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JIROの独断的日記
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2011年12月06日(火) 【音楽】12月5日はモーツァルトの命日です。

◆今年はどうしようかと思ったのですけどね。

というのは、毎年「12月5日は〜」をかいているのですが、

毎年、アクセスが減るのです。


去年はショパンの生誕200年、今年はフランツ・リストの生誕200年。

だいぶ、格がさがるけど、映画音楽で有名だけど、前衛的な作品を書いた

ニーノ・ロータの生誕百年。


世の中、難曲、大曲、珍曲(今まで無名だった作品を掘り起こす)ブームですね。


例えばピアノならば、

モーツァルトなんか、子供でも弾けるわ。それより、ラフマニノフ、リストが面白いぜ。

ということになるし、オーケストラでは、

近年、オーケストラを聴くよりもアマチュア・オケで自分で演奏する素人が、

増えているわけです。そうすると、モーツァルトの交響曲をプログラムのメインにすると、

金管楽器(特にトロンボーン、テューバ)や打楽器(ティンパニ以外)の出番が無い。

必然的に大編成で、本当は素人には分不相応なマーラーやブルックナー、

ショスタコーヴィッチの「大曲」を選ぶ。


すると、聴く時にもそれが中心になるでしょうね。


◆モーツァルトは人間的にある程度成熟(円熟)しないと分からないようですね。

それを強く感じたのは、あの天才ヴァイオリニスト五嶋みどりさんが、若い頃に、

モーツァルトって、つまんない。みんな同じなんだもの。

と、全くこの通りかどうか確認できませんが、そういう趣旨の言葉を発したそうです。

ふーむ。あの大天才ですら、やはりモーツァルトが分かるには「年月」が必要なのか、

と思い、同時に昔のヴァイオリン教師、カール・フレッシュという大先生が、

ヴァイオリン演奏の技法 上巻 ヴァイオリン演奏の技法 下巻

の「下巻」だったと思いますが、
ある音楽家の教養の程度は彼のモーツァルトに対する関係で分かる。

相当の年にならねばモーツァルトを理解することができない、というのは、よく知られた事実である。
若い人たちは、モーツァルトを単純、単調、冗漫だと思う。

人生という嵐によって純化された人だけが、単純さの中の崇高さと、霊感の直接性を理解するのである。

と書いていたことを、思いだし、「なるほど」とおもいました。


私は、ヴァイオリン弾きではありませんが、学生時代音楽に夢中になって、

とにかく何の楽器の先生だろうが、指揮者だろうが、作曲家だろうが、色んな人の書いた

文章を夢中になって読み漁っていた時期があります。

カールフレッシュのこの言葉も、そのような過程で、偶然見つけたのですが、

中学生か高校入りたてでした。カールフレッシュさんの言う言葉の意味が、

何となく分かるけれど、実感としては勿論、全く分からない。

しかし、五嶋みどりさんの言葉を知ってなるほど、と思いました。

確かに苦労を重ねるほど、殆ど、長調で書かれているモーツァルトの音楽に

一見明るい音楽に、悲しさ、を感じるようになりました。


◆モーツァルトのピアノ協奏曲のような「本当の」音楽の素晴らしさは誰にでも分かる訳ではない。私たちごときの作曲がもてはやされるのは、そのおかげです(ブラームス)

この言葉は音楽評論家の吉田秀和氏の本で知ったのですが、古今東西、

自らも天才の名をほしいままにした、大作曲家、文学者、学者たちが、

モーツァルトに最大級に賛辞を惜しみ無く贈っています。それを一冊にした、

モーツァルト頌(しょう)という本があります。

大抵芸術家なんて、変人が多いですから世間がいくらすごいと言っても

「いや、おれはそうは思わん」と、ムキになる、或る意味幼稚な人も多いですけど、これほど

ありとあらゆる天才達の評価が一致するモーツァルトという人は、厳密に人類誕生から現在まで、

本当の「天才」、「天」「才」を選ぶとしたら、彼では無いかと思います。

アシュケナージ=フィルハーモニアの弾き振りで、ピアノ協奏曲23番の第一楽章をお聴き下さい。

これが音源です。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番&27番



ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 第一楽章



Mozart Piano Concerto No23 K.488 First Movement



同じ、アシュケナージのCDでも聞けるのですが、最後のピアノ協奏曲27番、K.595には、

本当はワルタークリーンという名ピアニストとN響との伝説的名演があるのですが、

「これこそ観たい」という映像に限ってDVD化もせず、テレビで再放送もしない。

NHKには、多いに文句を言いたいのですが、直ぐにどうなるものでもないので、

ワルター・クリーンのモーツァルト協奏曲集(全曲ではありません)があります。

モーツァルト:ピアノ協奏曲集(第12、14、16、17、18、21、23、24、26、27番)です。

アメリカのミネソタ管弦楽団、指揮はN響を何度も振っている、スタニスラフ・スクロヴァチェフスキーです。

このピアノ協奏曲27番第3楽章の主題を使って、モーツァルトは3日後に「春への憧れ」という歌曲を書きます。

ワルター・クリーンは「春への憧れ」をカデンツァに丸ごと取り込んでいます。



モーツァルト:ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595 第三楽章



Mozart Piano Concerto No. 27 in B-flat, K595-III. Allegro



柔らかく、非常に一つ一つが明瞭な音の粒がきれいにならんでいます。

今のETVで「ワルター・クリーンのスーパー・ピアノ・レッスン」を放送したこともあります。

余り知られていませんが、ソナタ全集(これは全曲です)も出していて、お薦めです。


◆正しく演奏しようと思ったら、これほど易しく、しかも難しい音楽は他にないのだ。(ギーゼキング)

ワルター・ギーゼキング(Walter Wilhelm Gieseking, 1895年11月5日 - 1956年10月26日)という名人がいまして、一種天才なのです。

ほぼ間違いなく。この人がかいた「ピアノ演奏の技法」という本には、

一度弾いた曲を練習するのは、無意味である。既に弾けるのだから、それ以上練習する必要は無い。

などと書いてありますが、普通のピアニストは何度も弾いた曲でも特に協奏曲などは、練習するのですけど、

ギーゼキングは、ジーッと楽譜を見ていきなり弾いて、弾けるらしいのです。

それで「ハイ、一丁上がり」の感覚なんでしょうね。一般には彼の助言は役に立たない。

但し彼の言葉。
逆説的に響くかも知れないが、モーツァルトのピアノ音楽に関する私の意見は、次のように言うしかない。

正しく演奏しようと思ったら、これほど易しく、しかも、難しい音楽はないのだ。

は、その天才ですら、モーツァルトには一目置いていたことを伺わせます。


イングリット・ヘブラーの演奏です。


ピアノソナタ 10番 K.330 ハ長調 第1楽章



Ingrid Haebler Piano Sonata No10 In C, K 330 - 1. Allegro Moderato



素人が聴いても単純に技術的にはラフマニノフとかリストと比べたら易しいだろう、ということは

わかりますけど、超絶技巧を弾ける人が、そのままモーツァルトのピアノ・ソナタを弾いても必ずしも、

ピンと来ないのです。


◆あとは、思いつくまま。

どうも、作曲家や演奏家の言葉を引用してから曲を載せると、

キリがないというか、収集が付かなくなるので、ここからは好きなのを

全く脈絡ないのですが、載せさせて頂きます。


歌、です。森麻季さんの見事なソプラノ。

森麻季/ピエ・イエス〜祈りを込めてから、

モテット「喜べ躍れ,幸いなる魂よ」 アレルヤ



Exsultate,iubilate Alleluia



ヘルマン・プライで、オペラ「フィガロの結婚」からあまりにも有名な「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」。

音源は、オペラ・アリア集 プライ、ヴァイル&モーツァルテウム管



「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」



Hermann Prey Non piu andrai (>> Le nozze di Figaro)



最後はオーケストラです。


そのフィガロの結婚序曲。ちょっと意外ですが、ロシアのムラヴィンスキーです。

ムラヴィンスキー & レニングラード・フィル モスクワ公演(1965) から。

歌劇「フィガロの結婚」序曲



The Marriage of Figaro”Overture



最後の交響曲。第41番「ジュピター」第四楽章。

天下の大天才、モーツァルトの作曲技術の粋を凝縮した楽章です。

ベルリン・フィルのコンサートマスターを四半世紀も務めた

安永徹さんの「指揮」による、オーケストラ・アンサンブル金沢。



モーツァルト:交響曲 第41番 K.551 ハ長調 「ジュピター」第四楽章。



Mozart Symphony No.41 C dur K.551 Finale



作品も演奏も見事です。

うーむ。どうもモーツァルトは毎年、失敗しますね。

まとまりが、なさ過ぎる。

なんか「テーマ」を設定すればいいのでしょうけど。

まあ、勘弁して下さい。

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