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2008年05月10日(土) |
ヴィオラによる音楽特集 |
◆これは、なかなかやる人いないですよ。自分で云うのもなんですが。
ヴィオラとは何か、という説明は、例によって、ウィキペディアの説明をお読み下さい。
最も基本的なことは分かります。調弦は、ヴァイオリンより完全五度低く、チェロよりも1オクターブ高い。正に中音域。
オーケストラでは、ヴァイオリン(特に第一ヴァイオリン)が旋律を弾いていつも目立って、花形です。
チェロとコントラバスに旋律が来ることはヴァイオリンよりずっと少ないけれど、ズシンと迫力のある低音は聴衆の耳に届きます。
ヴィオラはその中間、内声部(とは何か説明すると長くなるから調べて下さい)を担当するから、普段目立ちません。
しかし、内声部が充実していないと弦楽器群の響き、即ちオーケストラ全体の響きに厚みが出ません。大切なパートです。
◆今日は、普段、あまり目立たないヴィオラを主役にしました。
ヴァイオリンの協奏曲は数え切れないほどありますが、ヴィオラ協奏曲は殆どありません。
20世紀になってから、急に注目を浴びて、ヒンデミット、バルトークが協奏曲を書いていますが、
これをいきなりお聴かせしても、つまんないと思います。
今日はバロックから現代までカバーしようと思ったのですが、どうしても現代曲は私が聴いてつまらないので、
お薦めいたしかねる。バロックから古典に集中してしまいましたが、悪しからず。
ゴタクを並べるのは終わりにして、音楽へいきましょう。
ところで、今日はちょっと緊張しています。
何故ならJIROの独断的日記ココログ版でリンクを貼らせて頂いている
ふっこ様は、プロのバリバリの現役ヴィオラ奏者でいらっしゃるのです。
いつも、プロのオーケストラ・プレイヤーで無ければ、決して分からない話をさりげなく日記でお書きになったり、
私のごとき、ズブの素人の愚問に、丁寧にお返事を下さる方なのです。
ヴィオラ特集を組むなんて、きんちょーするなと言われても無理よ。
◆音楽です。テレマンのソロ、ドッペル(二重)ヴィオラコンチェルト。
まず、数ヶ月前に一度載せましたが、もう一回。
バッハと同時代の作曲家、テレマンのヴィオラ協奏曲から第四楽章です。
ダウンロード ViolaConcertoPresto.mp3 (2638.8K)
音域が高すぎず低すぎず、とても耳に優しい音がしますね。
次は、同じテレマンなんですが、ヴィオラのドッペル・コンチェルト(2つのヴィオラの為の協奏曲)があることを
知りました。普通、クラシックで「ドッペル」というと、バッハの「2つのヴァイオリンの為の協奏曲」のことなんですが、
ヴィオラのドッペルは知りませんでした。第四楽章です。
ダウンロード TelemanFor2ViolasForth.mp3 (1508.8K)
ヴィオラ・コンチェルトを書きにくい理由を素人なりに想像しますと、ちょうど、音域的に目立たせ難い。
オーケストラの音に埋もれてしまいかねない。ヴァイオリンなら、全然時代が違うけど、例えばメンデルスゾーンの最初のところだけ、
ダウンロード Mendelssohn.mp3 (416.2K)
音が高いと目立ちやすいでしょ?オーケストラもソロを消さないように弾いているわけですけど。
このあたりが、ヴィオラ協奏曲を書くのが難しい一つの理由なのではないか、と思いました。素人の思いつきですが。
◆バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバソナタを編曲したもの。なんとヴィオラとアコーディオンで。
ヴィオラ・ダ・ガンバってのは、今のヴィオラとは全然違うんです。今はもうオーケストラなどでは使われません。
これが、ヴィオラ・ダ・ガンバです→ダウンロード Gamba.jpg (35.4K)
古楽器といいますね。こういうの。バッハの頃はまだ現役で活躍していた楽器で、バッハもヴィオラ・ダ・ガンバソナタを3曲書いています。
その中の第一番。BWV1027の第四楽章。まず、オリジナルのヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロでお聴き下さい。
ダウンロード GambaSonataBWV1027Original.mp3 (2845.7K)
チェロに似ていると云えば似てますが、弾き方が全然違いますね。ビブラートをかけないし、音の真ん中がファーと膨らむような弾き方。
これはこれで、のどかで好きですが、これを現代のヴィオラ(今井信子さん)と、クラシック・アコーディオンの名手、御喜美江さんが演奏しています。
ダウンロード GambaSonataBWV1027Allegro.mp3 (2519.9K)
見事に合ってますね。音が。とても意外な組み合わせです。
ちょっと休憩。
このアコーディオンの御喜美江さんはやたら上手いんです。
今年サントリーホールが出来て20年だそうですが、出来たとき、こけら落としに呼ばれたほどの人ですね。
今日の本題から逸れますが、御喜美江さんのアコーディオンで、バッハのチェンバロ曲、フランス組曲第6番から、クーラントをどうぞ。
ダウンロード FrenchSuiteEmollBWV817Courante.mp3 (1761.1K)
唖然とするほど上手いですね。
◆ベートーヴェンが「ヴィオラとチェロの為のソナタ」という曲を書いています。
色々なソナタがあるものです。例えば、ロッシーニは、チェロとコントラバスの為の曲を書いたりしていますが、それは余談。
ここでは、唯一、バロックから古典に参ります。
ベートーヴェン作曲、ヴィオラとチェロの為のソナタから第二楽章メヌエット。
ダウンロード DuetForViolaAndCelloBeethoven.mp3 (4127.6K)
二本の弦楽器だけが音を出しているのに、深い響きです。如何にもベートーヴェンって音がします。
◆最後はやはり、これ。ブランデンブルク協奏曲第6番。ヴァイオリンが使われていない。ヴィオラだけです。
正確に書くと、ヴィオラとチェロと通奏低音だけ、ということですが、ヴァイオリンが全然使われていない曲というのは、
バロックから古典、ロマン派通じて、ヒジョーに珍しい。バッハは何を考えてこうしたのでしょう。
とにかく聴いて下さい。6番の第3楽章。明るい音楽です。
ダウンロード BrandenburgConcertoNo6Third.mp3 (5239.5K)
いいでしょ?ヴィオラの音域というのは、本当に耳に心地よいですね。実に良い音だと思います。
あまり色々書くとボロが出るのでこの辺にしておきます。
お楽しみ頂けたでしょうか?それでは、失礼を致します。
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