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JIROの独断的日記
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2010年05月19日(水) 「10キロ圏の全頭殺処分決定=新たに20万頭、全額補償も―政府、口蹄疫で新対策」←国の対応が遅すぎたのかどうか、何とも言えない。

◆記事1:10キロ圏の全頭殺処分決定=新たに20万頭、全額補償も―政府、口蹄疫で新対策(5月19日15時16分配信 時事通信)

宮崎県で口蹄(こうてい)疫の被害が拡大している問題で、政府は19日、首相官邸で「口蹄疫対策本部」(本部長・鳩山由紀夫首相)を開き、

新たな口蹄疫対策をまとめた。発生地から半径10キロ圏内の全頭の家畜にワクチンを投与した上で殺処分することを決定。

これにより約20万頭の牛や豚が新たに殺処分されることになる。また、10〜20キロ圏内の農家に家畜の早期出荷を促す。

さらに、感染により家畜を殺処分した農家に対し、特別交付税を活用して国が全額補償することも決めた。

感染地域の広がりを抑えるとともに、経済的に厳しい状況に直面している農家を支援する。

赤松広隆農林水産相は同日記者会見し、今回の対策について「(口蹄疫を)とにかく抑え込み、清浄化させるのが重要だ。全力を挙げる」と強調。

費用に関しては「少なくとも300億〜400億円かかる」との見通しを示した。

平野博文官房長官は「足りないなら迅速に追加していく決意だ」と述べ、必要に応じてさらなる対策を検討する意向を示した。


◆記事2:早く具体策を!国の口蹄疫対処方針に農家怒り(5月18日2時13分配信 読売新聞)

被害が爆発的に拡大している宮崎県内の家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で17日、

政府の対策本部は「対処方針」を発表し、ようやく国あげての対策が始まった。

しかし、その内容は、最初の感染確認から1か月近くもたった割に具体策に乏しく、

畜産農家からは「今ごろ何を」「早く感染を止めて」と悲鳴と怒りの声が上がった。

「具体的な対応策は何もないに等しいのでは。今まで何をやっていたのか」

宮崎県えびの市。感染が判明した農場から数百メートル離れた場所で、牛を8頭飼育する西田安雄さん(57)は、

この日、憤りを隠さなかった。政府の口蹄疫対策本部の対処方針が、「移動制限や殺処分を徹底させる」

「農家の経営再建に万全を期する」「副大臣を本部長とする現地対策本部を設置する」といった内容にとどまっていたためだ。

西田さんは自宅の敷地に、家族以外は立ち入らないよう注意する看板を立て、隣家とのやり取りも電話で済ませるなど

可能な限り人との接触を避けている。毎日数回、牛舎などへ消石灰をまき、起床後はすぐに、

牛の体調や食べた餌の量を確認するのが日課になった。眠れない日々が続き、疲労と心労は限界に近い。

政府の現地対策本部が設置されることについても、西田さんは「ただ担当者が来るだけでは意味がない。

言葉だけでなく具体策を示して実行し、一刻も早く安心させてほしい」と訴えた。


◆コメント:家畜伝染病予防法によれば、口蹄疫の家畜の殺処分に国の指示は不要なのです。

私は、畜産業に携わった事がないし、その実態も良く知らない(東京の生まれ育ちなので畜産農家が近くに存在しないためである)。

だから、以下に書くことは、当事者が読むと重要な点を見逃しているかも知れないが、

手許で入手可能な、なるべく広範にわたる情報に基づき、記すものである。


畜産農家にとって、一定地域内の家畜を全頭殺処分するということは、収入源が無くなるのだから、

大変な事態であることは、想像に難くないが、騒ぎに乗じて、問題の認識があやふやになっていないだろうか。

鳩山内閣の支持率の低さから、何でもかんでも「国の所為」にしてしまいがちであるが、

感情論と法律の規定は峻別しなければならない。

記事2で、畜産農家から「国の対応が遅すぎる」と、「怒りの声」が上がっているという。


しかし、関連する法律等を調べると、口蹄疫の家畜の殺処分を行うのは、各都道府県の家畜保健衛生所の職員、

「家畜防疫員」の仕事である。家畜伝染病予防法という法律で定められている。

家畜伝染病予防法

第十六条 第1項(と殺の義務)

次に掲げる家畜の所有者は、家畜防疫員の指示に従い、直ちに当該家畜を殺さなければならない。ただし、農林水産省令で定める場合には、この限りでない。

一  牛疫、牛肺疫、口蹄疫又はアフリカ豚コレラの患畜

二  牛疫、口蹄疫又はアフリカ豚コレラの疑似患畜

第2項 前項の家畜の所有者は、同項ただし書の場合を除き、同項の指示があるまでは、当該家畜を殺してはならない。

第3項 家畜防疫員は、第一項ただし書の場合を除き、家畜伝染病のまん延を防止するため緊急の必要があるときは、同項の家畜について、同項の指示に代えて、自らこれを殺すことができる。

「家畜防疫員」とは何か。

ウィキペディア・「家畜保健衛生所」によれば、
家畜保健衛生所(かちくほけんえいせいじょ、略称:家保〔かほ〕)とは、

家畜衛生全般の向上を通して食の安全の確保や畜産業の発展を支える公的機関の一つであり、家畜保健衛生所法に基づく都道府県の必置機関である。

主な職員は所長を含めた「家畜防疫員」と呼ばれる職員である。

家畜防疫員は都道府県知事より、その都道府県職員の中で獣医師免許を持つ者から任命される。

つまり、

  1. 口蹄疫と診断された「患畜」及び「疑似患畜」(←「疑似患畜」の定義が不明なのだが、「疑わしい」という意味か。)は、

    家畜防疫員の指示に基づき、直ちに殺さなければならない

  2. 家畜防疫員は、各都道府県が設置する「家畜保健衛生所」の職員であり、都道府県知事により任命される。

のである。

新聞報道などで、今回の口蹄疫の対応の遅れは、「国がモタモタしていたからだ」という論調が目立つが、

法律を読めば分かる通り、これは都道府県知事の管理事項である。

◆4月20日、最初の「口蹄疫疑診」の患畜が確認された際、国が無視していたわけではない。

口蹄疫が疑われる最初の家畜出たと最初に発表があったのは、4月20日である。

その日の毎日新聞(西日本版)夕刊には、かなり詳細な対応が記録されている。
◆記事:口蹄疫:宮崎で疑い、移動制限設定へ 繁殖農家で牛3頭感染か(2010.04.20 西部夕刊 1頁 政治面)

農林水産省と宮崎県は20日、同県都農町の肉用和牛繁殖農家で母牛3頭が家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」に感染した疑いが強いと発表した。

農水省と同県は同日、防疫対策本部を設置。同町と日向市など周辺自治体に牛・豚の移動自粛を依頼した

一両日中にも3週間の移動・搬出制限区域を設定する。

国内の口蹄疫の発生は00年に宮崎市と北海道で確認されて以来、10年ぶり。

農水省などによると、韓国、中国などで今年1月以降、口蹄疫に感染した牛が確認されている。

同省は牛肉の輸出を自主的に一時停止する

宮崎県によると、今月9日、獣医師から宮崎家畜保健衛生所に口の中に軽いかいようがある牛がいるとの連絡があった。

同衛生所の家畜防疫員が立ち入り検査を実施したが症状がある牛が1頭だったため経過観察とした。

しかし、16日夕方になり同じ症状の牛がいるとの連絡があったため17日、再度立ち入り検査を実施。

口の中をぬぐった液を動物衛生研究所(東京)で検査した結果、

20日、遺伝子検査で陽性だったと連絡が入った。現在、ウイルス分離検査による確定診断を進めている

繁殖農家では母牛9頭と子牛を産んだことのない若いメス3頭、子牛4頭の計16頭を飼育している。

既に牛の移動を自粛しており、全頭を殺処分する。近くの農家で今のところ感染の疑いのある牛は確認されていない。

都農町の3頭について感染疑いが強いため農水省と県は一両日中にも、

家畜伝染病予防法に基づき3週間、牛の移動を禁止する移動制限区域を発生地から

原則半径10キロ(5〜30キロで設定可)、搬出制限区域を同20キロ(10〜50キロ)を設定する方針。

範囲内では家畜市場も閉鎖され、牛の取引はできなくなる。

宮崎市で感染が確認された00年には、移動制限区域半径20キロ、搬出制限区域同50キロを設定した。

◇風評被害回避へ、防疫万全にする−−東国原知事

「宮崎牛」のブランドで和牛生産・肥育に力を入れる県や畜産関係者は、防疫の徹底と感染拡大防止でイメージダウン回避を図る。

東国原英夫知事は会見し「風評被害を避けなければならない。防疫を万全にする」と話した。

◇「疑い牛出荷せず」農相が安全性強調

口蹄疫にかかったとみられる牛が確認されたことを受け、赤松広隆農相は

「これ以上広がることのないように万全の措置をとりたい。(感染が疑われる牛は)出荷していない、安全だ」と述べた。

専門家による委員会を20日に開催し、感染源、感染経路の究明を図る。(注:太文字は引用者による)

このように、20日の段階で「疑い例」が出た繁殖農家は既に移動を自粛し、全頭を殺処分すると決めている。

農水相もコメントを発表しており、それなりに「口蹄疫疑診」の牛が出たことの意味を理解していたと

認められる。


ウイルス分離検査により、口蹄疫感染が確定したのは、3日後、4月23日である。

その日の毎日新聞夕刊記事。
◆記事:口蹄疫:感染と確定−−宮崎(2010.04.23 東京夕刊 10頁)

宮崎県の畜産農家で家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」感染の疑いが強い牛が相次いでいる問題で、

1例目の牛から確認されたウイルスが、4月に韓国で発生したものと同じO型と判明したため、

農林水産省は23日、口蹄疫感染と確定した。国内発生は00年以来10年ぶり。


赤松広隆農相は23日の閣議後会見で、牛の移動・搬出制限区域内の農家に対する融資枠の拡大などの支援策を発表した。

当面の資金対策として、家畜疾病経営維持資金の融資枠を現行の20億円から100億円に拡大する。

さらに、出荷時期を超えた家畜の処理や避難用畜舎の費用助成

▽輸出停止に伴い食肉処理場に滞留する原皮の処理に対する助成――

なども支援策に盛り込んだ。

この記事を読む限り、特に農水相が怠慢だった、と評価するのは難しい。

そして、時系列が前後するが、確定診断が出るまでの間にも、周辺農家の感染例がないか

どうか調査することを決めている。
◆記事:口蹄疫:確認1週間前までさかのぼり調査へ 感染疑いで農水省(毎日新聞 2010.04.21 東京朝刊)

宮崎県都農町で家畜伝染病・口蹄疫(こうていえき)感染の疑いが強い牛が確認されたことを受け、

農相の諮問機関、食料・農業・農村政策審議会の小委員会が20日開かれた。

最初に確認された9日から1週間さかのぼり、発生農家に出入りした畜産関係者らの疫学調査をすることなどを決めた。

この後、1ヶ月の記事を全て拾ってここに載せることは出来ないが、殺処分もかなり早くから大量に実行しているのである。


私は、畜産に関しても、動物医学に付いても、疫学・防疫に付いても、

全くのド素人であるから、あくまで「印象」なのだが、

マスコミは、支持率が異常に低い鳩山政権を叩くと、読者が喜ぶことを知っているので、

宮崎の口蹄疫を
やはり、何も決められない無能な政権である

ことを強調するために利用している様に、見受けられる。

私は、鳩山政権が無能であることに異論はなく、赤松広隆農相に対しても何の「思い入れ」もないが、

冷静に記録を読み返すと、初動にミスがあった、と決めつけてよいものか、断定出来ない。

それなりに機敏に動いていたことも明らかである。

宮崎県も早期に患畜の殺処分を行っているし、3月に疑わしい例があったのを見逃した、

という話もあるが、それが、見落としても仕方がない程度のものだったのか、

あるいは、とんでもないドジを踏んだのか、それは畜産や獣医学に関わる人でないと

分からないだろう。分からないことは、分からないと書けば良いのであり、

今回に限ったことではないが、マスコミの報道は、最初に「今回の事件では、

誰それが悪かったということにしよう」という基本スタンスを最初に決め、

それに向けて、(マスコミにとって)都合のよい事実だけを書いているように見える。

今回は、予想以上に感染が速かったというところが見込み違いなのだろうが、

これは、運が悪いというか、「誰それが悪い」という問題では無いのではないか。

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2009年05月19日(火) 5月18日はマーラー(1860-1911)の命日でした。「さすらう若人の歌」、交響曲1番3楽章、5番「第1楽章」「第四楽章アダージェット」
2008年05月19日(月) 「外資規制、明確化を=対日直接投資促進で−有識者会議提言」←外国の投資家が日本企業を買収しやすくする、という意味なのです。
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2003年05月19日(月) 「<新型肺炎>日本への謝罪談話、台湾政局に波紋」 他人の迷惑も考えろ バカ。
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