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JIROの独断的日記
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2009年03月03日(火) 「免疫抑えるがん細胞遺伝子=阻害薬で転移防止期待−慶大」←何だか小さい扱いだけど、すごい発見じゃないの?

記事:免疫抑えるがん細胞遺伝子=阻害薬で転移防止期待−慶大(3月3日2時14分配信 時事通信)

がん細胞が周囲の組織に広がったり、転移したりする際、免疫反応を抑えていることを

慶応大医学部先端医科学研究所の河上裕教授らが遺伝子レベルで解明し、

米医学誌キャンサー・セル電子版に3日発表した。がん細胞で働く遺伝子「Snail」を妨げる物質を見つければ、

浸潤や転移を防げる可能性があり、河上教授らは新薬開発を目指す。

がん細胞が浸潤、転移する際には、受精卵(胚=はい)が成長する過程で生じる「上皮(じょうひ)間葉(かんよう)転換」

と呼ばれる現象が起きることが、近年判明。河上教授らは、この現象で重要な役割を果たすSnail遺伝子をヒトやマウスのがん細胞株に導入し、

さまざまな免疫細胞と一緒に培養したり、マウスへ移植したりした。

その結果、同遺伝子の働き具合に応じて、周囲の免疫細胞の働きが抑えられることが分かった。


◆【為参考】Cancer Cell(電子版)に発表された論文の要旨(英文)

Cancer Cell電子版

http://www.cell.com/cancer-cell/

Volume 15 Issue 3 : March 3, 2009

Cancer Metastasis Is Accelerated through Immunosuppression during Snail-Induced EMT of Cancer Cells

(abstract)

Chie Kudo-Saito1,,,Hiromi Shirako,Tadashi Takeuchi and Yutaka Kawakami,,

Division of Cellular Signaling, Institute for Advanced Medical Research, Keio University School of Medicine, Tokyo 160-8582, Japan

Summary

Epithelial-mesenchymal transition (EMT) is a key step toward cancer metastasis, and Snail is a major transcription factor governing EMT.

Here, we demonstrate that Snail-induced EMT accelerates cancer metastasis through not only enhanced invasion but also induction of immunosuppression.

Murine and human melanoma cells with typical EMT features after snail transduction induced regulatory Tcells and impaired dendritic cells invitro

and invivo partly through TSP1 production.

Although Snail+ melanoma did not respond to immunotherapy, intratumoral injection with snail-specific siRNA or anti-TSP1 monoclonal antibody

significantly inhibited tumor growth and metastasis following increase of tumor-specific tumor-infiltrating lymphocytes and systemic immune responses.

These results suggest that inhibition of Snail-induced EMT could simultaneously suppress both tumor metastasis and immunosuppression in cancer patients.


◆コメント:本当はこういう記事は医学生とか医師が素人向けにブログ(でも何でも良いけど)解説してくれると良いんですが。

時事通信の記事に

「米医学誌キャンサー・セル電子版に3日発表した」

と書いてあるので、Googleで"cancer cell"を検索したら一発で見つかった。

これが、経済記事でフィナンシャル・タイムズかウォール・ストリート・ジャーナルだったら、訳すところだが、

流石に高度に専門的な医学的な研究のサマリー(要約)なので素人の手に負えない。英辞郎で、テクニカル・タームの日本語訳は分かる。

例えば、冒頭の"Epithelial-mesenchymal transition (EMT)"は、
上皮間葉移行{じょうひ かんよう いこう}◆【略】EMT

という日本語になることは分かる。しかし、「上皮間葉移行とは何か」が私には分からない。

英語を日本語にしても、ある「分からないこと」が「別の分からないこと」に形を変えただけである。

「上皮間葉移行とは」をGoogleで検索すると、約15,400件もヒットするが、殆どが専門家が専門家の為に書いた文章で、

素人が読んでも分からない。

だから、米国医学誌"Cancer Cell"(「ガン細胞」という意味ですな。それぐらいは分かる)を、

私が訳すことは出来ない。日本語で知識の無いことを英語で読んで判ったら奇跡である。


◆素人考えだが、ガンの転移の仕組みが分かったというのは、大発見なのではないのだろうか。

私はガン患者ではないが、身内(女房、子供ではない)の者が、12年前、乳ガンのステージ3で、

オペを受けたが既にリンパにも転移しており、5年生存率40パーセントだと言われた。


それまでにも、親戚や知人がガンで死んでいたから、これは引導を渡されたのだ、と覚悟を決めた。

が、人間の身体は不思議なもので、12年経った今も生きている。抗ガン剤との相性が余程良かったのであろう。

しかし、まだ、安心できない。ガン患者は、一応危険な時期を過ぎて生き残っても、定期的に検査を受ける。

いつ、「新しい転移が見つかりました」という、あの目の前が真っ暗になるような宣告を聞くことになっても、

不思議はない。ガンという病気は、最初の治療に成功しても、いつ「転移がみつかりました」と言われるか

全く分からない。患者はその恐怖と闘いながら、生きている。残酷な病気だ。

記事で報じられていることを、頭が悪く、理数系が大嫌いな私が、普通に読むと、

転移のメカニズムが解明された。遺伝子Snailが転移に関与しており、この遺伝子の活動を止めることが出来れば、

転移を防ぐことが出来る。ただ、

Snailの活動を妨げる物質を見つければ

と書かれている所を見ると、まだ、そのような物質は特定出来ていないのであろう。

そこまでは、分かった。

しかし、Snailの活動を妨げる物質を見つけるのがどの程度大変か、が分からないと、

この研究の意味がどの程度なのか、分からない。

それは、専門家と言えども、見当が付かないかも知れない。それならそれで、

そういってくれれば、
じゃあ、あまりすぐに「新薬」が開発されることを期待してはいけないな、

と素人にも、分かる。

医師や医学生は、忙しくて時間がない、という事情が勿論あるだろうが、それ以前に、プライドが非常に高くて、
こんな事、素人に分かってたまるか。

という気持が、まず最初に態度に出てしまう人がいる。

(勿論、そうじゃない先生も大勢いる事は承知している)。

そういう医師の心理を、患者は敏感に察知するものなのだ。

が、あまり人をバカにするものではない。

医師にはならなかったが、なろうと思えばなれたであろう知能を持った「素人」もいるだろう。

医師や医学生が本研究について、どの程度の価値を持つのか、書いてくれるとありがたい。

仮定上の話として、もし私が医者だったら、ブログでこの記事に関して素人さん向けに説明してやろうか、

と考えるだろうと思うが、今のお医者さん、そこまでサービス精神無いですか。

それとも、かみ砕いて説明したくてもかみ砕けないほど難しいことなのだろうか。

そういう「気さくな専門家」が私の知る限り全然いないのが、やや残念。


ガンでも何の病気でも一番辛いのは患者本人に決まっているが、

末期ガンで、本当の末期で疼痛にのたうち回っている人を見舞うのは、

見舞う人間にとっても、拷問の様に辛い。

ガン治療が少しでも速く、進歩してくれることを、祈るしかない。

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