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JIROの独断的日記
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2012年12月11日(火) 「<ノーベル賞授賞式>「言葉出ないくらい感動」山中さん」←おめでとうございます。

◆記事:<ノーベル賞授賞式>「言葉出ないくらい感動」山中さん(毎日新聞 12月11日(火)11時50分配信)

ノーベル賞の授賞式が10日夕(日本時間11日未明)、ストックホルムのコンサートホールで開かれた。

人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発し、医学生理学賞に選ばれた山中伸弥・京都大教授(50)は、

授賞式に続き、家族らと共に晩さん会に出席した。

授賞式では、同賞の選考委員が、共同受賞の英ケンブリッジ大名誉教授、ジョン・ガードン博士(79)と山中氏の名前を読み上げ、

「あなた方の革新的な研究は、成熟した細胞を、あらゆる種類の細胞に分化できる未成熟な状態に戻せることを示し、

病気の新しい診断方法や治療法の開発にとても役立つ新たな道具を提供した」と紹介した。

山中氏はガードン博士の次に、落ち着いた足取りでステージ中央に向かい、

カール16世グスタフ・スウェーデン国王からメダルと証書を授与され、しっかりと握手を交わした。

式の後、ステージには山中氏の家族も上がり、賞の創設者アルフレッド・ノーベルの横顔を刻んだ金色のメダルを手に記念撮影をした。

山中氏は「本当に言葉が出ないくらい感動した。ガードン先生とこのような舞台に来られて光栄です」と高揚した表情で語った。

受賞直後に一瞬笑顔になったのは、客席の母美奈子さん(81)と目が合ったからだと言い、

「この場に母が来られるか分からなかったので、本当にうれしく、ほっとした」と満面の笑みを見せた。


◆コメント:言葉が出ないくらい感動したのは、こちらです。山中先生、ガードン先生、その他大勢の研究者に感謝。

昨夜、ゲンブリッジ大学名誉教授ガードン先生、山中伸弥先生(賞状を渡された順)が、グスタフ・スウェーデン国王から

ノーベル賞の賞状とメダルを授与される瞬間、慣例に従い、会場にトランペット・ファンファーレが鳴り響きました。

まだ、映像がアップされていませんが、やがてYouTubeのノーベル賞公式サイトの2012 Nobel Prize Award Ceremony

見られる筈です。


ノーベル賞を受賞するときには、授賞式の前に受賞者が自らの研究について講演を行います。

山中教授のLectureは、ノーベル財団・公式サイトのNobel Lecture by Shinya Yamanakaで見ることができます。

NHKの山中さん ノーベル賞授賞式に臨むに、

ノーベルウィーク前半のハイライトともいえるのが、各賞の受賞者による記念講演です。山中さんの記念講演は7日、

医学・生理学賞の選考にあたったカロリンスカ研究所で、共同で受賞するイギリス・ケンブリッジ大学名誉教授の

ジョン・ガードンさんとともに英語で行われました。

冒頭、山中さんは「発表の前の日、カロリンスカ研究所の所長と京都で面会した時、別れ際にウインクされました。

あれが受賞のサインだったのだと確信しています」と述べ、会場の笑いを誘いました。

と、ありますが、日本人でこういう風に、英語を話してジョークで人を笑わせるのは、大変難しいですね。

事の本質ではないけれど、山中先生は、今でも電車で英語を勉強しているそうです。


◆ガードン教授の「細胞の初期化」がなければiPS細胞もあり得なかったと。

人体の細胞は立った一つの受精卵が、皮膚細胞や心筋細胞や血液細胞や、キリがありませんが、臓器や骨や筋肉として

役割が固定される細胞に変わって行く。これを「分化」といいますが、一度分化した細胞は、受精卵の状態には戻れないと

誰もが思っていたわけです。


ところが、山中教授が生まれた年、1962年、ケンブリッジのガードン教授が、カエルを使った実験に成功しました。

まだ受精していないカエルの卵細胞を用意し、そこに紫外線を当て、細胞の心臓部である核を殺してしまいます。

その結果、卵細胞の「容れ物」だけが残ります。そこに別のオタマジャクシの腸から細胞の核を取り出し、卵細胞の「容れ物」に

埋め込みました。その細胞は、腸の核を埋め込んだのに、一匹のオタマジャクシに、そして成長してカエルになったのです。

これが細胞の初期化です。一旦分化して役割が決まった細胞がまた、デフォルト状態の細胞に戻れる、と。


それを証明したのがガードン教授ですが、それでは、その初期化を起こす要因はなんなのか、ということを

山中教授が最終的には、4つの遺伝子によって引き起こされるということを解明したのです。

山中教授は、だから、細胞の初期化の発見がなければ、今回の自分のノーベル賞受賞理由になった人工的な

初期の細胞、iPS細胞をつくることができなかったといって、ノーベル賞のレクチャーでも、最初にガードン先生の実験がなかったら、

自分は今、ここに、立っていなかったであろう。大変(ガードン先生を)尊敬しており、一緒にノーベル賞を受賞できることを

誇りに思うと入っています。その他にも山中教授は絶対自分の研究だけではなくて、京都大学の多田高氏や、自分の研究室の

「目から鱗」の発想によって可能になったのだ、と言っています。

詳しい事はNHK Eテレのサイエンス・ゼロの再放送があります。

シリーズ iPS細胞の誕生(1)誕生の舞台裏 12月15日(土)昼 0時30分

シリーズ iPS細胞の誕生(2)分化をコントロールせよ 12月16日(日)夜11時30分

多分これ以上やさしく説明するのは、むりではないか、と言うぐらいです。

なお、色々な細胞に分化する同じような性質のES細胞がありますが、これは受精卵を潰さないとできないのです。

人間の医療に利用したければ、人間の細胞を使うわけですが受精して子宮に着床すれば妊娠ですが、その寸前の状態の細胞を

潰すということは、誕生する筈の生命を犠牲にする、ということですから、倫理的に問題がある。

山中先生のiPS細胞は、血液とか皮膚とか普通の細胞を元にできるのです。

大元の、これから分化する細胞を医療に応用できるようになれば、今まで不治の病とされていた病気も治るかもしれない。

革命的発見と言われる所以です。


◆「山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた」という本の最後の言葉が感動的です。

山中伸弥先生の一般人向けの本、山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみたは、「サイエンス・ゼロ」と同じような内容が書かれています。

科学的な内容な重複するので、省きますが、この本の最後の言葉に、私はとても感銘を受けました。

ぼくの父は、息子が臨床医になったことをとても喜んで死んでいきました。ぼくは医師であるということに今でも強い誇りを持っています。

臨床医としてはほとんど役に立たなかったけれど、医師になったからには、最期は人の役に立って死にたいと思っています。

父にもう一度会う前に、是非、iPS細胞の医学応用を実現させたいのです。

山中先生のお父様は、ミシンに使われる部品を造る町工場を経営しておられましたが、

50代で仕事中の事故で怪我して、輸血を受けたら、肝炎に罹って肝硬変になってしまい、持病の糖尿病も合併し、

58歳で亡くなられたそうです。肝硬変は今なら、肝移植がありますが、iPS細胞の臨床応用の発展次第では、肝臓自体を

健康な肝臓に戻すことができるかもしれません。

お父様は亡くなられましたが、御母堂はご健在で、ノーベル賞授賞式に参列なさいました。

我が子がノーベル賞を受賞する。どれほど嬉しかったことでしょう。



◆日本人の褒め下手

私のブログには「日本人の褒め下手」という独自カテゴリーがあります。

多分、こんなカテゴリーを設定しているのは、日本で私でしょう。

日本人は、他人を褒めるのが下手過ぎます。どんな人でも褒められたり感謝されれば嬉しい。

と言うことぐらい分かるはずなのに、12月11日のTwitterをしばらく眺めていても誰も山中教授の受賞を祝うようなことを書きません。

最後にウルサイことを書くのもなんですが、ひとこと、そのことを指摘したく、敢えて書きました。

山中先生は、国の誉れの人であるだけではなく、人類全体がやがてその研究の恩恵を受ける可能性の高い大発見をした

謂わば「世界の宝」です。ノーベル賞を受賞したのです。科学者にとって最高の栄誉です。

お祝いの一言が、もっと世にあふれていて、然るべきだと思います。

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