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2010年03月03日(水) |
【音楽】カツァリスによる「子犬のワルツ」のレッスン。/リスト編曲:ベートーヴェン交響曲第3番 第4楽章演奏。 お薦めCD。 |
◆YouTube:1993年「趣味百科」カツァリスのレッスン。「子犬のワルツ」
シプリアン・カツァリスというピアニストがいます。
リンクを貼ったのはウィキペディアですが、多少補足したい。
要するに、ものすごいテクニックを持っているのですが、同時に極めて音楽的なんです。
プロなんだから当たり前、と言ってしまっては実も蓋も無くて、なかなか、超絶技巧を持ちながら、テクニック誇示に走らず
音楽性を垣間見せるというピアニストは、いそうでいないものです。
この人はパリ音楽院を卒業してます。今はどうなっているか知りませんが、パリ音楽院ピアノ科ってのは
無茶苦茶厳しいところでして、年に何度とある試験で今回80点だったとしましょう。三ヶ月後の試験で81点以上を取らないと
どうなると思いますか。「退学」です。
理由?「向上していないから」(この情報ソースは岩城宏之さんのハニホヘト音楽説法です)。
繰り返しますが、かなり昔に書かれた本なので、いまも同じかどうか分かりませんが、カツァリスの在学当時は、
このルールだったはずです。だから、ピアニストのプロフィールで、「パリ音楽院で学ぶ」と言う人は多いけど、
「パリ音楽院卒」となっていたら、非常に優秀だということです。カツァリスもその一人です。
そのカツァリスが、今から17年前、NHK教育テレビの「趣味百科」という番組で、もっぱらショパンの曲を色々な生徒に教えている
レッスン番組がありました。残念ながらDVD化されていないのですが、幸い、その中の「子犬のワルツ」をアップして下さった方が
いらっしゃいます。これは、ショパンのワルツでも最も短い曲ですが、かなり「遊び心」が必要で、その辺のセンスは人それぞれなのですが、
カツァリスは、自分の解釈で生徒の小林沙智さんに教えています。
既にかなり上手いですね。それでもこれだけ指摘されるんです。並大抵の覚悟ではプロの音楽家にはなれません。
そのレッスン風景をご覧頂きましょう。2つのファイルに分かれています。
これ、削除されてしまう可能性が高いので、Craving Explorerというソフト(使い方は簡単です)
などを用いて保存なさるといいですね。
Katsaris Chopin Master Class Vol.2 Valse Op.64-1 1 of 2
Katsaris Chopin Master Class Vol.2 Valse Op.64-1 2 of 2
人前で、プロとして演奏するには、これほどまで細部に気を配らなくてはならないのですね。
ただ弾いたのでは「棒読み」になってしまいます。以前書きましたが、ショパンを弾くときには、
テンポを変化させる、テンポ・ルバートということをしなければなりませんが、それもデタラメにやってはいけない。
しかし、型にはまったら、個性が無くなる。難しいものです。
◆カツァリスが日本で有名になったのは、リスト編曲によるベートーヴェンの交響曲をピアノで演奏したときからです。
さて、次は、すさまじいテクニックの持ち主としてのカツァリスです。
リストは色々な作曲家のオーケストラ用の曲をピアノのために編曲していますが、
中でもベートーヴェンの全交響曲をピアノ版にしたのは有名です。カツァリスはさらに手を加えて、
「もっと難しく」して弾いています。
日本でも、リサイタルで随分弾きました。全曲CD化されていたのですが、バラ売りは長い間絶盤になっていました。
ところが最近、またバラ売りを始めたようです。
これは交響曲第3番「英雄」のページですが、関連CDをご覧になれば分かるように、バラ売りが復刻しています。
これなら、1,000円ちょっとですから、買いやすいですね。
今日は私が持っている中から、交響曲第3番「英雄」の第4楽章をお聴き頂きます。
この編曲版の楽譜(カツァリスが加筆する前、リスト編曲)をちょっと見ましたけど、
私、ピアノ弾けませんから良いですけど、殆ど発狂しそうな難しさです。
カツァリスがすごいのは、始めの方で書いたように、超絶技巧を用いながら、あくまでも音楽的である、
ということですね。よく聴いて頂くとわかりますが、弱音で細かい音の動きがある部分でも、全ての音が極めて明瞭に鳴っている。
また、複雑に色々な声部(パート、ですね)が入り組んでいるところでも、旋律と低音だけではなく、その間に挟まれた内声部、
と呼ばれる部分まではっきり聞こえる。最後のコーダ。怒濤のようなフォルティッシモでも決して、響きが濁らない、という辺り。
この人の上手さは半端じゃないですね。それでは、どうぞ。
ベートーヴェン作曲(リスト編曲):交響曲第3番「英雄」第四楽章
Beethoven(Liszt) Symphony NO.3 Finale
これは、録音ですから、勿論失敗したら、取り直しが出来ますが、カツァリスは日本でのリサイタルで、
大勢の聴衆の前でこの通り弾いちゃったのですから、やはりただ者ではありません。
お薦めCDのご紹介です。
このCDは、ベートーヴェン (リスト編曲) : 交響曲第3番 「英雄」 です。
Amazonのページの関連商品見ると、交響曲1,2,5,6,7,9番は今、バラで買えます。
尤も、更に調べたら、HMVでは、全曲セットで2,500円ですから、
こちらの方が(興味をお持ち頂いた方には)お得です。
ただ、カツァリスは、こういう特殊な演奏が本業な訳ではなくて、純粋なピアノ曲、例えばショパンを弾かせても
大変美しいので、ワルツ集 カツァリス などお薦めですねー。
試聴できますから、6番の「子犬のワルツ」(上でレッスンしている曲)や、7番(作品64-2)を、お聴きになって下さい。
ひじょーに美しい。「子犬」なんて、一番短いワルツですけれども、絶妙の「遊び心」とそれを支えるテクニック。
素晴らしい演奏だと思います。
というわけで、少し早いですが、週末に向けてお薦めでした。
それでは。
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