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2010年05月10日(月) |
「欧州株、大幅上昇=信用不安後退で」←応急処置ですから、これで「一件落着」ではありません。 |
◆記事1:欧州株、大幅上昇=信用不安後退で(5月10日21時0分配信 時事通信)
週明け10日午前の欧州株式市場の株価は、軒並み大幅上昇している。
資金難に陥ったユーロ圏諸国に対する欧州連合(EU)などの支援策のほか、
日米欧の中銀がドル資金のスワップ協定を再締結したのを受けて、欧州の信用不安が後退していることが好感された。
ロンドン時間午前10時半現在、信用不安の発端となったギリシャ市場のアテネ総合指数は前週末終値比9.75%高。
欧州主要市場では、英FT100種平均株価指数が4.37%、仏CAC40種指数は8.53%それぞれ上昇している。
◆記事2:最大7500億ユーロ EUが緊急融資枠決定(日経 2010/5/10 11:44)
EU加盟27カ国は緊急の財務相理事会を開き、10日未明(日本時間同日朝)、ユーロ導入国が財政危機に陥った場合に
総額で最大7500億ユーロを緊急融資する制度の創設で合意した。EUで5000億ユーロの基金を創設するほか、
IMFが最大2500億ユーロを融資する。ギリシャ向け支援策の6〜7倍となる巨額の融資財源を確保し、
ユーロ導入各国の資金繰りに万全を期すセーフティーネット(安全網)を整える。
◆コメント:今日、EUやIMFなどが発表した救済策とか中銀のスワップ協定は「応急処置」です。
今日、日本時間の正午すこし前にEUが記事1と記事2に書いてあるとおりの、
緊急融資枠を設定した、というニュースが流れ、東京、ロンドン、ニューヨークいずれの株式市場でも、
急激に株価が反騰しています。
しかし、これで一件落着ではない。人間に例えるならば、一命は取り留めたけれども、
まだ、ユーロ経済圏はICU(集中治療室)から当分一般病棟に移れません。
24時間、全ての国が資金難に陥らないか、監視する必要があります。
今日の措置は、以前からくすぶっていたギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念、
つまり、国債償還日(19日)に払うカネを調達できないのではないか、という心配がとりあえず、
ほぼ無くなったと見て良い。それだけです。
そもそもヨーロッパの信用不安をもたらしたのは、ギリシャの財政赤字です。
それに対して、ギリシャが実現可能な対策を策定できるか。そして本当に実行されるか分かりません。
今日発表されたEUの緊急融資枠を市場が好感しているのは、資金量としては十分だからです。
EU(欧州連合)加盟各国が資金を拠出して、5,000億ユーロ。
それに加えて国際通貨基金=IMFが2,500億ユーロ。
記事2の「最大7,500億ユーロ」とはそのことです。
5,000億ユーロは、EU域内総生産の6パーセントに過ぎない。
そして、これだけあれば、ギリシャの次に危ないと言われている
スペイン、ポルトガル、アイルランドが全て、自力で資金を調達できなくなったとしても、
これらの国の全ての国債の償還が一度に到来するわけではない。
最悪でも2012年までに4,400億ユーロが用意出来れば、救済できます。
しかし、EUの5,000億ユーロは誰が出すのかというと、EUの他の加盟国が拠出するわけです。
特にドイツや英国などは大規模な拠出を要求されることが分かっていたから、特にドイツは
最初からギリシャの救済にあまり乗り気ではなかったのです。
5,000億ユーロの緊急融資枠は、先週の欧州への信用があまりにも急激に低下して、
世界中の株が売られ、このままだと本当に資金繰りがつかなくなりギリシャがデフォルト
(債務不履行)、謂わば「心肺停止」に陥る可能性が高かったからです。
だから、最初は渋っていたドイツすら、今日は兎に角世界の投資家の動揺を鎮める必要が
ある、と即決したわけですね。下手をすれば世界金融恐慌です。
その迅速な行動を評価して、東京、欧州、アメリカ全ての市場で株価が戻りました。
しかし、緊急融資枠はあくまで、「緊急融資枠」であり、ギリシャがいつまでも
財政赤字を抱えたままなら、EU緊急融資の資金源である各国政府が、
「もう、出さない」と言い出す可能性は十分にある。
とりあえず、資金繰りが滞ったら、すぐに救済することは出来ますが、
EUは5,000億ユーロを、ギリシャの財政赤字をなくす為に使うつもりはない。
それはギリシャが財政改革をして何とか自力で資金を調達出来るようになるだろう、
いや、そうするのが当然だ、と考えています。資金を拠出している他の国だって、
財政は苦しいのです。財政黒字で余裕綽々(しゃくしゃく)ということはありません。
ギリシャだけ、長期間に亘って特別扱いするわけにはいかない。
結論的に繰り返します。
日本時間5月10日(月)午前、EUが発表した緊急融資枠は、あくまで、
欧州経済圏の信用を維持し、システミック・リスク、金融危機が起きるのを防ぐためです。
今日の決定で、問題の根本的な原因である、EU各国の財政悪化が無くなる訳ではない。
一瞬、心配停止しそうになったのを蘇生しただけです。
健康体に戻れるかどうかは、各国の財政政策の運営次第なのです。
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