JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事:モーツァルト「神童」の弾いたバイオリンで演奏披露(12月11日19時20分配信 毎日新聞) モーツァルトがオーストリア・ザルツブルクで6、7歳ごろに弾いた子供用サイズのバイオリン(胴体26.2センチ)が11日、 ◆コメント:まあ、それはどうでもいいんです。 モーツァルトが子供の頃に弾いていた楽器には、モーツァルトを研究する学者は興味があるかも知れません。 ◆我々は、モーツァルトのように純粋に書けなくなってしまった(ブラームス) ブラームス自身、十分天才なんですが、天才であるが故にモーツァルトの「もっとすごい天才ぶり」がよく分かるのでしょう。 ◆「確かに、モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。」(小林秀雄「モオツアルト」より) 小林秀雄は、文芸評論家。ややこしい文章が多く、頭の悪い私は、正直に書くと、 頭が追いつけない。 のですが、モオツァルト・無常という事 (新潮文庫) に収められた「モオツアルト」という 随筆に書かれている有名な言葉です。 私は、若い頃に一度読みましたが、そのときには、意味が分からなかった。今読むと、多少分かる「気」がします。 ここで小林秀雄が「疾走する悲しみ」と評したのは、弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516の第一楽章です。 弦楽器の室内楽で最も一般的な編成は弦楽四重奏で、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ですが、 弦楽五重奏曲は、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、第1ヴィオラ、第2ヴィオラ、チェロ、で、ヴィオラが2本になります。 モーツァルトにとってト短調という調性は特別な感覚があったのか、交響曲40番、25番やこの弦楽五重奏曲4番のような、 名曲揃いです(因みに、モーツァルトの全作品では、長調の方がずっと多いのです)。 これ以上書くと知ったかぶりがバレるので、音楽にします。 この弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516は、昔から有名な弦楽四重奏団の名演が多く、 ウルサ方は、大抵、スメタナ弦楽四重奏団を勧めるでしょうが、 私は敢えてそれを止めまして、アルバン・ベルク四重奏団という比較的「新しい」四重奏団のCDを選びます。 これです。モーツァルト:弦楽五重奏曲第3K.515&第4番K.516 アルバンベルク四重奏団 十分に名演だと思います。 念のため繰り返しますが小林秀雄が「疾走する悲しみ」と書いたのは、弦楽五重奏曲第4番 ト短調の第一楽章です。 モーツァルト:弦楽五重奏曲第4番 ト短調 K.516 第一楽章 Mozart: String Quintet 4, In G moll K.516 I. Allegro 「モーツァルトって、全部同じじゃん?」という方、結構いますけど、そうでもないんです。 ◆モーツァルトの演奏をするときは、両壁がペンキ塗りたての細い廊下を、真っすぐすうーっと抜けるように演奏しろ(デニス・ブレイン) 今だに世界音楽史上、最高のホルン奏者だったのではないか、と言われるデニス・ブレインですが、 元N響首席ホルン奏者、故・千葉馨さんは短い間でしたが、デニス・ブレインに師事しています。 そのときにデニス・ブレインから言われた言葉だそうです。 「モーツァルトの演奏をするときは、両壁がペンキ塗りたての細い廊下を、真っすぐすうーっと抜けるように演奏しろ、止まっちゃだめだ。右にもよらず、左にもよらず…」 これも、鈍感で非才な私には、その意味が本当には、分かりません。但し、デニス・ブレインがモーツァルトのホルン協奏曲を 演奏した録音を聴くと、これも何となく分かるような「気」がします。 モーツァルト:ホルン協奏曲全集から。 モーツァルト:第4番変ホ長調 K.495 から、第一楽章。 ホルン協奏曲 第4番 変ホ長調 K.495 第1楽章:アレグロ・モデラート ◆「正直に言うと(アイネ・クライネが)どうしてこれほどもてはやされるのか、分かりません」(宮本文昭) これは、引退なさったオーボエ奏者に宮本文昭さんが、疾風怒濤のクラシック案内 (アスキー新書 041) (新書)で、書いておられました。 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」も決して駄作ではないけれども、モーツァルトのセレナーデならば、 と書いています。 そして、「他のもっといいセレナーデ」で挙げているものの一つに10番、 「グラン・パルティータ」があります。これはいつから、「グラン・パルティータ」が一般的になったか 分かりませんが、私が子供の頃は「13管楽器のためのセレナーデ」とレコード・ジャケットに印刷してありました。 この方が、「グラン・パルティータ」より地味ですけど、どういう曲なのか、はっきりして良いと思うのですが。 ま、しかし、今は「グラン・パルティータ」が定着しているようです。木管楽器のみによるセレナーデです。 これを聴いていただきましょう。 CDはセレナード集、クラリネット五重奏曲、他 ザビーネ・マイヤー管楽アンサンブルです。 ザビーネ・マイヤーという人はクラリネット奏者で、上手いのですが、この人をめぐって昔、カラヤンとベルリンフィルがケンカになったことで 知られています。カラヤンはベルリン・フィルに入団させたがったのですが、オーケストラのメンバーが無理だ、といったのです。 故・岩城宏之さんが全然別のオーケストラでソリストがザビーネ・マイヤーと共演したときの感想を書いていました。 決して下手ではない。それどころか天才的と言って良いほど、上手い。ベルリン・フィルが協奏曲のソリストとして迎えるなら、 とのこと。 まあ、この人とザビーネ・マイヤー管楽アンサンブルが上手いことに、過去の事件は無関係です。 モーツァルト:セレナード第10番変ロ長調 K.361『グラン・パルティータ』第一楽章 Serenade No.10 Gran Partita K.361 (370a) I Largo-Molto Allegro 木管楽器のハーモニーが美しく溶け合うと、あたかもオルガンのような響きになりますね。 ◆「私は神に誓って申し上げますが、ご令息は、私の知る限り最も偉大な作曲家です。」(ハイドンがモーツァルトの父に言った言葉) この言葉、過去にも引用したのですけど、好きなんです。正確には、 私は、正直な人間として神に誓って申し上げますが、私が見聞する限り、ご令息は ヨーゼフ・ハイドンが、モーツァルトの父、レオポルド・モーツァルトに向かって言った言葉です。 レオポルド・モーツァルトは、息子の天才を見抜いていたからこそ、ヨーロッパ各地を連れ歩いて「宣伝」してた訳で、 ハイドンから言われなくても分かってはいたでしょうけれど、改めて時の大作曲家に太鼓判を押され、 親として嬉しくなかった筈がありません。 この言葉と直接結びつく理由は無いのですが、今まで取りあげていない音楽から選びました。 交響曲第35番“ハフナー” ニ長調 です。 CDはオトマール・スウィトナー=ドレスデン・シュターツカペレがいいのですが (リンクを貼らせていただいているKenさんから、だいぶ前に教えていただきました)、 CDだと、ボックスで買うしかないのです。すると、高い。 調べたら、iTunes Music Storeから個別に買えることが分かりました。 第一楽章のURLは、 http://itunes.apple.com/jp/album/symphony-no-35-in-d-major-kv-385-haffner/id99635790?i=99634383 です。このアドレスをブラウザのアドレス欄に貼り付けて、Enterキーを叩けば、iTunes Music Storeの該当箇所に 行くはずです。 モーツァルト:交響曲第35番“ハフナー” ニ長調 第一楽章 Symphony No. 35 in D Major KV 385 "Haffner": I. Allegro con spirito どこで読んだか忘れましたが、モーツァルト自身はこの楽章を「炎のように演奏すべきだ。」と言っています。 その期待に忠実な演奏ではないか、と思います。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2008年12月11日(木) たまにやります。昨日から本日のニュースを徒然なるままに。
JIRO
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