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2007年12月03日(月) |
「リタリン登録制、やめて。服用患者が仮処分申し立て」←「反リタリンキャンペーン」の毎日は無視。/【追加】朝日は書いた。 |
◆記事1:リタリン登録制「やめて」、服用患者が仮処分申し立て(12月3日15時19分配信 読売新聞)
乱用が問題になっている向精神薬「リタリン」(塩酸メチルフェニデート)について、
製造販売元のノバルティスファーマ(東京都港区)が、医師や薬局を登録制にして流通を管理する方針を打ち出したことに対し、
リタリンを服用してきたうつ病患者ら5人が3日、同社を相手取り、登録制の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。
申立書などによると、5人は、うつ病などのためにリタリンの処方を受けていたが、この薬の乱用が社会問題化したことから、
厚生労働省は10月、効能からうつ病を削除し、適応症を睡眠障害のナルコレプシーに限定。
同省の指示に基づき、同社は来年1月までに同障害を適切に診断できる医師らを登録し、リタリンの流通管理を徹底することになった。
◆記事2:黙殺されたリタリン患者の会見(11月28日13時41分配信 オーマイニュース)
(ウェブキャッシュ:http://s03.megalodon.jp/2007-1203-2157-59/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071128-00000002-omn-soci)
難治性・遷延性うつ病や睡眠障害のナルコレプシー、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の治療薬として用いられてきた向精神薬「リタリン」について、
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の患者会と難治性うつ病の患者会の代表者が11月22日、厚生労働省を訪れ、
リタリン治療の継続や、同様の効能を持つ薬剤「コンサータ」の早期承認を要望した。
患者会は適応症から削除された難治性・遷延性うつ病の治療にリタリンが再び処方できるようにすることや
ADHD患者へのリタリン処方の承認などを求めた。要請後、厚労省の記者クラブで代表らは記者会見を行い、出席した記者からは多数、質問が発せられた。
しかし、今回の行動は時事通信が【「リタリンの使用継続を」=患者ら厚労省に要望】との見出しで、ベタ記事で報じたのみで、
他の全マスコミからは完全に無視された。署名活動に協力してきた患者の1人は憤る。
「リタリンの規制を求める家族会が厚労省に陳情した時は全マスコミが取り上げました。
中でも毎日新聞は大きく取り上げています。しかし、今回の要請後の記者会見には全マスコミが出席したのに、
まったく記事で取り上げない。リタリンを必要としている患者たちが初めて実名で顔を出して、声をあげたのですから、
ニュース性はあるはずでず。今回のメディアの黙殺はどれだけリタリンに関する報道が偏向しているかをよく物語っていますよ」
たしかに、メディアの大半はリタリンを扱う時、違法売買や依存症、乱用問題など負の要素ばかりに焦点をあて、
同薬を治療に必要とするADHD患者や難治性・遷延性うつ病患者の声を取り上げるところは一切なかった。
11月16日、リタリンの処方が問題視されていた東京クリニックに警視庁が家宅捜索した時にメディアで大々的に取り上げられたのと比べれば、雲泥の差だ。
大新聞の記者の1人が匿名を条件に実状を話す。
「リタリン=社会悪、一刻も早く抹殺されるべき忌むべき薬だと皆が一様に思い込んでいます。
リタリンを擁護するかのような記事を載せたら、世論の反発をかうと現場は恐れています。
厚労省と製薬会社による新たなリタリン規制策にどれだけ多くの問題点があろうとも、
それを批判することはできない。とにかく規制はイイコトだと思っています。
いわば、魔女狩りのような状況です。リタリンについて冷静に報道できるのは、オーマイニュースぐらいですよ(笑)」
リタリンに関して客観報道できるのは本誌だけとは何ともお寒い状況である。
そんな中、リタリンの製造販売元のノバルティスファーマは厳格なリタリンの流通管理策の実施を着々と進めている。
広報部に取材したところ、同社は12月にリタリンを処方できる医師・医院の基準を提示して、
全国の医師・医院に通知した後に、指定医に認定されることを希望する医院・医師からの申請を受け付け、
12月のわずか1カ月だけで同社が専門家を集めて設置した第三者委員会が申請のあった医師・医院の適格性を審査する。
12月中に基準の通知・申請の受け付け・申請医の審査という作業を一気に行い、1月1日には新たなリタリンの流通管理策を実施するというのだ。
「慎重」という言葉とは対極にある拙速かつ早急過ぎる対応といえるだろう。やっつけ仕事と批判されても仕方あるまい。
これまで製薬会社の暴走をとめられなかったうつ病患者だが、粗雑な規制策の実施を中止・撤回させるために、
ノバルティスファーマと厚生労働省を相手に首都圏に住む複数の患者が原告となって近日中に訴訟を起こす予定だ。
司法の場でリタリン規制の正当性が争われることになる。訴訟を受けても製薬会社は予定通り規制を実施するのか、
それとも、規制を延期・撤回するのか。
◆コメント:リタリン使用賛成・反対両方の(特に専門家の意見を報じた新聞が全くないというお粗末さ。
私が、リタリン問題を取りあげるのは、大新聞、大テレビ局、大通信社が「まともに」取りあげず、
精神科の患者は全てキチガイだと思っているようなバカな人たちには、真実が正しく伝わらないからである。
問題の本質は、
1.或る薬物を服用する患者の中に、それを乱用するものがいるからと言って、処方通りに服用している者に対してまで、
処方を禁ずることは、正しくない。それを徹底するならば、れっきとした向精神薬であるアルコールにも同じ論理を適用して、
禁酒法を制定するべきである。(リタリン乱用で入院した患者の数は、毎日新聞によれば、2006年に全国で15人。
一方アルコール依存の治療を受けている患者は、1万7千人。治療を受けていない者を含めると全国にアルコール依存症患者は、
少なくとも80万人もいる。(医療行政=厚労省の問題)。
2.毎日新聞を初めとする、大手メディアは、リタリン使用者の中で乱用して、錯乱状態に陥り(これとて、因果関係は証明できない)、
高いところから飛び降りて死亡た若者の事件やその母親の談話など、
極めて特殊なケースを、あたかもそれが頻発する彼の如く、過剰に、誇大に強調するばかりで、
リタリンを使用してその主作用(中枢神経賦活作用)のメリットを享受して、普通に生活出来ている患者や、
「遷延性・難治性うつ病に、リタリンは有効だ」と考えている精神科医の声を最初から聞こうともせず、
報道の公平性を欠いている(報道の問題)。
に大別できる。
さらに、殆ど犯罪的とも言えるのは、先日「『リタリンの使用継続を』=患者ら厚労省に要望」←ひどい医療行政なのですよ。
(ココログではこちら)で書いたとおり、
大人の多動症(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)の患者が、使用できる薬が無くなってしまったことだ。
どんな薬であっても、一部の不届き者のために、正常使用者がある日を境に、それまで長年服用していた薬が使えなくなるというのは、
あまりにも乱暴な医療行政である。
リタリン乱用によって入院に至った患者は1年でたったの15人である。例によって分母(総使用者数)を書かないマスコミの記事の書き方は、
明らかに恣意的だ(タミフルの異常行動に関する報道と同じだ)。
◆専門家のレファレンスブックをスキャンして載せる。
ずっと昔から、精神科医が使っている、こころの治療薬ハンドブック という本がある。2006年に最新の第4版が出たばかりだ。
リタリンのページをスキャンしたので、載せる。
ダウンロード t_img010.jpg (276.1K)
これを読むと、この稿の筆者、山梨大学精神神経医学講座(執筆当時)の竹内というドクターが、
リタリンを特別視していないことが分かる。特に右側のページ、「ワンポイント・アドバイス」に注目されたい。
精神科の臨床医が
「リタリンは特殊な病態の薬であると印象が強く、また依存性・耐性の問題が強調されるが、(中略)思ったより副作用や依存の少ない薬剤である」
と述べており、更に、服用中止に際しても、
「期待して効果が安定したところで、2〜4週間をかけて、徐々に処方量を減らしていくのが望ましい」
と書いている。
先週も書いたが、厚労省は、このような「減薬期間」を全く設けず、
10月26日を以て、ナルコレプシーの患者以外に処方してはいけない、という通達を発した。
リタリンのうつ適応除外は、単なる感情論ではなく、私の如き素人が調べでも、医学的見地から、
大きな問題があるので、今日訴訟を提起したのはうつ病患者だけだが、ADD、ADHDの患者も、
厚労省の決定に関して、司法に法的措置を求めるべきであろう。
◆【追加】朝日新聞が書きましたね。
朝日新聞が患者が提訴したことを記事にしています。朝日も毎日ほどではないが、反リタリンの立場だったけど、
毎日の様に、患者が訴訟を起こしたことすら無視するよりは良いでしょう。
記事キャッシュURL=http://s03.megalodon.jp/2007-1204-1943-37/www.asahi.com/national/update/1204/TKY200712030357.html
◆記事:リタリン処方厳格化 患者、差し止め申し立て(2007年12月04日06時22分)
記事キャッシュURL=http://s03.megalodon.jp/2007-1204-1943-37/www.asahi.com/national/update/1204/TKY200712030357.html
薬物依存が問題となっている向精神薬「リタリン」をめぐり、難治性うつ病などの患者ら5人が3日、
製造販売元の「ノバルティスファーマ」(東京都港区)が厚生労働省の指示に従って流通を厳格化しないよう求める趣旨の仮処分を東京地裁に申し立てた。
同省が10月、リタリンの効能からうつ病を削除し、適応症を睡眠障害「ナルコレプシー」に限定したことから、患者らは「完全に服用できなくなる」と主張している。
同社は、厚労省の対応を受けて社内に第三者委員会を設置し、処方できる医療機関などを登録制にするための基準づくりを進めている。
患者側は「猶予期間をおかず、長く用いてきた薬剤を抜き打ち的に断薬させることは、健康で文化的な生活を送る権利を侵害している」と訴えている。
記事の最後のセンテンスが伝える患者側の主張は、お分かりの通り、私の意見と同じで、私は全く同感です。
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