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2009年12月14日(月) |
【音楽】涙が溢れるほど懐かしい、山本直純さんが解説する「青少年のための管弦楽入門」with NHK交響楽団 |
◆昔、山本直純さんが、毎週このように音楽を教えて下さったのです。
1970年から10年以上、毎週日曜日に、TBSで「オーケストラがやってきた」という
わずか30分の「クラシック音楽入門番組」がありました。企画からなにから、山本直純さんが考えるのです。
それは、恐らく私が生涯で最も影響を受けたテレビ番組ではないか、と思います。
今、私がこの日記・ブログで、オーケストラに関して書いている知識の殆どは、
山本さんの「オーケストラがやってきた」から得たのです。
山本直純さんは、派手な振る舞いから半ば「芸能人」のように思われていましたが、
子供の頃から、音楽の本格的な訓練を受けた、プロ中のプロです。
岩城宏之さんが山本直純さんと芸大で過ごした青春時代を綴った、森のうた―山本直純との芸大青春記という本があります。
絶対に面白いのでご一読を勧めます。
岩城宏之さんは音楽の早期教育を全く受けていなかったのですが、前述の通り
山本直純さんは英才教育を受け、しかも天賦の才を持った天才でした。
芸大で岩城さんと山本さんが仲良くなり、岩城さんが、山本直純さんの少年時代の日記を
読ませて貰って、自分とのあまりの違いに驚嘆し、コンプレックスに陥る場面があります。
その山本直純さん、小学校2年の時の日記を引用します。(旧仮名遣いなので、新仮名遣いに改めて記載します)。
ぼくはきょうはおとうさまにつれられて、やまだかずおせんせいのおうちにいきました。
せんせいはベートーベンのだい一こうきょうきょくが、どうしてこのようなハーモニーではじまるかを
おしえてくださいました。らいしゅうはどうにゅうぶぜんぶのことをおしえてくださるとおっしゃいました。
そして、だい一がくしょうのおわりまで、ピアノでひけるようにしておいで、とおっしゃいました。
いっしょうけんめいべんきょうしよう・・・・
説明するまでもなく、小学校二年生の程度としては天才的ですし、山本さんと同じ年頃には音楽の「お」の字も
知らずにいた岩城さんが、あまりの差に打ちひしがれるのは、無理もありません。
しかし、何故かこの二人はとても気が合いました。
山本直純さんはやがて斎藤秀雄氏に指揮を教わり、弟弟子としてやってきたのが
小澤征爾さんです。山本さんが亡くなったとき、小澤さんははっきり、言っていました。
初めての指揮のレッスンは山本さんから、受けました。
と。山本直純さんは「師範代」だったのです。
山本さんは、しかし、子どもの頃からベートーベンのシンフォニーをピアノを弾けたから天才なのではありません。
それほどの天賦の才を持ち、高度に専門的な音楽の訓練を受けたにも関わらず、
山本さんは、
一般の大多数の日本人が、如何に音楽やオーケストラのことを何も知らないか、を正確に理解していた。
これが山本さんの偉大さ、山本直純さんを山本直純さんたらしめている、所以(ゆえん)です。
◆N響でブリテンの「青少年のための管弦楽入門」を用いて、オーケストラのことを丁寧に説明しています。
山本さんがN響を振ることは殆どなかったけれど、それよりも、
これこそ、「オーケストラがやってきた」なのです。
オーケストラのメンバーの様子を見ても分かるとおり、
山本さんの指示に忠実に従っています。ふざけた言葉も口にするけど、本当は大変な才能を持った作曲家、
指揮者、そして、音楽の楽しさを人々に教える才能に敬意を払っていたのでしょう。
一つ一つの楽器ないしパートを独立して演奏させ、最後のフーガで締めくくっています。
実に懐かしい。私にとっては涙が溢れるほど懐かしい、山本直純さんならでは、の世界です。
それでは、ご覧頂きましょう。私の解説は要りません。山本さん自身の解説で十分です。
4つのファイルに分かれています。Craving Explorerなどのソフトで保存しておく事をお薦めします。
青少年の管弦楽入門1/4
(http://www.youtube.com/watch?v=sH6lINJGnmk&feature=related)
青少年の管弦楽入門2/4
(http://www.youtube.com/watch?v=9uMGxlqlEvw&feature=related)
青少年の管弦楽入門3/4
(http://www.youtube.com/watch?v=Pb8i1htIpg0&feature=related)
青少年の管弦楽入門4/4
(http://www.youtube.com/watch?v=aYWOMyJnrRY&NR=1)
時間に制限があるようで、山本さん、必要最小限の説明にまとめていますが、
約40年前、「オーケストラがやってきた」では、一回の番組でオーケストラのある楽器1つを特集したり、
それはそれは楽しいものでした。当時は家庭用ビデオなどありません。見逃したら終わりだし、
再放送もありません。毎回、テレビ画面に食い入るように、見入っていたこと。山本さんや、
音楽家の皆さんの言葉を聞き漏らすまい、と必死だったのです。
だからこそ、今だに覚えているのでしょう。
これが、楽しいオーケストラの世界です。こういうものをおろそかにする国は、
恥ずかしい、と思います。
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