核燃料を取り出し、廃炉を進めてゆく上で、この汚染水問題は、避けて通れない、緊急の重大課題です。
政府と東電が一体となって、本気で対応しなければ、対処出来ないところまできています。
早急に抜本的対策に目途を付け、漁業者や住民の不安を取り除いていって欲しいとおもいます。
(文字起こし終了)
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