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JIROの独断的日記
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2010年03月09日(火) 【音楽】ジャーマン・ブラスの比較的新しいアルバム Fascination Bach

◆再び、ジャーマン・ブラスによるバッハです。

今回ご紹介するのは、ドイツの金管アンサンブル、"German Brass"が昨年出した、

"Fascination Bach "という、バッハ作品の編曲集です。

私は2007年に初めて、この団体を知りました。

DVD、Bach for Brassの前身、今は絶盤ですが同内容の

ジャーマン・ブラス・ゴーズ・バッハを偶然見つけたのでした。

余りの上手さに驚嘆し、この年(2007年)は随分何度もジャーマン・ブラスを取りあげ、

その後も何度も同じ演奏を載せています。自分のウェブ日記エンピツ(こちらの方が検索しやすいのです)を

"ジャーマン・ブラス"で検索した結果がこれです。


◆一度に紹介し過ぎて「ネタ切れ」になっていたのですが、新しいCDが出ていました。

私はこの日記やブログで随分何度も紹介しましたけれど、大手メディアでは有りません。

はっきり言って「金管アンサンブル」は、世間ではまだ余り知られていない。

クラシック音楽の世界全体からみたら(つまり、ピアノ、ヴァイオリン、オーケストラの音楽や

オペラなどに比べて、ということです)かなりマニアックな世界ですから、

Amazonなど、ボヤッと見ていても気が付かないのです。

吹奏楽をやっている人や、管楽器を吹いている人が好んで読むPIPERSという雑誌を読んでいたら

多分もっと早く知ったでしょうが、吹きたくても最早吹けない私には、PIPERSは興味深いけど、読むのがちょっと辛いんです。


前置きが長くなりました。

要するに昨年、ジャーマン・ブラスが再び、J.S.Bachの作品をアレンジしたアルバムを出していたことを

最近知りました。"Fascination Bach" です。昨日注文して今日(3月9日)、届きました。

今日は早速、一部をご紹介します。


◆"Fascination Bach "より。

早速、いきます。

カンタータでBWV 29「神よ、われら汝に感謝す」の第一曲です。

カンタータは教会の礼拝で演奏されるオーケストラと合唱(とオルガン)の曲ですが、

この第1曲、シンフォニア(Sinfonia)のようにオーケストラだけで演奏される曲が入ることがあります。


まず原曲を。CDは、Bach: Cantatas, BWV 29 & 119です。



バッハ:カンタータでBWV 29「神よ、われら汝に感謝す」(原曲)


Wir danken dir, Gott, wir danken dir, BWV 29 Sinfonia



これをジャーマン・ブラスがアレンジ、演奏したもの。


Wir danken dir, Gott, wir danken dir, BWV 29 Sinfonia by German Brass



同一の曲と思えないほど、曲の印象が変わります(どちらが良い、ということではありません。「違う」と言いたいのです)。


次は、ヴィヴァルディの「2つのヴァイオリンのための協奏曲 RV 522」(RVはがヴィヴァルディの作品の整理番号)をバッハがオルガン曲に

編曲した「オルガン協奏曲 イ短調 BWV 593」(協奏曲とは言っても、実際は独奏曲なのですが)を、

さらにジャーマン・ブラスが編曲し、演奏したものです。



原曲から載せていきます。まず、「ヴィヴァルディの2つのヴァイオリンのための協奏曲 イ短調」ですが、これは、

つい先日、3月4日は、ヴィヴァルディ(1678-1741)の誕生日です。で、紹介した、

合奏協奏曲集から「4つのヴァイオリンのための協奏曲 ロ短調 Op. 3 No. 10 RV 580」と同じCD、協奏曲集Op.3調和の霊感第1, 2, 4, 7, 8, 10, 11番

収録されています。それでは、ヴィヴァルディの原曲です。


ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリンのための協奏曲 イ短調 Op. 3 No. 8 RV 522 より 第一楽章



Concerto for 2 Violins in A minor, Op. 3, No. 8, RV 522 1st Movement



次にバッハがそれをオルガン曲に編曲したもの。

このCDは、Organ Worksです。トン・コープマンというオルガン、チェンバロ奏者でもあり、指揮もする人です。


オルガン協奏曲 イ短調 BWV 593 (原曲:ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 イ短調 RV 522)より第一楽章



Organ Concerto in A minor, BWV 593 (arr. of Vivaldi's Violin Concerto in A minor, RV 522)1st Movement



オルガンならではの壮大で敬虔な響きになりますね。


そして、それを更にジャーマン・ブラスのエンリケ・クレスポというトロンボーン奏者(ジャーマン・ブラスの編曲は、

トランペット奏者のマティアス・ヘフス氏か、トロンボーン奏者のクレスポ氏が殆どを手がけています)が金管合奏用に

編曲し、ジャーマン・ブラスが演奏したものです。



ジャーマン・ブラスによるBWV 593 第一楽章



Allegro BWV 593 Aus Dem Concerto A-Moll Nach Vivaldi



当然ながら、金管楽器ですから音色は輝かしくなりますが、ヴィヴァルディの原曲が持つ、

一種の「はかなさ」「切なさ」を表現出来ている、いい演奏だと思います。


次は、バッハのオーボエ協奏曲でBWV 1059というのがあります。

CDは【音楽】J.S.バッハのオーボエ協奏曲はどれも大変美しいと思います。ココログ)でお薦めした、

J.S. バッハ:管弦楽曲・協奏曲全集 1 (オーボエ協奏曲集) です。

BWV 1059は、私はびっくりしたのですが、第二楽章に、映画「ベニスの愛」で使われて有名になった、

マルチェルロのオーボエ協奏曲、第二楽章が、なんとそっくりそのまま、全く手を加えずに使われていることです。

それでも、他の楽章はバッハのオリジナルですので、バッハの作品番号、BWVが付いているのですけど。


原曲はマルチェルロを同じなのですから、これを聴いて頂きましょう。

このCDのお薦めは、やはりハインツ・ホリガーかな・・・。

ベニスの愛~オーボエ協奏曲集です。

それでは、原曲です。ご紹介したCD、ハインツ・ホリガー(オーボエ)、イ・ムジチ室内合奏団です。


マルチェルロ:オーボエ協奏曲 ニ短調 第二楽章。



Marcello Oboe Concerto in D minor Adagio



いいですねー。悲しく、はかなく、ロマンティックで、実に美しい。

これをバッハがオーボエ協奏曲BWV 1059で使っていますが、要するに同じですから、

省略して、ジャーマンブラス版をお聴き頂きます。


バッハ:オーボエ協奏曲 BWV 1059 第二楽章 (ジャーマン・ブラス編曲)



Adagio BWV 1059 Aus Dem Concerto D-Moll Nach Alessandro Marcello



こういう曲(楽章)は、編曲者と演奏者の音楽性がモロに出ます。

速い曲をパラパラ吹いて感心させるのは、それはそれで難しいけれども、

このマルチェルロなどは、そういうことではなく、音の美しさと、旋律を美しく演奏する「歌心」が

必要です。伴奏の低音や内声部も、弱すぎてもいけないし、ソロの邪魔をしてはいけない。

四分音符を繰り返しているだけですが、ソロに合わせ、微妙に音量やバランスをコントロールしています。

オーボエが何と言っても一番美しいかも知れませんが、これはこれで名演だと思います。

「ラッパは、ただバカみたいにブカブカ大きな音で吹く楽器ではない。」ということです。


最後です。

これも同じように静かな音楽です。

バッハの伴奏つき(無伴奏もあるのです)フルート・ソナタ、BWV 1031の第二楽章のシチリアーノは、

あまりにも美しいので、俗に「バッハのシチリアーノ」といえば、これを指すぐらいです。

美しさのあまり、色々な楽器で演奏されています。それはかつて、記事にしました。

2007年07月13日(金) 「同一楽曲を色々な楽器で」シリーズ。バッハ「シチリアーノ」 ココログ

まず、原曲をどうぞ。この曲を現代のフルートで演奏する場合でも、伴奏はチェンバロが多いですが、

フルート・ソロがなかなか、私の気に入るのがなくて、見つけたらピアノ伴奏でしたが、これは、

大したことではない、と思います。二枚組で高いですが、J.S. バッハ:フルートのための室内楽曲(ジェラール)です。


バッハ:フルート・ソナタ 変ホ長調 BWV 1031 第二楽章 シチリアーノ



Flute Sonata in E flat major, BWV 1031 II. Siciliano



これを、ブラス・アンサンブルで演奏すると、どうなるでしょうか。


バッハ:フルート・ソナタ 変ホ長調 BWV 1031 第二楽章 シチリアーノ(ジャーマン・ブラス編曲)



Siciliano BWV 1031 Aus Der Sonate Es-Dur



如何でしたでしょうか。

勿論好き好きですから、「あまり感心しない」でも構わないのですが、私は、金管楽器の表現力の多様性をご紹介したいのです。



私は高校野球が嫌いですが、その一つの理由は、あのどの学校も応援にブラスバンドが来て、

何十年も前からバカの一つ覚えのように「コンバット・マーチ」を吹く。

あれを聴くと腹が立つのです。

ただ、ひたすら、汚い音でもよいから大きな音でブカブカ吹き鳴らす。

あれでどれほど、金管楽器が誤解されているかと思うと、無念でなりません。


"Fascination Bach"、お薦めします。

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