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JIROの独断的日記
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2011年05月11日(水) <イージス艦衝突>2自衛官無罪判決 「漁船側に回避義務」←正しいと思います。

◆記事:<イージス艦衝突>2自衛官無罪判決(毎日新聞 5月11日(水)22時3分配信)

海上自衛隊イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、漁船の2人を死亡させたとして

業務上過失致死罪などに問われた自衛官2人(起訴休職中)に無罪を言い渡した11日の横浜地裁判決

(秋山敬(ひろし)裁判長)は、漁船の右転が事故原因で、漁船側に回避義務があったと判断した。

最大の争点となっていた清徳丸の航跡について、

判決は検察側、弁護側双方の主張を認めず、

当直士官だった3佐、長岩友久被告(37)らの供述を基に独自に特定。

清徳丸が右転しなければ、あたごの艦尾500メートル以上の場所を通過していたと認定した。

被告側の監視も不十分だったことなどを認めつつも、清徳丸が右転しなければ危険は生じなかったと判断。

「衝突の危険を発生させた清徳丸側が避航すべき義務を負っていた」と述べ、

「被告側が注意義務を負っていたとは認められない」とした。

検察側は、衝突時の長岩被告は注意義務があるのに漫然と航行を続けたとして、

直前の当直士官だった3佐、後潟(うしろがた)桂太郎被告(38)については

接近中の漁船群の動きを正確に把握する注意義務を怠り「停止操業中」と引き継ぎ、

過失の競合で事故を起こしたとして、2人を起訴していた。


◆コメント:妥当な判決だと思います。

この事故は、

千葉・野島崎沖で08年2月19日午前4時6分ごろ、海自イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」が衝突、


清徳丸船長の吉清(きちせい)治夫さん(当時58歳)と長男哲大(てつひろ)さん(同23歳)が死亡。

横浜地方海難審判所は09年1月の裁決で、あたご側に事故の主因を認め、

所属部隊「第3護衛隊」(京都府舞鶴市)に安全航行の指導徹底を求める勧告を出した。

横浜地検は同4月、業務上過失往来危険と業務上過失致死の2罪で自衛官2人を起訴した。

というものです。


始めに書いておきますが、私は所謂「軍事オタク」でも「自衛隊ファン」でもありません。

自衛隊の存在は必要ですが、改憲には反対ですし、日本に集団的自衛権の行使を認めることにも

反対です。

つまり、私はこの判決の被告人が「自衛隊だから」正しい、と考えているのではありません。

最初から説明すると長くなります。

この事故の起きた後、私はメディアが殆ど全て右へならえ、で自衛隊を悪者にしようとしていたので

それは、明らかにおかしい(事故の状況を考えると)と思い、何度も記事を書きました。
2008年02月19日(火) 「イージス艦事故:「あたご」に回避義務」←事故の全容が分からない時点で当事者一方の責任を強調するべきではない。ココログ

2008年02月22日(金) 「見張り、清徳丸を報告せず=「危険性ないと思った」−イージス艦衝突事故」←イージス艦「だけ」の責任にしたがる一面的思考ココログ

2008年03月02日(日)「福田首相、吉清さん方を訪問」←事故原因が分からないのに謝るのはおかしい。ココログ

2008年06月23日(月) 「<イージス艦衝突>あたご側に当直交代前から回避義務…3管」←漁船の航路を説明していただきたい。ココログ

かなりしつこく、ムキになって書いてますが、事故直後からメディアが、
「とにかく自衛隊が悪いに決まっている」と、決めつけた報道をしたからです。


マス・メディアがすべきことは、まず、
本当は何があったのか?

を可能な限り客観的かつ中立的に取材し、報ずることです。

それがはっきりしないうちから、
誰が悪いのか?(多分、自衛隊だろう)

というスタンスで報道していたので、私は「それは正しくない」と書いたのです。


マスコミがイージス艦「あたご」が悪い、と早くから決めつけたのは、

海上衝突予防法 第十五条第一項を見つけたからです。

その文言は、
二隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならない。

この場合において、他の動力船の進路を避けなければならない動力船は、やむを得ない場合を除き、当該他の動力船の船首方向を横切つてはならない。

となっているので、イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の位置関係からして、

明らかにイージス艦が回避すべきだった、という言い分でした。

しかし、それは余りにも、形式的、つまり杓子定規な判断です。

イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の大きさを比較した図があります。



これを見れば、船乗りの意見を訊くまでも無い。

大きな船は大きくなるほど、舵を切ってからも、実際に船の進行方向に反映されるまでに

時間がかかる。この海域には、清徳丸以外にも漁船はいたのです。イージス艦がこれら全てを

避けることは、できない。

そんなことは、イージス艦も漁船も、「プロ」が動かす乗り物なのですから、

瞬間的に判断できる筈なのに、清徳丸はわざわざ直進するイージス艦の進路を

横切ったのです。


学生時代法学部でしたが、「法学概論」で、「法の目的論的解釈」という

言葉を知りました。それは、
この法律は、何を目的としているのか、を考えて解釈しろ。

ということです。海上衝突予防法は、文字を見れば分かるとおり、

海上で船と船が衝突事故を防ぐことを目的とする法律なのですから、

とにかく、ぶつからなければいいのです。

裁判長の本音は「プロなんだから、適切に操艦すれば、事故は防げたであろう」

ということだと思います。そして、明らかに漁船の方が小回りが利くし、

進路変更することも、イージス艦が通りすぎるまで停止していることもできた。

だから、当時の状況下では、漁船に回避義務があったと考える。

そういう意味で非常に合理的で公平な判決だと思います。

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