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2011年12月22日(木) |
首相が「冷温停止宣言」を発表した日の夜のNHK「時事公論」水野解説。文字になりました。 |
◆NHKは、必ずしも、「大本営発表」ではありません。
3日前、
【映像/音声】NHK「冷温停止宣言」野田首相記者会見中継を打ち切られた部分←ビデオニュース・ドットコム神保氏の質問に答えていない。
で書きました。
先週金曜日に、野田首相は福島原発「冷温停止宣言」をしました。
首相の発言の後、質疑応答があり、ビデオニュース・ドットコムの神保哲夫氏が、
「外に出た燃料がどのような状態になっているかは、実は誰にも分かっていない。」ということは分かっている。
にも関わらず、今ここで「冷温停止」或いは「収束宣言」をされるのは、拙速のような印象を受けるのですが、
何故、敢えて、今、ここで、「収束宣言」など---燃料がどうなっているか分からない状態で---
収束宣言をされるのか、その辺のお考えをお願いします。
と質問したのに、首相は答えず、千代田内閣広報官が「それでは次の質問」と行って誤魔化した。
その部分の映像はNHKでは放送されず、YouTubeに載っているのですが、この動画のタイトルが、
「NHK「冷温停止宣言」野田首相記者会見中継を打ち切られた部分」
になっていて、あたかもNHKが政府と結託して、首相にとって都合の悪い、ビデオニュース・ドットコムの質問の
部分を視聴者に見せないようにした、と言いたげです。言いたいこと分かります?
私はそれは、ちょっと恣意的な解釈では無いかと思うのです。何故なら、NHKはNHKで、野田首相の
「冷温停止宣言」の妥当性に関して、原子力を専門とする水野倫之(みずの のりゆき)解説委員が「宣言」当日夜の
ニュース解説番組「時事公論」に於いて、疑問を呈していたからです。そのことも私は書きました。
「野田総理、冷温停止を宣言」←「冷温停止とはほど遠い状態です。(NHK 水野解説委員)」水野解説が正しい。
これは、再放送されませんし、録画してYouTubeにアップしても、即座にNHKから削除依頼が出て消されてしまうのです。
但し、今日現在はまだみられるので(アップして下さった方がおられます)、埋め込んでおきます。
時論公論 「原発事故収束宣言 今後の課題」
話が逸れます。
確かに放送内容を、ネット上にアップすること自体を単純形式的に解釈するならば、
著作権の侵害で、純然たる「違法行為」なんですけど、
あくまでもNHKが著作権を死守することと、原発事故問題の解説を広く国民に知らしめることの意義の大きさ、
という両側面から考えて貰いたいものです。
そういっても、NHKの削除依頼で、この映像と音声を視聴できなくなるのは時間の問題でしょう。
幸い、22日(木)、時事公論のサイトに、水野解説の内容が(文字で)掲載されました。
時論公論 「原発事故収束宣言 今後の課題」2011年12月16日 (金) 水野 倫之 解説委員
次々に新しいニュース解説が入るので、このページもやがては削除されるでしょう。
ですから、記事を引用させていただきます。
NHK 時論公論 「原発事故収束宣言 今後の課題」2011年12月16日 (金) 水野 倫之 解説委員
東京電力福島第一原発の事故から9か月余り、
野田総理大臣はきょう、原発が冷温停止状態に達し、事故そのものは収束したと宣言。
原子炉の冷却が進み、放射性物質が大量に放出される恐れはなくなったと説明していますが、
現場が完全に安全になったわけではなく、収束と言えるのか。
炉内の状況はきちんと把握されず、たびたび汚染水が外部に漏れ出すなど、
不安定な要素が多く残っているのが現状。
また今後は、3基の原子炉から溶けた燃料を取り出すという、世界のどこも経験したことのない難題が。
今夜の時論公論は、事故収束宣言後の課題について水野倫之解説委員。
政府と東電は冷温停止状態の条件として、原子炉の底の温度が100度以下になることと、放射性物質の放出が大幅に抑えられることを主な条件に掲げて冷却作業。
その結果、原子炉の底はきょう現在、38°から68°と、いずれも100度を大きく下回っている。また放出される放射性物質も最大で1時間当たり 6,000万Bqで、
事故直後の1,300万分の1にまで減り、敷地境界での被ばく線量は年間で0.1mSvと1mSv以下に。
冷却システムにはバックアップのポンプや電源が備えられており、
今後余震などがあってもバックアップに切り替えることで冷却は維持できるとして、条件の達成を宣言。
確かに事故直後の危険な状態は脱出し、放射性物質が大量に放出される恐れはなくなってきているように見えるが、
原発が完全に安全になったわけではなく、事故は収束したという言い方には疑問を感じざるを得ない。
そもそも冷温停止とは、原子炉やそれを覆う格納容器、燃料が健全な原発が運転を止め、
冷却水が冷えて放射性物質の放出がなく、安全な状態を言う。
これに対して今回は3基とも原子炉や格納容器に穴があき、
放射性物質の放出もわずかながら続いており、冷温停止とはかけ離れ。
政府は冷温停止に“状態”をつけて言い換え、収束という表現も使うことで
安全をアピールしようという狙いがあると見られるが、
いまだに不安定な要素が多く残っていることに注意。
今、一番知りたいのは溶けた燃料や冷却水の温度。
しかし1号機では、燃料の大部分が格納容器にまで落下して、
原子炉にはほとんど残っていない可能性が高い。
この状態で、原子炉の底の温度にどれほどの意味があるか。
本来ならば格納容器の底の温度で判断すべき、ここには温度計がない。
東電は格納容器の底に20〜30センチ水がたまっているとみられること、
格納容器内の温度が40°程度であることなどから燃料は冷却されているとしている。
しかし肝心の水の量については、底から30センチにある配管に水が流入してこないことを根拠。
水位計で測ったわけではなく、溶けた燃料の一部は水から露出しているかも。
また2号機では先月、核分裂が連続する臨界の再発が疑われる事態。
溶けた燃料がどういう状態にあるのか把握できていないことが改めて浮き彫り、不安を与えた。
ただ新たに取り付けられた格納容器内のガスの検出器で調べた結果、臨界が起きていないことが確認。
燃料が再び溶けたり、再臨界が起きれば放射性物質やガスが発生、
格納容器のガス検出器は異常事態の発生を知る上でかなり有効。
しかし1号機ではまだ試運転中、3号機は放射線量が高いためまだ取り付けられてない。
燃料の温度を直接測れない現状ではより多くのデータで炉内を推測しなければならず、
建屋内の除染作業を早く進め、ガス検出器の設置を急ぐ必要。
そして温度などほかのデータとともに放射性物質濃度に関する
リアルタイムのデータを、一般の人にもわかるように公開してほしい。
さらに要となる冷却システムからは今月も相次いで汚染水が漏れ出し、一部は海に流出。
システムはホースなどを使った仮設のもの。
早めにステンレス製の本来の冷却システムに近いものを設置するなど、
原発の安定と安全に向けた対策を急ぐ必要。
ただ原発を完全に安全な状態にするには、溶けた燃料を取り出さなければ。
3基の原子炉には事故当時あわせておよそ1500体の燃料が。
メルトダウンして原子炉や格納容器の底にたまっており、
廃炉に向けては世界でも初めてとなる様々な困難が予想。
さらに困難なのが溶けた燃料の取り出し。
格納容器の上から遠隔操作できるロボットアームのような器具をおろして取り出すことが考えられている。
ただ格納容器は高さが35mもあり、燃料を取り出すにはつかんだり削り取ったりする作業が必要。
参考になるのは1979年にアメリカのスリーマイル島原発で起きた炉心溶融事故。
これは当時原子炉から取り出された溶けた燃料の一部。
直径7センチほどのかたまりのうち、黒い部分の多くはウラン。
そして白く見える部分はウランを包んでいた金属のさやや制御棒などで、
全体がまじりあって岩石のように。当時はドリルを使って削って取り出された。
またこちらのように砂利のように堆積していたものもあり、掃除機のようなもので吸い出して回収。
実はこの燃料のかたまり、研究のため日本がアメリカから譲り受けたもので、
今も、茨城県の研究機関のプールで厳重に保管。当時その組成や放射能量などの調査は行われたが、
固さについてはデータがない。燃料取り出しのためにどんな器具を開発したらよいのか参考にするためにも、
この燃料をあらためて調査することを検討する必要。
しかし世界初のことも多く日本だけで対応するには限界。
政府や東電は、原子炉の解体まで40年かかり、
費用も1兆1,500億円と見積もっているが、作業が長引けば数兆円になる可能性も指摘。
実際にスリーマイルやチェルノブイリを経験したアメリカやロシアだけでなく
古い原発の解体が進むヨーロッパにはロボットなど多くの技術あり。
日本はこうした技術をうまく利用して効率よく燃料の取り出しを進めるためにも
世界に向けて協力を呼び掛け、IAEAなども巻き込んで
国際的な体制のもとで進めていくことを検討すべき。
その過程で開発された新たな技術は、今後各国での廃炉にも生かすこともできる。
そのためにも政府や東京電力は福島第一原発の現状や事故原因究明の途中経過について
世界に向けて情報を公開し、丁寧に説明して失った信頼の回復し、協力体制を築きあげていってほしい。(水野倫之 解説委員)
水野解説委員が話したことをそのまま文字にした方がいいですね。
内容は省略していないのに、無理に箇条書きのように「体言止め」をするから、
エラくぶっきらぼうな日本語になってます。
◆コメント:NHKの解説委員が政府の見解を批判する勇気。
本来、ジャーナリズムは国家権力に迎合するのではなく、これを監視し、
一般大衆に正しく考えるヒントを道しるべを与えること。
勿論、その前提として、自ら取材し、「本当は何が起きているのか?」を
確認して報道することが使命ですが、
実際の世の中は理想通りにならず、NHKなどは政治家や役人も見てるでしょうから、
水野解説委員は、淡々と解説していますが、こういうことをはっきりと述べるには、
この番組制作に携わった全ての人が肚を据えなければなりません。
NHKがそれでも敢えてこの放送をしたのは、評価されるべきだと思います。
なお、水野解説委員や他の解説委員が、放送では言えないような、厳しい意見を
述べているのが、緊急解説! 福島第一原発事故と放射線 水野 倫之, 山崎 淑行, 藤原 淳登
です。5月に出た本ですから、今は又随分と状況は変わっていますけれども、
「この事故は防げなかったのか」水野解説と山崎解説が対談している部分は
今でも、参考になります。
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