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JIROの独断的日記
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2006年12月14日(木) ベルリオーズ。お待たせしました。さらに書き足しました。/モーツァルト全作品のスコア無料公開

◆12月11日が彼の誕生日だったのです。

今週の月曜に書き損ねたのですが、11日がベルリオーズ(1803〜1869)の誕生日でした。

音楽史上、色々な天才がいて、モーツァルトが最高峰ではないかと思いますが、ベルリオーズも又、奇跡的な人です。

彼の父親は、医者で、ベルリオーズを医者にしたかったのです。子どもの頃ベルリオーズは音楽的な教育を受けていないに等しい。

何しろ、楽器が何も演奏できないのです。フルートをちょこっと習っただけ。「吹ける」というレベルじゃない。

何と、彼は、ピアノを全く弾けなかった。

作曲家になるような人は皆、ものすごい絶対音感を持っていて、確かに作曲するときにはいちいちピアノで音を確かめない。

しかし、それは作曲に際してピアノを「弾かない」のであり、弾かせればピアニストとしてやっていけるぐらい上手いのが普通です。

ベルリオーズは全く弾けなかった。そういう人が100人のオーケストラのための「幻想交響曲」を20代で書いたのです。

その第4楽章の「断頭台への行進」(物騒な標題ですな)をきいていただきます。

エンピツをご覧の方はこちらからお聴き下さい。


この、全部で5つの楽章から成る交響曲が初演されたのは、

1830年なのです。それは、どうにも信じがたいのですが、今、日本でシーズン真っ最中のベートーベン・第九交響曲初演のわずか6年後です。

作曲法など習ったことが無くても、それまでの音楽に対して「幻想」が如何に革命的なものか、分ります。

モーツァルトのように万人の心を掴むことはできないかも知れませんが、ベルリオーズも疑いの余地がないほどの大天才です。

後ほど、もっと詳しく書きます。


◆お待たせしました。書き足します。

この「幻想交響曲」ってのは、できれば、コンサートで実演を「見る」と面白いです。

聴いていただいた「断頭台への行進」。どこか、何となく響きが違うと思いませんでしたか?



私は、初めてコンサートで「幻想交響曲」を「見た」ときにとても驚いたのは、ティンパニが2組いること。

ティンパニ「2個」じゃないですよ。「2セット」。左右にティンパニ奏者がわかれているのです。

ステレオで聴くと、マーチで、ラッパ(これはトランペットで吹いてしまう事もありますが、本当は柔らかい音がする、

「コルネット」という楽器で演奏するように楽譜でベルリオーズが指定しています)が

「ド・ドーレーミー、ファッミレッファミッレドッレ・ミ・ファ・ラッソー!」

(あのー、そこの、あなた。笑わないでくださいよ。音符を文字にするの、結構難しいんですよ。)

と吹くところがあります。

このときに、ティンパニのリズムは、普通ですが、左右交互に(それも規則的じゃないのです)叩いている。

この「断頭台への行進」のまえの第3楽章、では、この2組のティンパニを更に複数の奏者が叩くのですね。

一番多いところは4人でしたっけ?



さらに。

ちょっと細かい話になりますが、コルネット乃至はトランペットが華やかにメロディーを吹いているとき、

トロンボーンの3番奏者はバストロンボーンで、低い音をずーっと伸ばしています。大変なんですよ。

高音のフォルティッシモは出せますが、低音のフォルティッシモを吹いて、埋もれない(他の楽器の音にかき消されない)ように吹くのは大変です。

このマーチを聴くときは是非トロンボーンセクションの一番客席から舞台を見て右側、

つまり、もっと大きいラッパ、テューバに近いところに座っているトロンボーン奏者のバリバリ響く低音を聴いてあげてください。

とにかく、オーケストラは見るものだ、と思いますね。これは。



無論、視覚的なことより、音楽ですからまず「音」ですが、この点でも。「幻想」は生で聴いていただきたいのです。

それは、フル・オーケストラのフォルテ、フォルティッシモを身体で味わっていただきたいからです。

これは、音楽をヘッドフォンで聴いていたら、絶対に分らない快感です。



コンサートホールでは、楽器の音が身体全体にあたります。身体で聴くのです。床からも音は伝わってきます。


お客さんの身体が反射板の役割を果たしていて、余計に響きが複雑になります(空席があるのと満員では音が違います)。



さて、聴いていただいた「断頭台への行進」の一番最後、これぞ大編成のオーケストラのフォルティッシモ。

2組のティンパニはロール(連打)。金管楽器の咆哮。とどめを刺すように、バスドラム(大太鼓)とシンパルが同時にアクセントを付けています。

だけど、クラシックのフォルティッシモってのは、電気的に増幅した「大きい音」ではない。うるさくないのです。

それは、それぞれの楽器の演奏家が、全体のバランスを考えているからです。

ただ乱暴に、力任せにラッパを真っ赤な顔で吹いたり、太鼓をぶったたいているのではありません。



それでも、かなりの音量になります。「整然とした大音響」が身体を貫く。

この後終楽章の終わりなんかもっと凄いですよ。めくるめく色彩感。複雑な音の絡み合い。最後の本当のフォルティッシモ。

きっと、わくわくすると思います(うー、想い出すだけでたまらん。オーケストラはいいなあと思う瞬間です)。

ベルリオーズはピアノも弾けないのに、このような音楽を、頭の中でちゃんと鳴らしていたわけです(それができなければ作曲などできません)。

これを天才といわずして、何というのでしょう?


◆お薦めCD

「幻想交響曲」といえば、定番は、シャルル・ミュンシュ指揮、パリ管弦楽団です。

これは、もう、本当の名演で、文句を付けられませんが、作曲者、指揮者、演奏者全てフランス人なので、意外性はないですよね。

前にも書いたことがあるのですが、私は、比較的近年の録音では、チョン・ミュンフン指揮、パリ・バスティーユ管弦楽団をお薦めしたい。

チョン・ミュンフン氏は韓国の指揮者で現在東京フィルハーモニーの音楽監督(正式にはなんか、カタカナの肩書きですけど)もしています。

ピアノの名手で、チャイコフスキー・コンクールで何と2位になったことがあるほどです。とても音楽的な人だと思います。これは、お薦めです。


◆全く別のお話「モーツァルト全作品の楽譜を無料でオンライン公開」。

これは、すでにインターネット上ではずいぶんと知れ渡っているようですが、まだご存じない方もおられるかと思いまして。

モーツァルト生誕250周年で全作品の楽譜をオンラインで公開

という、マニア又は、ある程度関心のある方には、思いがけない朗報です。

国際モーツァルト財団という組織がやってくれたのですね。上のリンクから財団のリンクに飛ぶと、ドイツ語、英語、日本語を選択できます。

日本語は、ちょっと検索しにくい。ケッヘル番号が分れば、英語が良いと思います。

こういう資料が、学者など限られた人のみならず、完全に一般に公開されるとは、有難いことです。


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