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JIROの独断的日記
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2005年05月19日(木) 「尼崎脱線事故 速度や時間解析に1カ月以上必要 事故調」←マスコミは技術的なことを全く伝えない。

◆記事:尼崎脱線事故 速度や時間解析に1カ月以上必要 事故調

 

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は17日の記者会見で、事故を起こした快速電車の速度や時間の解析について1カ月以上かかるとの見通しを明らかにした。同電車の運行状況を記録するモニター制御装置やATS(自動列車停止装置)記録装置のデータに誤差やばらつきがあるためで、始発の宝塚駅以降、事故に至るまでの各駅など地上のデータ分析や測量を進め、詳細な時間や距離、速度の推移の確定を急ぐ。

 モニター制御装置は非常ブレーキの前後5秒間の速度や時刻、ドアの開閉時刻などが記録され、5、7両目搭載の2台からデータを回収。ATS記録装置は先頭車両にあり、信号機やATS地上子(ちじょうし)(発信機)、駅などを通過した速度、時刻、位置のデータが一定時間残る。今回は現場手前の塚口、猪名寺、伊丹駅付近まで計256件のデータが残っていたという。

 また、マンションの手前約60メートルで車両が衝突した電柱の脇に落ちていたパンタグラフの左端には、電柱のアース線の被覆材が付着し、電柱の約4メートル手前の補助電柱にも高さ2.5メートル付近に車体上部がこすった跡があることも判明。車体がカーブ外側に大きく傾き、横倒しで脱線したことを改めて裏付けた。

 事故調は先頭車両がマンションに突っ込んだ際、立体駐車場の梁(はり)と見られる金属棒が、運転室を貫いた写真などを公開した。 (毎日新聞) - 5月18日10時33分更新


◆コメント:事故原因が特定されていないのに、責任追及ばかりに熱心なマスコミと大衆。

 

 国交省の事故調査委員会が事故車の速度と時間の解析に、十分な時間をかけるということは、怠慢では無くて、「真理」を明らかにするためには、それだけの責任が必要だからだろう。

 「電車が脱線する」という場合には、それなりの物理的要因と、その物理的要因を生ぜしめた技術的要因のあらゆる可能性を考えなければならない。

 いろいろなブロッグを拝見すると、「運転士のスピードの出し過ぎが原因だと思う」とか「気がする」などという記述をしばしば見かけるが、何の根拠もなく、そのようなことを安易に書くべきではない。

 これには、マスコミにも責任がある。

 彼らは、JR西日本の運行管理体制、教育体制など、二次的なことばかりをあげつらうが、まず、なによりも、「電車は何故脱線したのか」を突き止めなければ、管理体制に問題が合ったのかどうかも論じられないはずである。


◆電車が脱線するときに考えられる要素

 

 一般論として、電車が脱線する場合に考え得る原因には、次の4つがある。


  1. 列車(車両)の構造的欠陥、又は整備不良

  2. レールをはじめとする、軌道側の様々な設備の問題

  3. 運転士の操縦の問題

  4. 1〜3が複合した場合。

 現在までに分かっているのは、福知山線の事故列車は、半径300mのカーブに、制限速度である70Kmで侵入するべきところ、100キロを超えるスピードが出ていたらしいこと。

 その結果、左方向に強い遠心力が車両に加わり、転倒・脱線した、と言うことである。

 5月6日に事故車の車掌がカーブ直前で、列車のスピードが120kmだった、と「証言」しているが、これは、車掌の記憶に基づく話であり、証拠としては不十分である。

 だからこそ、事故調査委員会は、事故を起こした列車の1・4・.5.7両目に設置された「モニター制御装置」を詳しく分析する必要があると考えているのである。


◆車両の技術欠損の「可能性」

 

 事故を起こした列車は、脱線する前に、普通以上に左右に振幅していた、という証言がある。

 電車の車体には揺れを制御するために、下のような「空気バネ」が装着されている。




 これは、格段あたらしい装置ではなく、昭和20年代から存在していたものである。自動車にたとえればサスペンションである。

 長くなるので、引用は省略するが、5月5日の毎日新聞は、この空気バネに言及している。

 それによれば、事故調査委員会の計算によれば、仮に、事故車両が、300R(半径300m)のカーブに、時速107kmで侵入したとした場合、時速70kmのときの2倍から3倍の遠心力がかかるが、それだけでは、脱線に至らない、という。

 しかし、同時に左側の空気バネの気圧が著しく低下していた場合、当然、車体は左側に傾斜するので、空気バネが正常に機能していた場合よりも、転覆・脱線する可能性は高くなる。つまり、進行方向左側の「空気バネ」がパンクしていたのではないか、という「仮説」を展開している。


◆左右の空気バネをつなぐ、「差圧弁」という装置があるのだ。

 

 毎日新聞の5月5日の記事は、他社に比べればかなり勉強していると言っても良いが、中途半端である。

 列車は、安定して走行するためには、左右の車輪にかかる重さ(輪重差)が均等になっていなければならない。

 車両整備の時には、当然、念入りにこれを調整するのである。

 さらに、走行中に空気バネの左右どちらかがパンクした場合、これに対処するための「差圧弁」という装置があるのだ。

 下の写真で分かるとおり、差圧弁は左右の空気バネをつないでいる。




 差圧弁は左右の空気バネにかかる圧力の差が大して大きくないときは、作動しないが、片方がパンクして、著しく左右の輪重差が大きくなりそうなときには、差圧弁が開いて、空気バネの気圧を均等に保つようにする仕組みになっている。

 これらが、全くの受け売りであるが、私が仕入れた「客観的」情報である。


◆速度超過だけではない可能性がある。

 

 専門家の意見を色々読ませていただいて、理科系に弱い私の頭脳で理解出来たのは次の通りである。


  1. 車両の状態が普通ならば、本来時速70kmが制限速度の300Rのカーブではあるが、ここに時速100kmちょっとで侵入したぐらいでは、速度そのものによって転倒・脱線するとは考えにくい。

  2. 左側の空気バネが、カーブの手前で何らかの原因によりパンクしていたとしても、差圧弁が正常に作動していれば、輪重差は最小限に抑えられ、車体が大きく左側に、傾いていたとは考えにくい。

  3. ただし、差圧弁に技術的欠損が存在し、空気バネがパンクする、という悪条件が重なっていた、と「仮定」すれば、事故車両は当然、右300Rのカーブで大きく左側に傾斜し、容易に脱線する状態になっていたであろう。


◆以上は、「理論的推論」であり、「証明」されたわけではないことを、理解しなければならない。

 

 このようにして、理論上、いくつかの「仮定」を重ねれば、事故発生のメカニズムを「想像」することが可能である。

 しかしながら、私は幾度となく繰り返してきたが、真理は解明されていない。

 従って、推測、しかも、何の理論的裏付けもなく、運転士をはじめとする、特定の責任が明らかになったような誤解を与える報道をするべきではない。

 一般人も、事故原因が解明されたかの如き「錯覚」に陥っては、いけない。


2004年05月19日(水) 「拉致被害者家族会 全面解決につなげてと要望」その通りなのだが、こちらから、言い出さないほうがいい。
2003年05月19日(月) 「<新型肺炎>日本への謝罪談話、台湾政局に波紋」 他人の迷惑も考えろ バカ。
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