JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆記事:東証に107億円の賠償命令=ジェイコム株誤発注訴訟で東京地裁(12月4日13時30分配信 時事通信) 2005年12月に起きたジェイコム(現ジェイコムホールディングス)株式の誤発注問題をめぐり、 ◆コメント:素人じゃあるまいし、まずは発注を間違えたみずほ証券が悪いのである。 この「誤発注事件」が起きたのは、ほぼ、ちょうど4年前で、私もその後何度か記事で取りあげた。 62万円で一株売りたい だったのを、みずほ証券のトレーダーが端末にアマウント(Amount=株数)とプライス(値段)を逆にして、 1円で62万株売りたい と打って、送信してしまった、というケアレスミスです。 これほど派手なのは珍しいけど、株に限らず、為替でも債券でも、とにかくディーリングの世界では、 さほど珍しいことではない。誰でも一度や二度はやってる。ただ、これほど極端な間違い方は珍しい。 しかし、とにもかくにも、みずほ証券のトレーダーはプロですから、注文を送信する前にもう一度点検するべきでした。 また、みずほ証券のディーリング管理の問題でもあります。 銀行でも証券会社でも 取引する対象が株でも債券でも、通貨(為替)でも、デリバティブでも、 実際にマーケットで売買するディーラーを「フロント」といいますが、フロントだけを野放しにしては、 極端な場合、巨額損失を出しても隠蔽するかも知れないので、「フロント」を監視する部署があります。 これをディーリング・ルームの「ミドル・オフィス」といいます。みずほはディーラーが、ケアレスミスをしたのみならず、 ミドル・オフィスが、このあまりにも明らかに異常な注文を出したことに気が付かなかった。 或いは、異常値をインプットしたら、送信できないようなシステムを構築しているべきなのです。 東証も子供の使いじゃないから、この注文をそのまま受け付けるというのは確かにお粗末なんですが、 一義的には、間違えて注文を出したみずほ証券が悪いのです。 また、他のマーケット参加者、特に証券会社は、当然、これが「誤発注だ」と気付いたにも関わらず、 1円で大量に買いました。これはマーケット参加者の仁義に反します。こういうときは、 今の取引は取り消しましょう。 というべきなのです。当時の担当相だった与謝野氏が、 「みずほ証券誤発注問題『証券5社の手法、美しくない』金融相」 と評したのは、そのあたりを良く分かっています。その感覚が正しい。証券会社は世間の目もあるので、全額返還しましたが、 ところが、ちょうどそのころ、インターネットを通して、素人の個人が、デイ・トレーディングで結構派手にやっていました。 この連中のかなりが、みずほの誤発注に乗じて大儲けして、取引の取消に応じず、 みずほ証券は、注文を出したお客さんに迷惑をかける訳には行きませんから、自らの勘定で損失を補填した。 そこで、お仕舞いいすれば良かったのに、東京証券取引所が悪い、と損害賠償請求訴訟を起こすとは、プロの株屋としては、 どんなものか、と思います。 如何なる仕事でも、その世界の住人にしか分からない、感覚が有ると思いますが、 東京地裁の裁判長は、市場取引の世界の感覚、常識が、理解できなかったようです。 東証が控訴したら、みずほが逆転敗訴になる可能性は大いにある、と考えられます。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2008年12月03日(水) 【音楽】絶対楽しい「ロッシーニ序曲集」(アバド ヨーロッパ室内管)
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