JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆毎回素晴らしいけれども、今回も全く文句の付けようがありません。 いきなり、音楽家のプライベートな」ことを書いて恐縮ですが、 ◆テクニックと音楽性を兼ね備えた音楽家は、意外に少ない。森さんはそのお一人です。 森さんの演奏を聴くと、何故これほど、心を打たれるのでしょう。 ◆最新CDには、ファースト・アルバムと同じ曲が収録されています。解釈の変化が興味深いです。 新譜、麗しき瞳よ~ヘンデル・アリア集の収録曲を見て直ぐに気が付きましたが、 大好きなヘンデルの作品をを収録して です。前作、ピエ・イエス〜祈りを込めては宗教曲集というか教会音楽のアリア集でした。 このときの、セルフ・ライナーノーツに 「念願の宗教曲の録音ができて」 という意味のことを、森さんは書いておられます。オペラで派手にコロラトゥーラで拍手喝采を浴びるだけではなく、 宗教云々に関わらず、「ピエ・イエス〜祈りを込めて」や今回の「ヘンデル・アリア集」のように、穏やかな、 人々の心を優しく慰めるような歌を歌いたい、という音楽的欲求が森さんの大きな特徴です。 ◆新・旧「オンブラ・マイ・フ」と「涙の流れるままに」の調性とテンポの変化。 話がそれましたが、前述の通り、デビューアルバムと「ヘンデル・アリア集」両方に収録されているのは、 オンブラ・マイ・フ(旧) 調性:ト長調 テンポ 59〜60 これだけで、森さんの意図は分かる、とは私にはとても言えませんが、 「オンブラ・マイ・フ」も「涙の流れるままに」も調性を低くしていて、 特に、オンブラ・マイ・フは短三度(一音半)も下げている(涙の流れるままには半音ですが)。 音域が低くなると言うことは、明るさや派手さ(もともとそういう曲ではありませんけど)が 抑制されます。また、特に森さんはソプラノですから、オペラの難しいアリアで高音を出すときよりも 中音域から低音域での、声の豊かさが要求されます。派手が減ずる分、演奏者の表現力が問われます。 (オンブラ・マイ・フでは、前回よりも低い調性にしていますが、テンポは速くなっています)。 ソプラノのオペラ歌手なら、高音だけ出せれば良いのではなくて、高音を美しく響かせるためには 中低音をたっぷりと豊かな声で歌えるように、全身の無駄な力が抜けていなければならない。 中低音で美しい声を出せる、なるべくそのままの状態で喉には力を入れず、ブレス(呼吸)で高音を出す ということを森麻季さんはずっと訓練なさっているのであろうと思います。 誤解の無いようにいっておきますが、森さんは高音が出なくなったわけではありません。 それどころか、アルバム第一曲目、「ロデリンダ 私の愛する人よ」では、以前と全くかわらない 見事なコロラトゥーラを聴かせて下さいます。完璧な音程。声(ブレス)のコントロール。最高音Cis(ドの♯)。 胸のすくようなテクニックです。 ◆旋律の装飾 一般的にバロック音楽では、古典派以降よりも、演奏者の裁量による、即興的な演奏が ・・・・ヘンデルのアリアは、A-B-A’のような3部形式になっている作品が多く、 デビューアルバムや、テレビで、森さんがリナルド「涙の流れるままに」を演奏なさるとき、 私は、森さんの装飾の美しさにいつも感心するのですが、こればかりは、聴かないと分かりません。 デビューアルバムと、新譜で、装飾がどのようにことなるか、ホンの数秒だけ、載せさせて頂きます。 デビューアルバム「あなたがそばにいたら」における「涙の流れるままに」の装飾。 (旧)「涙の流れるままに」 新譜「麗しき瞳よ-ヘンデル・アリア集」における「涙の流れるままに」の装飾。 (新)「涙の流れるままに」 いずれも、本来の旋律の美しさを損ねることなく、文字通り見事な音の「装飾」が施されています。 この辺が、バロックの面白いところです。実際のステージでは、毎回変えても構わない訳です。 以上、大変ながくなりましたが、2年ぶりの森麻季さんの新譜、多くの方にお聴き頂きたいと思います。 僭越ながら、私が以前森さんのアルバムに関して書いた文章を読んで下さった読者の方から、 薦められてCDを買って大変感激し、森麻季さんが出演なさるコンサートや、森麻季さんのリサイタルに 行き、一層感動した。涙が溢れた。というメールを、今まで何通も頂戴しています。 私の駄文は素人の知ったかぶりにすぎませんが、こういうお便りを頂くと、 お薦めした甲斐があった、と素人ながら物書き冥利に尽きます。 森麻季さん、今回も素晴らしい演奏を有り難うございました。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2008年12月04日(木) 「麻生さん、もはや『選挙の顔』じゃない」…迷走する政権←じゃ、他に誰がやるの?
JIRO
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