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2010年12月27日(月) |
万年筆雑感。モンブランの万年筆は好きだが、会社はどういうつもりなのか。 |
◆ペンで紙に文字を書く機会が激減しましたね。
皆さん同じだと思うけれども、PCとネットの普及により、日本語(だけではないが)の文字は
「書く」ものではなく、キーボードなどから「入力する」ものになった。
効率性や利便性から言えば「入力」が便利なのは明らかだ。
キーボード入力ほど早く手書きするのは無理だし、書き間違えてもパソコンなら削除して
入力し直すだけだが、万年筆で文字を書き間違えたら、それが手紙だったら、
書き直すしかない。というわけで、ついつい「キーボードで文字を書く」のが当たり前に
なっているが、意識的に、「手書きの時間」を毎日少しでも確保した方が良い。
私は11年前からパソコンを使いだしたら、余りの便利さにハマってしまい、
キーボードばかり用いていた(タッチタイピングの練習を改めてする必要は無かった。
高校生の頃、「タイプライター」で既に身につけていたからである)ら、とんでもないことが起きた。
3年ほど前、書類に住所を手書きする必要が生じた。
当時私は東京都武蔵野市に住んでいたが、書き始めてギョッとした「武蔵野市」の「蔵」が
書けなくなっていたのである。失語症の一種で失字症というのがあるが、それかと思った。
幸い病気ではなく、余りにも長い間手書きをしていないと、こういうことが起きる。
以来私は、必ずしも毎日ではないが、意識的に手で文字を書く時間を設けるようにしている。
使うのは、万年筆である。
◆筆記用具の王といえば「万年筆」。万年筆なら「モンブラン」。
最近の若い人はきっと持っていないだろうが、本来、目上に手紙を書くときには、
万年筆で書くものなのである。理由はない。そういう慣習である。
私は、ロンドン駐在時、日本よりは安い(それでも高いが)ので、
思い切ってモンブランのマイスターシュテュック 149を買った。
太字・中字・細字と三種類。今、日本で買おうとしても買えない。楽天を見た。まともに買ったら8万円近い。
人によっては、こんな物を買う人間の気が知れない、というだろう。
何しろ、日本エイサーのノートブックパソコンが5万円しない。
価格の単純比較がそもそも、無理である。万年筆は紙に文字を書く事しかできないが、
モンブランの万年筆の約半額のノートブックパソコンの機能は説明するまでもない。
合理性、効率性、機能性だけで割り切ってしまったら、8万円近い万年筆を買うことは
正気の沙汰とは思えないだろう。
経験すればわかるのだが、モンブランではなくても、ペリカンでもシェーファーでもパーカーでも良いが、
上等の万年筆が紙の上をさらさらと滑り、インクの臭いがする文字が残る快感は何とも言えないものなのである。
しかし、万年筆は最初はやや書き辛く、暫く書いている間に、ペン先が書き手の癖に馴染み、
それから漸く本当に書きやすくなるのが、以前の常識だった。ところが、ベテランの万年筆職人さんに
ペン先を調整して貰うと(勿論、料金はかかるが)、最初から、信じがたいほど書きやすい万年筆になる。
私はフルハルターという東京・大井町駅近くにあるお店のことを、
文房具の研究―万年筆と鉛筆(中公文庫ビジュアル版)を読んでロンドンで知り、
一時帰国時にわざわざ出かけたのである。
◆フルハルターのご主人の職人芸。
こちらがフルハルターさんのウェブサイトである。
この店のご主人は、長年、モンブランの日本総代理店に1977年に入社し、品質管理アフターサービス部門に17年間勤務なさった方である。
その間の修業で身につけた技術を以て、1993年「フルハルター」を開業した。「フルハルター」ドイツ語で「万年筆」という意味だそうだ。
私が訪問したのは開業後2年目ぐらいのことだ。
店主の森山さんは、正真正銘の超一流万年筆職人である。
店を訪れ、自分の万年筆を用いて、森山さんの目の前で、メモ帳に何でも良いから文字を書く。
森山さんはそれを観察し、一人一人異なる、万年筆の持ち方、紙に当てる角度、筆圧など、
万年筆所有者の「クセ」を見抜く。そして、これは好みだが、私は紙の上を滑るようにペン先が流れるのが
好きなので、そのようにして欲しいと頼むと、一旦あずかり、何日後かに取りに行くと、あら不思議。
まだ、さほど使っていない新品のモンブランが、あたかも何年も使い込んだような書きやすさになっているではないか。
私は狂喜して、ロンドンに戻った。
1997年に私が日本に帰国した後、モンブランは相変わらずすこぶる調子が良かったから、フルハルターさんのお世話に
ならずに済んだ。ところが先日、実に久しぶりにフルハルターさんの様子を知りたくなり、ウェブサイトを見つけた。
そしてそこに有る言葉を見つけて愕然とした。
モンブラン製品の販売及び修理、調整が出来なくなりました。簡単な説明をさせていただきますので、お読みください。(2006-12-22)
「簡単な説明」を読むと分かるが、
ブランドイメージを高め、共有できる正規小売店としての資格と必要条件が提示された。
そして、「フルハルター」がその条件を満たさないので、販売も修理も、調整もまかりならんということになったそうだ。
モンブランという会社はバカではないか。これほどまでに生涯をモンブラン万年筆に捧げたと言っても過言ではない、森山さんを
切り捨てたのだ。モンブランのオフィシャル・サポートセンターはあるだろうし、そこでペン先調整もするのだろうが、
私は断言するが、森山さんのような、万年筆所有者一人一人の書き癖を見抜いての微調整など、やるわけがない。
そして、そのクセに料金は「フルハルター」の倍も3倍も取るのだろう(←これは私の勝手な推測である)。
冗談じゃない。モンブラン万年筆所有者で、少し詳しい人間は、皆フルハルターを頼っていたのである。
このようなことが2006年に起きていたのを知らなかったのは迂闊だった。
誠に残念だが、段々腹が立ってきたので、もう年末だから今年は無理としても来年早々モンブランに抗議してやる。
モンブラン万年筆を所有し、かつフルハルターさんを知っている人は、是非、同じ事をして下さい。
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