外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
DiaryINDEXpastwill


2010年03月23日(火) 鳩山首相、敵地攻撃「違憲でない」=参院予算委で集中審議←こういう中途半端な発言はいけない。説明します。

◆記事:鳩山首相、敵地攻撃「違憲でない」=参院予算委で集中審議(3月23日18時4分配信 時事通信)

参院予算委員会は23日午後、鳩山由紀夫首相と関係閣僚が出席して外交と安全保障をテーマに集中審議を行った。

首相は、敵基地攻撃能力に関し「能力を持つことすべてが憲法違反ではない。1956年の鳩山(一郎)内閣の見解が今日まで生きている」

と述べ、敵地攻撃を条件付きで憲法上可能としたこれまでの政府統一見解を踏襲する考えを示した。自民党の川口順子元外相への答弁。

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関し、自民党の山本一太氏は「県外になる可能性はあるか」とただした。

これに対し、首相は「すべてをゼロベースで検討している最中だから、イエスと申し上げる」と語った。

同党の佐藤正久氏は「普天間が残ることはないと約束してほしい」と求めたが、首相は「一朝有事が起きたときに、

普天間がなくても事が済むのかといった議論も含めてゼロベースで議論をしている」と述べるにとどめた。


◆コメント:日本から他国を侵略して良いのではありません。厳密な条件があります。

鳩山首相もその発言を伝えるマスコミも憲法9条に関わるセンシティブな問題はもっときちんと解説するべきです。

時事通信に解説が無いから、私が解説します。

まず、はじめに書いておきますが、私の基本的な姿勢は、

憲法9条改正、絶対反対。

日本の交戦権を認めるなど、以ての外。

日本の集団的自衛権(分からなかったら、エンピツの目次ページから、「集団的自衛権」で検索した結果を読んで下さい。

今までに何度説明したことか・・・)の行使を認めることには絶対反対

です。それを覚えておいて下さい。


◆「予防攻撃」、「先制的自衛」、「反撃」を区別し、言葉の定義を明確にするべきです。

2009年、当時の麻生首相が、

麻生太郎首相は26日夕、北朝鮮のミサイル発射基地への先制攻撃を想定した敵基地攻撃能力について「一定の枠組みを決めた上で、法理上は攻撃できるということは昭和30年代からの話だ」と述べ、法的には可能との認識を示した。

と発言して物議を醸しましたが、鳩山首相はそんなこと覚えていないのでしょう。

また、麻生前首相がいうところの「昭和30年代からの話」と、今日の鳩山首相が言うところの、「1956年の鳩山値慰労内閣の見解」

は、同一の内閣見解をさしているのです。1956(昭和31)年、鳩山一郎内閣の見解とは、次の通りです。
「わが国に対し急迫不正の侵害が行われ、侵害の手段として誘導弾等による攻撃が行われた場合、

座して自滅を待つべしというのが、憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられない。

攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、

誘導弾等の基地をたたくことは自衛の範囲内に含まれ、可能であるというべき
」(注:色太文字は引用者による)

私は集団的自衛権は認めませんが、個別的自衛権まで放棄するべきだ、と書いたことはありません。

当たり前の話で、憲法はその前文において、
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

と述べています。全世界の国民には、基本的人権の中でも最も基本的な「平和的生存権」がある、と言っているのです。

「全世界の国民」ですから当然、日本国民が含まれる。当たり前です。他国に侵略されて国民が殺されても黙って見ていろというほど、

日本国憲法は寛容でも怯懦でもない。国民の生命・財産を守るのは、国家の当然の使命なのですから。


日本国憲法は、鳩山一郎内閣の公式見解によるならば、
攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは自衛の範囲内に含まれ、可能であるというべき

と言っています。敵地攻撃といっても大きく分けて3つがあります。

具体的に問題になるのは北朝鮮でしょうから、北朝鮮を例にとります。
予防攻撃・・・敵(北朝鮮)が敵がミサイル発射に着手する前に攻撃すること。これは自衛に当たらないので、政府見解では違憲と見なされます。

先制的自衛・・・敵がミサイル発射に着手した段階でこれを攻撃しないと、日本国民が殺される可能性が極めて高いという場合、政府見解では合憲と見なされます。

反撃・・・日本が攻撃を受けた後で、防御の為に武力を行使すること。政府見解では合憲と見なされます。

「合憲である」「違憲である」と書かずに「政府見解では合憲(違憲)と見なされる」と書いたのは、

合憲性(違憲性)の最終判断は司法がすることで、行政府が勝手に断定してはいけないからです。


話が少し逸れましたが、これらの概念を区別しないから、問題になるのです。

1956年鳩山内閣の見解をよく読めば明らかなとおり、日本が言いがかりを付けて、あの国が攻撃を仕掛けてきそうだから、先に叩く。

麻生前首相のいう「先制攻撃」はこれに一番近いと思いますが、これは、能動的な武力の発動ですので、

政府見解では合憲とは見なされていません。

あくまでも、
敵がミサイル発射に着手したことが確認され、発射される前に叩かないと、日本国民が殺される、と判断される場合

のみ、先制的自衛としての敵地攻撃が認められる、と解釈されるべきなのです。

難しいのは、先制的自衛で「敵がミサイル発射に着手した段階」をどのように判定するかです。

これに関しては、諸説あります。

全てを読破していないので、今日の私にはここまでしか書けません。

そして、先制的自衛としての敵地攻撃が認められると言っても、いったい何処まで攻撃してよいのか、

公式見解ではわかりません。理想的なのは、日本を攻撃しようとしている敵国のミサイル「だけ」を破壊し、

人は殺傷しない、ということですが、この辺は軍事専門家ではないので、何とも分かりません。


全部分からないウチに書くのは無責任かもしれませんが、こういう発言があったときにはまず、

最低限であっても、「正しい」情報を提供し、誤解されないようにすることが大切だと考えて、書きました。


昨年の麻生発言にしろ、今日の鳩山発言にしろ、ミス・リーディング(誤解を招きやすい)です。


◆結論。

繰り返します。

敵地攻撃は「先制的自衛として」行う場合のみが合憲、と政府見解ではみなしています。

「予防攻撃」、即ち、まだ、日本を攻撃する具体的な動きを見せていない他国を、「危なそうだから予め潰しておこう」という目的で

攻撃することは違憲であり、認められないというのが政府見解です。

先制的自衛に関しても不明瞭な点は残っていますが、それは議論するべきであります。

私は、日本の個別的自衛権は、国民の平和的生存権を考えるならば、当然認められるべきである、

と考えますが、何を以て「敵がミサイル発射に着手した」と見なすのか、などに関しては、

はっきり言って分からないので、これから勉強します。

以上です。

【読者の皆様にお願い】

是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。


2009年03月23日(月) 「文章力を上げる“写経”訓練法の3つのポイント」←要するに「全文写し」ですが、これ確かに効果ありますよ。
2008年03月23日(日) 「日銀松江支店 内部資料が流出」←役所の情報管理
2007年03月23日(金) 「<薬害肝炎訴訟>国と企業に2億6千万円賠償命令 東京地裁」←刑事責任を問わないのか。
2006年03月23日(木) 「<日テレ>ニュース番組のやらせで厳重注意 総務省」 厳重注意で済ませていいのか。
2005年03月23日(水) フジテレビvsライブドアに関する東京高裁の決定は、やんわりとライブドアにも警鐘を鳴らしています。
2004年03月23日(火) 「小惑星が地球にニアミス」かなり、危なかったですよ。
2003年03月23日(日) 戦争は、アメリカ兵の心身をも蝕んでいる。PTSD(心的外傷後ストレス障害)はベトナム戦争後に作られた病名である。

JIRO |HomePage

My追加