JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事:9条改正めぐり賛否=各党が見解、集団的自衛権も論議―衆院憲法審(時事通信 5月31日(木)17時41分配信) 衆院憲法審査会は31日、国会内で「戦争の放棄」を定めた憲法9条の改正などについて議論した。 ◆コメント:日本の「集団的自衛権の行使」は「絶対に」認めてはいけません。 2002年4月15日に、「JIROの独断的日記」を書き始めて、今日の記事が3313本目です。 ◆そもそも、国会議員が改憲を論じること自体が違憲です。 衆議院憲法審査会などというものを平然と国会議員が組織すること自体けしからん。 第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 国会議員(立法)行政、司法。国家権力の側から憲法を変えようかという議論が起きること自体、 憲法99条に違反している訳です。 こういうことは、私では無くて本来、マス・メディアが指摘すべきです。 ◆個別的自衛権。 個別的自衛権とは、日本が他国の攻撃侵略を受けたとき、自衛力を発動してこれに対抗することです。 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。 「全世界の国民が」「平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とあります。 全世界ですから、当然、日本国民も含まれます。 日本国民の「平和的生存権」は守らなければならない。これを脅かすものには、反撃する。 当たり前です。 人を殺してはいけませんが、刃物を持った強盗が、自分の家に押し入ってきたら、 「人を殺してはいけないから黙って殺されましょう」というアホな理屈はありません。 家族で一致団結して、強盗を袋だたきにしても構わない。同じ事です。 しかし、集団的自衛権はいけません。 ◆集団的自衛権 以前、NHKの世論調査で半数近くが憲法九条改正に賛成と回答しましたが、 「集団的自衛権とは何か、理解しているか?」に「している」と回答したのは8%でした。 このような、いい加減な回答をしてはいけません。分からないならば、「九条の問題点を正確に理解していないから、 改正するべきかどうか、わからない」と言えばいいのです(本当は「分からない」ようではいけないのですが)。 集団的自衛権とは、 「自国が他国から侵略・攻撃を受けていなくても、自国と同盟関係を結んでいるなど、密接な関係にある国が第3国から、侵略・攻撃を受けた場合、それを自国への攻撃と同じ物と見なして、防衛する権利」 です。日本にとって「密接な関係にある国」は要するにアメリカです。 アメリカはずっと人殺しを続けている国です。オバマ大統領がノーベル平和賞を受賞した後、 ウサマ・ビン・ラディンを911テロの首謀者だから、という理由で勝手に殺しましたが、 国際法上人を殺すことは正当化されません。 国際連合憲章は、基本的な理念が日本国憲法にそっくりです。 第2条(原則)には、次のように書かれています。 3 すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。 国連憲章では例外的な場合を除き、武力の行使は「違法」なのです。 記事には、 自民党の中谷元氏は「国家の自衛権は国連憲章で認められている」と述べ、9条改正を通じて集団的自衛権の行使を認めるべきだと主張。 とありますが、それは国連憲章「第7章 平和に対する脅威」の第51条(自衛権)のことでしょう。 (国連憲章)第51条〔自衛権〕 これを根拠に、集団的自衛権までもが、国家が、本来的に有する「自然権」であるかのように読めますが、 この、国連憲章第51条はアメリカが無理に押し込んだのです。 国連憲章の原案は、1944年に作られた「ダンバートン・オークス提案」(ダンバートン・オークスとは、ワシントン郊外の地名)です。 ダンバートン・オークス提案では、集団的自衛権に関する今のような規定は無かったのです。 この原案では、同盟国が攻撃・侵略されたときに、自国への攻撃と見なして武力行使をするためには、 全て国連安全保障理事会の許可が必要とされていたのです。 ダンバートン・オークス提案に反対したのは、米国とラテンアメリカ諸国です。 これらの国々は、1943年、チャプルテペック規約という条約を締結し、米州諸国間での集団的自衛権行使を可能にしていたのです。 しかし、ダンバートン・オークス提案のままで国連憲章が成立すると、米州諸国間での行動に支障があります。 いちいち、安保理の許可を得なければならないことになるからです。 それでは面倒でたまらんというので、最終的に国連憲章を採択した、1945年のサンフランシスコ会議において、 普遍的に集団的自衛権の行使を認める51条を挿入させたのです。 集団的自衛権という概念は、米国とラテンアメリカ諸国の都合で盛り込まれたものであり、 国家として当然有する慣習的権利、自然法的権利ではありません。
現在の日本政府の公式見解は、 「集団的自衛権の行使は違憲である」 ですが、それでもなお、イラク戦争の際、アーミテージもと国務次官補が来日し、 "Show the flag"(旗幟を鮮明にしろ。) とか、 "Boots on the ground."(戦場(イラクに)足を踏み込め=自衛隊を送れ) と、恫喝したら、小泉政権は真っ青になり、イラク復興支援特別措置法を強行採決して、 イラクへの自衛隊を決め、実行しました。 あれは、違憲です。 自ら、武器を用いて他国民を殺傷しなくても、戦闘状態の同盟国の「後方支援」を行ったのです。 後方支援というのは、武器・弾薬の確保、兵隊への物資輸送などですが、武力行使と一体となっている、 武力行使を禁じている9条は厳密に運用するべきです。航空自衛隊はクウェートから武器を持った米兵を イラク領内に輸送していました。これもいうまでもなく武力行使の後方支援です。 集団的自衛権は違法だ、との政府の公式見解が生きていても、このザマです。 アメリカは日本を少し恫喝すれば、なんでも言うことを聞くと馬鹿にしてます。 これで、本格的に、日本の「集団的自衛権」の行使を認めたら、どこまで、 アメリカの「パシリ」にされるか分かったものではない。 アメリカを助けておかないと、有事の際にアメリカが日本を助けてくれない、 というのも、相当、オメデタイ人です。福島原発の後、福島沖まで来ていたアメリカの空母が 原発事故をしるや、佐世保まで逃げていきました。戦争ではありませんよ? 北朝鮮のミサイルが日本に落ちたら、米国本土への攻撃とみなす と、イラク戦争のときにアーミテージ国務副長官が断言していましたが、 「他国の攻撃から日本を護って見せる」とはいっていません。 日本が攻撃されたとしてもアメリカの関心は在日米軍に向くのであり、 日本人がいくら死のうが知ったことでは無い。それが本音でしょう。 ◆結論:日本の集団的自衛権の行使は違憲であり、この解釈を変えてはいけません。 以上のべたとおり、集団的自衛権を「合憲」などと行ったら最後、元にはもどれません。
2010年05月31日(月) iPad騒動--電子書籍に限って言えば、私はずっと前から利用している。
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