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2010年11月22日(月) |
【音楽】1928(昭和3)年11月22日に、モーリス・ラヴェルの「ボレロ」が初演されました。 |
◆今年はいい加減止めようかとも思ったのですけどね。
毎年、11月22日のボレロを載せるようになって、かなり経ちます。
それ以前にも、「ボレロのトロンボーン」とか、何度書いたか分かりません。
読者の皆様も食傷気味カモ知れませんが、まあ、明日は休みですから(お仕事がある方、ごめんなさい)、
少しは見て、聴いて頂こうと思いました。
◆西本智実さんです。
引用元(あくまで引用です)は、ボレロ 火の鳥 & 展覧会の絵です。
CDもありますけど、この指揮者カッコイイですからね。
舞台人としては、カッコイイのも実力のうち、と考えれば、よろしいのではないでしょうか。
と書いておきながら矛盾しますが、この西本さんという方は、その端麗な容姿故に、正当な評価を受けにくい、という
逆のハンディを負ってしまっています。つまり、音楽以前に女性であり、容姿が美しい、というだけで、音楽を冷静に聴かずに
「ミーハー人気だろ?」と決めつけてしまう人が多いのですけど、私の子どもの頃にも女性指揮者いたんですよ。
しかし、これほど海外で活躍するに至った人は初めてです。
サンクト・ペテルブルグで、ロシア人のオーケストラと歌手を相手に「エフゲニー・オネーギン」(チャイコフスキーのオペラ)を
ロシア人の客の前で日本人が振らせて貰えるというのは、やはりそれ相応の音楽的才能・素養・実力・経験、がある、という状況証拠だと
言っていいでしょう。
「状況証拠」というのは、私は、この人の生演奏聴いたことが無いのです。
本人はそういうつもりで指揮をしてるわけではないけど、どう見ても「男装の麗人」風でタカラヅカチックな魅力があるので、
ほぼ、タカラヅカの追っかけと同じような、「音楽などどうでも良いけど、西本さんは見たい」熱狂的ファンが、チケットをすぐに
買ってしまって、演奏など聴かずに、演奏が終わるとキャーキャーいって、ステージに駆け寄って花束を渡す、というのは、
正直言って、芸能人ではない、西本さんは余り嬉しくないだろうと思います。「お客様は神様」だから、嫌だとは言えないでしょうけど。
本当だったら、指揮者は、なによりも「演奏」を評価して欲しいに決まっているのです。だから私も生を聴いて、なるべく正当な評価を
下したいのですが、とにかく何でも、すぐに完売になってしまう。
だから録音・録画から類推するしかないのですが、物凄い天才ではないけれど、かなりいい線だと思います。
◆「ボレロ」です。
一見、簡単そうなリズムですが、このスネアドラム奏者の集中力は大変だと思います。
二小節で出来ているリズムを171回繰り返すのですが、ちょっと油断すると、テンポが狂うと思います。
指揮者も大変です。指揮者の仕事のうち、最も最低限というか、基本はオーケストラにテンポを提示することですが、
演奏時間、約17分のボレロの三拍子でほぼ同じテンポを保つのは、指揮者ならば当然出来なくてはいけませんが、
傍目で見るほど楽ではありません。フリーソフトでテンポ・カウンターをダウンロードし、
解凍して下さい。ごく小さいファイルですが、Enterキーを押すとテンポを測ることができます。メトロノームの逆。
今演奏されている音楽のテンポがどれぐらいか測るためのものです。
これで、ボレロの3拍子に合わせて、Enterキーを叩いてご覧なさい。絶対、一定にならない筈です。
必ず揺れます。しかし、もし、同じ事をプロの打楽器奏者や指揮者にやらせたら、絶対とは言いませんが、
驚くほど、一定のテンポを維持出来るはずです。それが出来なければ音楽家になれません。
さて、ボレロの演奏時間、約17分なので、二つのファイルに分けました。
前半は9分51秒ですが、トロンボーンソロが終わり、小太鼓が2回(四小節)叩いたところで、
二番目のファイルに切り替えて頂いた方が、音楽的には区切りがいいです。
Bolero(1/2)
ウィキペディア「ボレロ」のメロディの構成で12番目からが次の映像です。
Bolero(2/2)
テンポが上手くて65.2で始まり中間はやや速くなり67程度になりますが、コーダに入る少し前から、
再び、65台に落としています。指揮者がオーケストラより、先に興奮してしまうとボレロは失敗しますが、
あくまで冷静に、計算して構成を考えて、盛り上げ始める地点を正確に設定していると思います。
あまりはやくから、目一杯のフォルティッシモにすると、それ以上、音量を上げられず、印象として
「盛り上がらないボレロ」になってしまいます。
◆おまけ:ブラームス:「ハンガリー舞曲第1番」
YouTubeで、西本さんのハンガリー舞曲第1番をみつけたので、載せます。
ハンガリー舞曲(ブラームス)、スラブ舞曲(ドボルザーク)はテンポの変化が激しいけれども、
このハンガリー舞曲第一番のルバートの仕方は、大変私の好みと合致するので、気に入りました。
Tomomi Nishimoto - Brahms : Hungarian Dance No. 1
西本智実さんは、指揮者としてのキャリアをロシアで始めましたが、
クラシックの大元はどの辺にあるかといったら、ドイツやオーストリアにあります。
ドイツ音楽だけがクラシックではありませんが、指揮者なら、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、
マーラー、ブルックナーを避けるわけにはいかない。昨年、英国のロイヤル・フィルと来日して、
ベートヴェンの7番とマーラーの5番を振ったときの録音がCD化されていますが、実はまだ聴いていないので、
いずれ、聴いてみたいと思っています。
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